伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

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死ぬことは、生きることと見つけたり

2017-04-17 17:56:06 | 医療
地域医療の在り方について書かれた本「最強の地域医療」。
白血病になられた医師の村上智彦さんがお書きになりました。
北海道瀬棚町や、夕張市で地域医療を支えてこられた方です。

感銘を受けた部分の要約をご紹介し、
私の感想もお伝えします。
地域医療や介護に関心のある方は、ぜひご一読をお薦めします。



(古くて新しい価値観)

・日本の社会保障費も医療費も増大の一途をたどっています。
 国民皆保険制度を守るためにも、一層の予防や
 地域包括ケアへの意識改革が必要でしょう。

・私は今の医療の問題点を、具体的に地域レベルで解決していくことは
 可能だと思っています。

・それはバブリーな世の中を目指すのではなく、
 住民の多くが古くて新しい価値観を持ち、
 高齢化を伴う人口減少社会を受け入れ、
 満足度や幸福度が高い地域や国を作っていくことだと考えます。

・現在の問題は昔ながらの仕組みや常識に縛られている
 「高度成長病」とも言える意識の問題がほとんどです。
 
・高齢化した今の時代に合わせて、
 頭の切り替えさえできたら十分に満足度や幸福度も上がり、
 先々の見通しができるのではないでしょうか。

  <多田コメント>
  現代日本の問題は、高度成長病ともいえる意識の問題がほとんど、
  という指摘にはまったく同意です。
  とっくに高度成長期は終わっているのに、いまだにあの時のように
  景気が良くなってGDPが成長する、と思い込んでいる人がいかに多いことか。
  あの現象は、発展途上国が成長する時の状態なので、
  日本が先進国となったあとでは、再現されません。
  景気の波がありながらも、経済が右肩上がりが続いていたなら、
  政府の財政出動(借金をして歳出を大幅に増やす)ことの、
  景気の刺激になったのかもしれませんが、
  そのような時代はおわっているのに、景気の刺激を続けてきた結果が
  1000兆円の借金につながったと思います。
  時代錯誤の認識から目を覚まし、人口減や経済成長なしの現実を受け入れ、
  それに対応した政治や社会に立て直していかなければなりません。

  「古くて新しい価値観」という言葉から、
  ヘレナさんの「懐かしい未来」を思い出しました。



(病院の食事は不味くて制限ばかりして時代遅れ)

・癌患者の多くが実は低栄養で亡くなっている。
 高齢者にとって低栄養は癌よりも死亡率を高めるという事実がある。
・糖質中心で、塩分も少なめですが、がん細胞の栄養源は糖質。
・血液の病棟(白血病等)の患者さんのほとんどは20~40代なので、
 高血圧や低脂血症等の生活習慣病は少ない。
 治療内容は低栄養や食欲低下を招く者が多いので、
 カロリーや塩分を制限する意味がない。
・カロリーや塩分の制限だけは一生懸命で、
 不味いご飯を医療機関が出していることには非常に矛盾を感じる。

  <多田コメント>
  患者の年齢や状態に関係なく、低カロリーや塩分制限の
  不味い食事を出すことが、いかに患者のためになっていないか、
  気づかせて頂きました。大事なことですね。
  手段にこだわって、目的を見失っています。
  


(日本は世界一高齢化が進み、多死社会になる)

・医療機関は未だに死を敗北と捉えているので緩和ケアも遅れているし、
 受容もできないように思う。
・医療はあるていどの病気は治せるが、老化や障害には案外無力。
 寿命と戦っても勝ち目はありません。

  <多田コメント>
  「未だに死を敗北と捉えている」。
  そうなんです。いつかはだれもが死ぬんです。
  これは生き物としての当然の摂理です。
  集中治療室で、たくさんのチューブや電極に繋がれて
  家族と話すこともできないスパゲティ状態で死ぬことは
  「死の尊厳」から、ズレているように思います。
 


(支える医療へ)

専門的な医療は都市部に集中的に配置して
地方では予防やケアと連携して支える医療機関にしていくべき。
地域の病院がやるべきことは予防と生活習慣病のケア、
高齢者のケアへの連携ではないでしょうか。

予防医療
1次予防 病気にならないようにする
2次予防 早期発見早期治療
3次予防 再発予防、リハビリ

・多職種が連携してキュア(治療)よりもケア(介護、療養)を重視して、
 在宅医療や予防を中心に、本人らしく過ごす時間を作っていこうというもの。
・高齢者が増えてくると、入院すること自体で体が弱ったり、
 認知症が進んでしまいます。
・高齢化が進んだ地域では、医療を充実させても人の健康や寿命には関係しません。

  <多田コメント>
  地域医療や、地域包括支援が叫ばれます。
  「地域の病院がやるべきことは予防と生活習慣病のケア、
   高齢者のケアへの連携」とのご指摘は、しっかり受け止めたます。



(住み慣れた地域で生きて死んでいこう)

世界一幸福度が高いと言われるデンマークや、
ケアの充実したオランダでは aging in place と言われます。
「住み慣れた地域で生きて死んでいこう」という意味です。

「地域を作るのは地域住民であって専門家ではない」
自分たち自身で考え行動していかない限り、満足はできないし、
不安は解消しません。

ビュートゾルフ(地域のケア)
・仕組みはシンプル。12人の看護師と介護士のチームがたくさんあり、
 50人くらいの利用者に対応。
 チームは独立運営。全国統一のプロトコルやマニュアルはない。
・日本は情報を聞く人、ケアプランを立てる人、実践する人が分かれていますが、
 ビュートゾルフはその分の時間も経費も節約できて早い。
・施設に入ってしまうと後は死ぬのを待つだけ。地域や家族と分断される。
 職員がやってくれることで本人は何もできなくなる。
・日本がまねて作ったのが「定期巡回・随時対応型訪問看護」
・身体機能が落ちた人が自宅で生活できるように身体介護するのが介護予防の目的。
 トイレや入浴を手伝ったり、リハビリしたり、口腔ケアなど。
・いくら掃除や洗濯・料理をしても本人の機能を低下させるだけで介護予防にならない。

  <多田コメント>
  「地域を作るのは地域住民であって専門家ではない」との指摘、
  耳が痛いです。
  医療や介護の世界だけに限らず、地域の活動全てに当てはまることです。
  はたしてそれが実践、実現できているか?
  地方自治やちいきづくりの実践の中で、絶えず振り返り、
  目指さなければならないテーマです。

  
P.S.

今朝は、下道寺町公民館前でご挨拶させていただきました。



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