踊る小児科医のblog

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喫煙者は2倍も死にやすい

2009年08月23日 | 禁煙・防煙
このグラフを見れば一目瞭然。
毎年小学生に話をするときに必ず見せているグラフですが、
35歳のときに、同級生100人がタバコを吸っていて、100人が吸わなかったとして、

喫煙者は
50歳までに6人死亡
60歳までに19人死亡(10年間で13人死亡)
70歳までに42人死亡(10年間で23人死亡)

非喫煙者は
50歳までに3人死亡
60歳までに9人死亡(10年間で6人死亡)
70歳までに19人死亡(10年間で10人死亡)

簡単に言うと、タバコを吸う人はバカだと言うことになるのですが、もう少し婉曲に言えば、タバコ会社に騙されて何も知らずに死んでゆく人たちだということになります。

このグラフには、禁煙した人、25本未満の喫煙者などが書かれていないので、実際にはこの2群にクリアに分けられるわけではありませんが、

このデータが最初に出たのは1960年代で、イギリスの医師達は自身の調査から明らかになったこの驚愕のデータを目の当たりにして先を争って禁煙しました。
一方、日本の医師達はその後も何も気にかけずにタバコを吸い続けました。
小学生は理解してくれますが、喫煙医師はどういうわけかこの事実を理解することができないようです。

ウイルスが強毒化した?わけではない

2009年08月21日 | 新型インフルエンザ
4月30日の「死亡率は1%未満?問題はウイルスの病原性」で、
「メキシコでの死亡率は1%前後、先進国ではもっと低いことが予想される。季節性のインフルエンザで0.1%、今回の新型インフルエンザでは死亡率0.5%としても1万人の感染で50人(1000万人だと5万人)が亡くなる(強毒性の新型インフルの予想は3000万人感染で2%の60万人が死亡)」と書きましたが、
現在、死亡率が0.5%程度と考えられていますので、4月30日の時点での大雑把な予想とほぼ一致しています。

一方、今回の感染者は既に国内で10万人を越えているとの推計ですので、
 季節性インフルエンザと同じ0.1%だとしても100人、
 0.5%なら500人前後の死亡が予想されるところ、
それをはるかに下回る数名の死亡で「ウイルスが強毒化したのか」などという議論は成り立たないことがわかります。

新型、季節性に関わらずインフルエンザは強敵であるということなら話はわかりますが、季節性は大したことがなくて、新型は恐ろしいという感覚が未だにマスコミにも国民にも根強いようです。

小児の入院・重症例についての情報が欲しいところですが、今のところ報道以上のものはありません。

大阪府では学級閉鎖の基準を緩和して「季節性並み」にしたようです。
(というか、新型と季節性を区別しないということですねーそれが当然の帰結なのですが)

学級閉鎖の基準緩和 大阪、新型インフルで

 大阪府教育委員会は20日、感染が拡大している新型インフルエンザをめぐり、学級閉鎖の基準を緩和した通知を市町村教委などに出した。国の方針変更に合わせ、府内の一部の学校で夏休みが終わり、授業が始まっていることを踏まえた対応。
 従来は新型の感染者が2人以上いれば7日間の学級閉鎖としていたが、潜伏期間を考慮し、新型かどうかにかかわらず、インフルエンザの症状がある児童や生徒が10~15%に達した場合、当該クラスを4日間程度閉鎖することにした。
 また、新型と確定するための検査について、国が7月から患者全員には行わない方針に切り替えたことから、症状で判断することとした。政令指定都市の大阪市、堺市のほか、府内の私立学校も同様に対応する。

医師・歯科医師喫煙率8年で半減したが…

2009年08月20日 | 禁煙・防煙
「青森県内の医師の喫煙率は6.1%、歯科医師は6.8%、男性は7.3%、女性の喫煙者はゼロ、医師・歯科医師合計の喫煙率は6.3%で、2001年の13.8%から8年間で半減」というのが概要ですが、回答率が17.6%と低かったため、実際の喫煙率はおそらくその倍くらいはあるでしょう。「医師・歯科医師は喫煙すべきでない」と考える人が78.9%でしたが、裏を返せば2割以上の医師・歯科医師は喫煙しても構わないと考えているということ。
道のりはまだ遥か彼方。。

青森県内の医師・歯科医師の喫煙率と医療機関の禁煙化状況調査
http://ameblo.jp/aomori-aa/entry-10324644295.html

お盆:13日・15日半ドン、14日休診

2009年08月13日 | こども・小児科
 お盆中は13日(木) と15日(土) が午前診療で午後休診、14日(金) は休診となります。急病診療所当番は8月1日(土) 夜、15日(土) 夜の予定です。

