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インフルエンザ検査「陰性」なのに「インフルエンザの可能性が高い」と説明されたが?【その理由】

2016年01月30日 | 新型インフルエンザ
 インフルエンザの検査が「陰性」でも、インフルエンザを否定することはできません。(毎年同じことを書いてますが)
 同じ「陰性」という結果であっても、流行時(有病率が高い時)にはインフルエンザである可能性が高く、非流行時(有病率が低い時)にはその可能性は低くなります。
 極端な話、有病率100%なら何人陰性でも全員がインフルエンザであり(陰性的中率0%)、有病率0%の時には陰性なら全員インフルエンザではない(陰性的中率100%)、というのは数式やグラフを使わなくても直感的にご理解いただけるかと思います。
 現実には、受診した患者さんの有病率があらかじめわかっているわけではないので、流行状況を観察しながら患者さんへの説明を変えています。
 これが、同じ検査結果でも、流行時には「インフルエンザの可能性が高い」、非流行時には「可能性は低い」と、全く逆の説明になる理由です。
 実を言うと、患者さんよりも問題なのは、この「陰性的中率は有病率が高くなると低下する」ということを知らない医師がかなりいる(らしい)ことです。(知っていて「インフルエンザではない」と説明をしているのかもしれませんが、もしそうだとしたらそっちの方が大きな問題と言えます)
 こういう理屈を知らない一般の方に、検査陽性だから病気、陰性だから違う、という白黒はっきりした説明をするのは、一見するとわかりやすくて良いお医者さんのように思えるかもしれませんが、真実とは相当かけ離れた「簡略化医療」だということをご理解ください。