踊る小児科医のblog

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聴診器もステレオで

2005年06月12日 | こども・小児科
聴診器考えてみればオーディオは40年以上前からステレオが当たり前になっていたのに、聴診器はモノラルのままでも、ほとんどの医師は疑問に思ったこともありませんでした。それは何故かというと、ステレオ聴診器を実際に耳にして使ったことがなかったからだと思います。

この違いを体験してしまえば、もう元のモノラルの世界には戻れません。このステレオ聴診器のことは、しばらく前からメーリングリストで紹介されて知ってはいたのですが、こんな小さなエリアでステレオにしてもそんなに違ってくるとは思えなかったし、2つに分けているためにかえって聴診性能自体が悪くなっていないかと懸念して購入する気になれなかったのです。それらは、いずれも先入観からくる全くの誤解であったことがわかりました。今回、やはりメーリングリスト上で聴診器の話題になったときに、このステレオ聴診器を強く勧めるコアなユーザーがいるのを知り、ホームページから販売元のメディカルテックに問い合わせて、試聴用の聴診器を貸してもらったことが購入の決め手になりました。

実際の使用感としては、心音の I音 II音の位置や質の違い、II音の分裂などが鮮明になっただけでなく、大した違いはないだろうと予想していた呼吸音が非常にリアルになり、奥行きのある、まるで「息づかいが聴こえてくるような」世界が両耳の間に広がったことが大きな驚きでした。また、聴診性能自体も良好で、従来使っていたL社のものより音も大きく聴こえます。小児用は軽量化されているので長時間の健診でも苦になりません。カラーバリエーションがあればもっと良いかとは思いますが、これからの普及次第でしょう。あえて言えば、イアーピースがソフトタイプに慣れた人には固くて耳に負担がかかるので、L社のようなソフトタイプが標準装備されることを望みたいと思います。(私はL社のものをはめ込んで使っています)

私は小児科医なのでとりあえず小児用1本で間に合いますが、年長児や大人用にもう1本揃えておきたいという気持ちが強くなっています。研修医時代からこれを使っていたらと考えると、ちょっと悔しい気持ちもあります。医学生から専門医まで、全ての人にお勧めできると思いますが、内心こういう良いものはあまり教えたくないというケチくさい根性もあったりします。(自分が教えてもらったことを棚に上げて)

興味のある方は、聴診器の選択(聴診器の広場)の仮想対談もご覧下さい。