 喘息教室は前記の通りです。赤ちゃん教室は7月はお休みで、次回は9月19日 (土) から再開の予定です。

 育児・子どもの心相談、禁煙外来(保険診療)は随時受け付けております。メール予約システムをご利用下さい。

(院内報6・7月号より)

衆院選タバコ問題アンケート回答

2009年08月10日 | 禁煙・防煙
青森県タバコ問題懇談会では県内の立候補予定者18名(選挙区16名・比例区2名)に対してタバコ問題アンケートを実施し、18名全員から回答をいただきました。

→PDFファイルのダウンロード

タバコ税増税については、9名が賛成、6名が反対、3名がその他の意見でした。自民前職3名は全員「増税反対」です。

葉タバコ農家については、11名転作を支援、5名がこれまで通り葉タバコ農業を奨励、2名がその他の意見でした。こちらも自民前職3名は全員「これまで通り奨励」です。

選挙事務所は9名が禁煙、6名が分煙、3名が対策なしでした。自民前職は2名が対策なし、1名が分煙。

喫煙者は2名(男性・自民前職)のみで、禁煙した人が5名、元々吸わない人が11名でした。

各候補者の回答の詳細はPDFファイルをご覧下さい。

消費税よりタバコ税:タバコ増税反対の候補を医師は支持すべきでない

2009年08月08日 | 禁煙・防煙
昨年12月に、日本医学会、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会など医療各団体の連名で提出した、

 たばこ税の引上げに関する意見書
 http://ishii-midori.sakura.ne.jp/report/ikensho081203.pdf
 禁煙推進議員連盟決議
 http://ishii-midori.sakura.ne.jp/report/ketsugi081203.pdf

これを自民・公明の与党はものの見事に叩き潰しました。
その中心となったのが大島理森氏であることは各社で報道された通りで、先日出席した懇談会でもタバコ問題について直接説明しましたが、具体的な返答はありませんでした。(「禁煙するかどうか考える」とのことでしたが)
私たちが実施したタバコ問題アンケートでも、タバコ税増税反対、タバコ農家転作反対(これまで通り推進)と、医師会の政策に真向から反対する意見を堂々と回答しています。確信犯と言えます。
 →衆院選候補者タバコ問題アンケート結果(大島、江渡、木村氏は増税反対)
  http://aaa.umin.jp/data/2009/200908kaitou.pdf
  (正式版は8月10日に発表予定)
引退した津島雄二氏は、自民税調会長という要職にあり、自身はタバコ税増税論者でありながら、何ら政治力を発揮しようとせず、何の役にも立ちませんでした。その息子の無所属候補について言及するつもりはありませんが、推薦する県医師会の気が知れません。(何のメリットもない…会員の利益を損なう行為と言えます)

タバコ税大幅増税でタバコ一箱千円になれば、毎年2~3兆円以上の財源が浮かび上がります。
→グラフ参照:26~51%が禁煙しても5.9~3.2兆円増収
 
2200億円の5年分である1.1兆円が1年でまかなえるだけでなく、タバコ農家転作対策を加えても十分すぎるほどおつりが来ます。
(参考:消費税1%=2兆円)

それだけでなく、3000万喫煙者の8割の2400万人が禁煙し、その半数の1200万人の命が助かる、それも全く何の財源も苦労もなく、税収はむしろ増加するのです。
更に、未成年の新たな喫煙者は限りなくゼロに近づくでしょう。
(当然、JTの経営は限りなく倒産に近づきますが)

このような劇的な医療政策は他ではあり得ません。
もちろん長期的な財源にはなりませんが、80%が禁煙するまで10年程度かかるものと予想されています。
予想に反して短くなるに越したことはありませんが、これはあくまで税収増が目的ではなく、タバコの惨禍から国民、なかんずく受動喫煙の煙害の中で育っている子どもたちの命を救うための、緊急かつ最重要の課題です。

自公政権はタバコ税についてマニフェストにも全く触れていません。
それどころか、タバコ税に手を付けずに消費税の増税を目論んでいます。
医療機関の損税については何ら手だてを打とうとせずに。
(いつも理解のありそうな発言はしますが具体的には何もしようとしなかった)

今回、民主党のマニフェストには残念ながら掲載されませんでしたが、政策集には、たばこ事業法廃止、タバコ税増税、JT規制がきちんと活字化されました。
私たちの永年の運動に耳を傾けてきた、その成果と言えます。
世界的に見ればごく常識的な政策ですが、この財務省支配の国では画期的なことで、この点だけでも今回は民主党政権でタバコ規制政策の根本的な転換をさせる必要があると言えます。

