水早 -mizuha- 神社と写真と一人旅。

カメラ片手にゆるり神社めぐり。
公共機関&徒歩での日帰り参拝記録をメインに綴っています。

九州旅 前置き ⑥(熊本県・鹿児島県)上色見熊野座神社・鹿児島神宮

2022-07-27 | ├ 鹿児島(ふらり旅)

 

九州つづき。

佐賀から阿蘇に移動します。

 

 

 

 

 

 

上色見熊野座神社】阿蘇郡高森町上色見2619

 

 

 

1864年建立の鳥居と、
傍らに立つのは、愛らしい狛さん。

狛犬というよりは、狛猪っぽい

 

 

 

 

到着前から、右側頭部~後頭部がズキズキしてましたが、
境内に入ったら間もなく治ってました。

参拝前に痛くなるのも、それが瞬時に消えるのも、
普段はあまりない事なので、
この時点で他と違うなあと。

 

 

御祭神:伊邪那岐命、伊邪那美命、石君大将軍(健磐龍命の荒人神(荒魂)とされる)

 

 

創祀は鎌倉~室町時代、
信仰の対象として穿戸を崇めたことに始まると言われます。

 

 

その後、山嶽信仰と岩石信仰を結び付け、社殿を建立。

熊野信仰の広がりとともに修験者が紀州国熊野より伊邪那岐命、伊邪那美命を勧請し、
熊野穿戸社・穿戸社権現としたと考えられています。

 

 

 

200メートルほど続く杉林の参道沿いには、
奉納された97基の石灯籠が並びます。

 

 

 

 

山中の社寺は、どこも同じような空気をまとっていますね。

 

 

ただ、ここは他と違って、
参拝者の力が山頂に向かうんじゃなく、地中に向かう。

吸収されて山の一部になる、みたいな。

 

 

面白いなあ。

 

 

こちらの感想は、

・石段を登っている時はいつも感じる〝神域に同化する感覚〟がなく、
 
自分で自分に膜を張っているようなかんじ。
 でも一番上にある穿戸岩を見て降り始めたら、
霧が一気に晴れたようになり、
 急に柔らかくなった境内との一体感が戻る。

厳しいところだけど、正しき道に戻してくれる場所。
・参拝後は、色んなものが整う。無事に決着する。好転する。

 

 

 

 

 

上からの眺め。

 

 

石段を登り切ったところに立つ拝殿。

1722年建立、1979年改修。

 

 

 

 

ここまで来ると、ちょっと空気が柔らかくなる。

 

 

 

 

 

岩は社殿の裏をもう少し上がった所にあります。

 

 

 

穿戸岩(うげといわ)

 

 

この縦横10メートル以上の大風穴は、
健磐竜命(阿蘇大明神)の従者、鬼八法師が蹴破って逃げた岩壁とされるもの。

 

 

逃げた鬼八は高千穂で健磐龍命に捕まり、首を刎ねられるのですが、
そのとき鬼八の首が埋められたという首塚を、以前訪ねたことがあります。

 

 

高千穂の『鬼八』は、
別称:鬼八三千王、鬼八法師。

矢取りの不始末により主である健磐龍命の逆鱗に触れて殺され、
首・胴・手足をバラバラにして埋められました。

しかし首だけは何度も蘇って早霜を降らせるので、怨霊を鎮める神事でこれを治めました。

 

 

ただし高千穂の伝承によれば、
土地を治めていた鬼八は、妻の阿佐羅姫を御毛沼命(神武天皇の弟)に奪われた上、
殺されてしまったとされています。

 

 

これと酷似しているのが、岡山の『温羅』の伝承。

異称:吉備冠者、鬼神。
異国から渡来した鬼八は、製鉄技術を吉備にもたらし、
鬼ノ城を拠点として一帯を統治したとされます。

温羅は吉備平定に遣わされた五十狭芹彦命(吉備津彦命)に討たれ、
その鬼退治伝承は、桃太郎のモチーフになったとも。

温羅の首は、切り落とされてもなお鎮まることはなく、
妻の阿曽媛(阿曽郷の祝の娘)が釜殿の神饌を炊き神事を執り行い、
霊を鎮め続けました。

 

 

粗暴で人々から恐れられた鬼を退治した、という、
鬼八や温羅の伝説。
これは、大和朝廷側に反抗した先住・異族に対する、
中央側(勝者)から見た平定ストーリー。

おそらく温羅は朝鮮渡来系、
鬼八はさらに昔にやって来た大陸渡来系なのだろうな。

ただの凶暴な鬼ではなく、
いずれも優れた統治者であっただろう事は、
吉備「冠者」、鬼八「法師/三千王」という尊称にも
表われているように思えます。

 

 

この場所は、

・無風なのに、強い風が岩の向こうに吹き抜けていくかんじ。
 風というか、光の柱が突き抜ける。
・風穴の向こうは、別の世界。

 

 

鬼八さんVS御祭神の念が、未だに何かを引き付ける所なのか。

 

 

鬼八・温羅が好きな自分にとっては、
悲しくも穏やかになれる、不思議な場所でした。

 

 

 

 

阿蘇から鹿児島へ。

 

鹿児島神宮】鹿児島県霧島市隼人町内2496−1

大隅国一宮、式内社(式内大社)

 

 

入るなり立ち止まるw

 

 

こんな巨樹に出会ってしまったら先へ進めませんわよ。

 

 

 

 

主祭神:天津日高彦火火出見尊(山幸彦)、豊玉比売命

相殿神:帯中比子尊(仲哀天皇)、息長帯比売命(神功皇后)、
 品陀和気尊(応神天皇/八幡大神)、中比売命

 

 

 

創祀不明。

708年には現在地へ遷座。 

 

 

 

 

 

こちらの感想は、

・完全に出来上がっている、強く清い空間。悪しき者のつけ入る隙がない。
・浄化から護り、力まで、なんでも揃ってる。

 

 

すごいなー。境内は別世界なんだ。

本当に素敵なところ。

ここに何日も滞在していたいと本気で思いました。

 

 

 

 

あたたかくて優しくて強い、
父性あふれる神社でした。

 

 

 

 

最後に再び巨樹を満喫し、移動します。

 

 

 

 

その7へつづく・・。