伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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できる子 できない子

2019-01-22 17:35:52 | 教育・PTA・児童福祉

写真は、2011年に出版された
大手学習塾の関係者が書いた本です。

 <アマゾンの内容紹介>
  年間1万人に接してわかった
  行きたい学校に合格するための35のこと
 
  著者の齊藤氏は予備校の現場や講演などで、
  年間1万人以上の生徒・保護者に接していますが、
  そのなかでわかったのが、
  「偏差値60以上の子と偏差値50以下の子では、
  勉強法や時間の使い方などの『習慣』に大きな差がある」
  ということでした。

  本書は、目標の学校への合格を目指すすべてのみなさまに、
  偏差値60以上の子の習慣を学び、
  偏差値50以下の子の習慣を知り、それを避けることで、
  真に合格できる学力とそのための習慣を身につける一冊です。



(私は中身を読んでいませんが)

「偏差値の高い子供や、低い子供には共通した習慣傾向が見られる」、
という発見は、受験生や社会人に参考になるかもしれないと思います。

ただし、私が引っかかったのは本のタイトル。
「偏差値60以上のできる子の習慣、50以下のできない子の習慣 」

偏差値50は全体の真ん中のはずですが、
平均レベルでがんばっている子に対して「できない子」と断言するのは
不幸な社会と感じました。

学習塾や家庭教師の役割として、
偏差値の高い学校へ合格させるだけが価値のある仕事ではなく、
障害や家庭の事情などいろいろな理由で
勉強ができなかった子どもを支援して興味を持たせたり、
分かる喜びを味あわせたりすることも立派な教育です。
ヘレン・ケラーの家庭教師だったサリヴァン先生のように。

偏差値が低い子どもでも、そうとうの努力をして、
その偏差値にたどり着いたのかもしれません。
学校の中で順位をつければトップもいれば、最下位もできます。

点数や偏差値の序列が人間のすべてではなく、
すべての子どもに価値があり、学ぶことはすばらしいのです。
偏差値50以下の子どもに対して「できない子」とレッテルを貼るのは、
人格を無視した非常に失礼な態度、上から目線。



(どんな人間を育てたいのか)

この本の趣旨は、
「偏差値の高い子どもと、低い子どもには
 それぞれ共通した習慣が見られますよ」というだけで、
それ以上の意図はない。
「人間性の問題を取り上げているのではない」
という反論も来そうです。
でもそうだったら、いくらでもタイトルのつけようがあるでしょう。

偏差値50以下の子どもや保護者が
このタイトルを目にしたとき、どう感じるか。
人に対する想像力や共感力が欠けていませんか。

この本を手に取る「できる子」やその保護者は、
このタイトルを読んで何も感じない?
できない子のことなど考えるのは時間のムダ?
自分には関係ない? 
それとも意識にさえ上らない?
もしそうだったら、
できる子・本人にとっても、社会にとっても不幸です。

そんな人が良い高校や良い大学に入って、
エリート官僚になったり、
大企業の幹部になっていくのでしょうか。
著者は、教育者として大丈夫なのでしょうか。

一方で、学習塾の公文式の指導法は、
各人の理解度や進度に合わせているようです。
一人一人の子どもに寄り添うという姿勢が大事に思います。
行政や福祉もそうですよね。



P.S.
この本の営業妨害をする意図はございません。
きっと受験には有益だと思いますので、
必要な方は読んでみてください。

2014年の文庫本では、
タイトルを少し変えたようです。


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