3千万人とその家族の命を救う政策とは、ごく簡単な当たり前のことで、それは医師会の政策そのものでもあります。
それを真向から否定するだけでなく叩き潰した候補を推薦することは、許されないことです。
国民の命を犠牲にした大島氏には今回は退場していただく必要があります。
(尾辻氏の「医師会の支持はいらないのか!」という叫びを無視してタバコ税増税を叩き潰した張本人ですから、医師会が支持する必要は更々ありません)
「団結して支持」など、どこをどう探してもあり得ない話です。

ご自身が喫煙しながら社会保障政策の意見を滔々と述べている方もいらっしゃいますが何の説得力も持ち得ません。
これは個人攻撃ではありません。
タバコ規制政策は、喫煙政治家にはできません。
喫煙教師には、防煙教育はできません。
喫煙医師には、禁煙治療はできません。医師は喫煙すべきではありません。
禁煙しないと、真実はわからないのです。
反発する方もいるかもしれませんが、「禁煙してはじめてわかった」というのは、禁煙治療で禁煙に成功された方から異口同音に伝えられる言葉です。

タバコ問題をアルコールと同列視するなど軽視・混同している方は(非喫煙)医師の中にもいらっしゃいますが、タバコ規制策組条約(FCTC)の『たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす<破壊的な影響>から現在及び将来の世代を保護することを目的とする(外務省訳)』という条文をご理解いただき、今回も争点になっていないタバコ問題を医師たるものは重要な判断の基準にすべきと考えます。

 この「予防可能なタバコ大流行(epidemic)」を食い止めることは
 いまや世界中の政治家にとって、公衆衛生上の最優先課題だ
  Dr Margaret Chan, WHO Director-General

本来、このような問題は超党派で取組むべきものですが、自公政権には絶対に実現できないと昨年末に痛感させられました。
政権交代が必要です。(私がここに書かなくても実現するとは思いますが)

ちなみに、前記の禁煙推進議連には、自民党の石井氏、津島氏(引退)、武見氏、西島氏、国民新党の綿貫氏、民主党の小宮山氏、鳩山氏らが参加しており、昨年増税のために結成された議連にも自民党の中川秀直氏、尾辻氏、公明党の北側氏、民主党の前原氏らが参加しています。
青森県内の各候補の回答は繰り返しますが下記PDFをご覧下さい。
http://aaa.umin.jp/data/2009/200908kaitou.pdf

新型インフルエンザ?

2009年08月07日 | 新型インフルエンザ
八戸市内でも発生していますが、特に慌てる必要はありません。
もし発熱などの症状があれば、かかりつけの医療機関に(診療時間内に)連絡の上、受診するだけで、毎年のインフルエンザや他の感染症と変わりません。
当院でも新型インフルエンザの患者さんの診療を行っております。
以前のように発熱センターに電話する必要はありません。
夜に熱が出たからといって、それだけで深夜に病院の救急を受診するようなことのないように。
具合が悪くなりそうなのに、帰省や旅行の予定があるので無理して出かけるなどというのが最悪です。

インフルエンザ予防接種の予約受付中(季節性・新型)

2009年08月06日 | 予防接種
 今年の秋から冬の流行に向けて、インフルエンザの予防接種の予約を開始します。電話または窓口でご予約下さい。予防接種は日程の確認などが必要になりますのでメール予約がご利用できません。よろしくお願いします。

 今シーズンは、既に伝えられているように「季節性」と「新型」の2種類が接種できる予定です。新型ワクチンの流通や優先順位はまだ決まっていませんが、小児は上位に入るはずですので、入手できる範囲で希望者に接種したいと思います。時期的には「季節性」が10月から、「新型」はその後になる見込みです。ご予約の方には決まり次第連絡します。

 接種回数は、「季節性」小児は2回が原則、13歳以上は1回または2回
       「新型」いずれの年齢でも2回
で、今シーズンは合計4回の接種となりますがやむを得ないかと思います。

 料金は昨年と同じの予定ですが、新型については再度連絡します。家族の同時接種での割引も昨年までと同様です。(決まったら別紙で案内します)
 新型ワクチンは季節性と同じ製法ですので同等の安全性が期待できるとは思いますが、新しいものですので不確定要因がゼロとは言えません。

(院内報6・7月号より)

インフルエンザ(新型・季節性)は全ての医療機関で診療

2009年08月06日 | 新型インフルエンザ
 新型インフルエンザについては前号にも書いたいたように、患者数の増加とともに規制が緩和されました。現在は「全数把握」ではなくなったので、国内で4千人超という数字も目安でしかありません。もし罹っても「強制的に隔離入院」される心配もなく、「一人発生したら県内全校休校」などということもなくなり、ほぼ季節性に準じた対策になっています。県内ではまだ「発熱外来」を続けているようですが、廃止した県も続出しています。国内では重症化した方は一人もなく、タミフルがないと治らないわけではありません。新型と季節性は、診断、治療、家庭での看護などの原則は変わりません。

 当院では、電話予約、感染症用の診察室、手指の消毒など一般的な院内感染予防対策で、現在も発熱や感染症の患者さんの診察を行っております。かかりつけの患者さんは、熱が出たら一々「センター」に電話したりする必要はなく、これまで通り電話で予約して受診していただければ結構です。流行が本格化すれば、感染症用の診察室を逆に「非感染症」の患者さん用にするなど、状況に応じて感染防止対策をとる予定です。

(院内報6・7月号より)

日本脳炎 新しいワクチンで接種できます

2009年08月06日 | 予防接種
 ご案内が遅くなりましたが、6月から新しい「組織培養型」のワクチンが発売開始になっています。他の予防接種と同様に、当院にお申し込み下さい。供給量が多くないようですので、申し込んでから接種できるまで少し時間がかかる可能性があります。対象年齢は

 第1期 3歳~7歳半まで 初回 3歳  2回
              追加 1年後 1回
 第2期 9歳~12歳(小学校4年生)  1回

 なお、この「組織培養型」ワクチンはこれまで従来型ワクチンを接種したことのない人にしか使えません(第1期初回)。従来型ワクチンを接種したことがある方や、第2期の場合は従来型のワクチンでの接種になります。

 なお、これまで日本脳炎が実質的に停止状態にあったため、第1期を接種せずに7歳半を過ぎた方は、大変遺憾ながら今回の接種再開の対象となっていません。国でも事態は重視していて、いずれ定期接種(無料)として接種できるようになるはずですが、もう少しお待ちいただくか、待てない場合は任意接種(全額自費)として接種するしかないようです。日本脳炎は青森県内にいるかぎり感染する可能性はほとんどありませんが、子どもたちが将来どこに行くかはわかりませんので、必要な回数は接種を済ませておきたいワクチンです。

(院内報6・7月号より)

感染症情報 夏かぜの季節

2009年08月06日 | こども・小児科
 夏かぜの季節に入っていますが、発疹や口の中のブツブツが特徴的な手足口病やヘルパンギーナの流行は今年は目立ちません。典型的な夏かぜは高熱が1~2日みられ、合併症は多くありませんが、熱性けいれんと無菌性(ウイルス性)髄膜炎には注意が必要です。嘔吐や下痢を伴うタイプもありますが、吐き気のある時期を過ぎたら脱水に注意しつつ少量ずつの水分補給で回復していきます。5月から小学生を中心に咳の多くなるタイプもみられています。

(院内報6・7月号より)

ぜんそく教室 8/22 と 9/26

2009年08月06日 | こども・小児科
 今年度の喘息教室は都合により8月22日 (土) と9月26日 (土) の2回の開催に変更します。いずれも会場は当院2階ホール。参加は無料です。

 第1回 「喘息の基礎知識」 喘息の症状 治療 くすり
  8月22日 (土) 15:00~16:00(14:30~ビデオ)

 第2回 「喘息児の日常生活とセルフケア」 環境 運動 ピークフロー
  9月26日 (土) 15:00~16:00(14:30~ビデオ)

(院内報6・7月号より)

ヒブ(Hib)ワクチン 定期接種化と自治体の補助を

2009年08月06日 | 予防接種
 1月から当院でも接種を開始しているヒブ(Hib)ワクチンですが、世界では途上国も含めて100ヶ国以上で定期接種(無料)となっているのに、日本では全額自費の任意接種のままです。当院では1回の接種に7000円(三種混合と同時接種の場合6000円)で、2~6か月児は4回、7~11か月児は3回、1~4歳児は1回の接種が必要になります。

 現在、各方面から定期接種化への働きかけを行っておりますが、政府は「新たなワクチンは副反応などの実績がなければ定期化できない」という姿勢を崩しておらず、現在任意接種における副反応調査が実施されているところです。

 7月現在、全国19自治体でヒブワクチンの助成が実施されていますが、県内では一つもありません。八戸市議会には請願書を提出し、8月には民生委員との懇談会で要請する予定ですが、市民からの声が行政を動かす一番の力になります。皆様からもお知り合いなどを通じて市政に声を届けていきましょう。

(院内報6・7月号より)