こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

山道で出会った鮮黄色の花、キンラン、2017年

2017-05-22 | 

キンランやヤマブキソウなどの花では木漏れ日を浴びると、その彩りがはっとするほど美しい。先日、あるスポットでキンランがその名に相応しい色の花を開いていた。



このような花の姿を前にして、わたくしは時の経つのを忘れてしまった。このランの仕掛けにはまってしまったかのように。ところで、ナタリー・アンジェは、その著書「嫌われものほど美しい」(相原真理子訳、草思社、1998年)において、「ランはこの世には「カモ」があふれているとの前提のもとに生きている。」と述べている(ここでのカモは花粉を媒介する昆虫である)。

唇弁での赤い筋、突起はカモ(昆虫)を誘い入れるための仕掛けである。そして、雄しべと雌しべが合体している「ずい柱」は自家受粉を防ぐための道具立てである。それにしても、ずい柱は優しい色を帯びている。


 

このとき、花(花冠)は上向きで半開きの状態になっていた。風が吹いていたので、木漏れ日の強弱と位置はたえず変化した。結果として、シャッターボタンを中腰の姿勢で数十回押すはめになった。そばに三脚を立てるなどをして、キンランの生息環境を乱すことはできない。

 

キンランは混合栄養性植物であり、共生関係にある土壌中のバクテリア(外生菌根菌)から栄養分を得ている。光合成によるのみでは生きられない。そのため、どこかに移植しようとしても結果は失敗に終わる。この絶滅危惧種の敵は、混合栄養性植物であることを知らないで持ち去ろうとする人々であると言われている。


ところで、雨のち曇り、そしてときどき弱い日差しの天候のとき、キンランは花を閉じていた。悪天候から子孫を残すための仕組みを守るためであろう。



撮影、5月上旬〜中旬、場所は不記載、EF 100 mm F2.8(Macro)、EOS 6D、手持ち、ピクチャースタイルは忠実度。


山道で出会った鮮黄色の花、ジャケツイバラ、2017年

2017-05-18 | 

先日、鮮やかな黄色の花が群馬・栃木の県境付近の林道沿いで咲いていた。花序が草むらの中に立っている姿には、このものがつる性の木の花であるとは思えないほどの存在感があった。

 

 

 


吸蜜しているハチの邪魔をしないようにして、花に近づいてみた。葉の形と付き方や枝にかぎ状の鋭い棘がある。ジャケツイバラ(別名、カワラフジ)が草むらで横たわっている姿はその名に相応しいだろう。

和名「蛇結茨」は、枝がもつれ合って伸びる姿がヘビ(蛇)がからみ合っている様子に見立てたことによる。花序は鮮黄色、果実は秋に熟し長さ10 cmほどで有毒。自然分布は本州(山形・宮城以西)、四国、九州、中国、ヒマラヤである(筑波実験植物園HP・植物図鑑)

 

 

林道にて。この付近では、数年前に山林火災があった。

この尾根を歩くと、仙人ヶ岳に至る。

 

5月中旬、曇り。


今年のカッコソウ、鳴神山にて、2017年

2017-05-12 | 

鳴神山の移植地にて(12日)。この山の固有種であるカッコソウが移植地(椚田峠)で花を開き始めた。開花しているものはまだ1/3程度であろうか。それでも、この絶滅危惧種の花がもつ雰囲気が感じられる。

花柄や葉柄に細毛が密生している。今年は、先週から気温が高くなったためであろうか。花柄は長めである。


移植地には、花が2段輪状についているものが何株か生えている。

 

これから、花の彩りが目立つようになるだろう。

淡色系の花は日差しがないときでも美しい。

 

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ルイヨウボタン(類葉牡丹)、移植地に近い群生地にて。

 

 

5月12日午後2-4時頃、鳴神山・椚田峠。

撮影では、100 mmの単焦点レンズ(マクロレンズ)を中望遠用として用いた。各画像はトリミングしたものである。このときの天候は曇りであった。


追記:今日は朝から雨が降っている(13日)。


萌葱色の景色を眺めながらの散策、2017年

2017-05-09 | 雑感

明日から皐月も中旬、周囲の山並みが初夏の色付きを帯びはじめた。しかし、緑が濃くなるにつれて、山肌の色が全体として単調になってきた。山で囲まれた市街地に住む者として、自分は周囲の色付きが枯木色から萌葱色へと変化する過程の美しさをついつい懐かしんでしまう。とくに、今日のようにどんよりとした空模様のときにはである。

近所の散策路からは鳴神山の東側が見える(矢印、右、980 m)。この山の固有種であるカッコソウの移植地は杉林の中にある。左の矢印は桐生城跡がある柄杓山(城山)である。この山では、サクラが散るとヤマツツジが目立つようになる。


別の地点で眺めた柄杓山(城山)。上空を流れる雲は、移り行く季節の彩りに相応しいかもしれない。

 

 柄杓山の手前での色付きから。

 


市街地を流れる桐生川の上流にて。

ダム湖に架かる橋は「NPO法人ITステーション「市民と建設」関東の橋百選」に選ばれている。 

 橋の上にて。

 

 上流側では、標高1100 m程度の山並みが背景である(残馬山、根本山など)。

 

ところで、近くの低山では何種類かの「山の花」が咲く。ヤマルリソウやイカリソウなどは道端の花である。

 

そして、ヤマザクラが終わる頃に、ウワミズザクラ(バラ科ウワミズザクラ属の高木、樹高 10-15 m 程度)がブラシのように見える花を開く

 

4月下旬から5月上旬、群馬県桐生市にて。

 


山頂から朝日が昇る、ダイヤモンドのような輝きで。桐生川ダムにて、2017年

2017-05-07 | 桐生川ダム湖

ダム湖の東側に、名が知られていない低山がある標高 460 m、国土地理院・電子地図)。ダム湖に架かる橋の上に立つと、この山が眼前に聳え立つ。さて、この低山の山頂から朝日が昇る場面はそれなりに見応えがある。三角形の頂点にダイヤモンドのような輝きが現れる。


 

 仮題「青空を背景とするダイヤモンド460 m ピーク」

 

頭光を全身に浴びるような感覚に陥って。

 

次いで、現れた水鏡。

 

 

この時は気象条件に恵まれた。青空、雲、無風状態、そして透明に満ちた空気感、これらがすべて揃うことは珍しい。ちなみに、今朝は、どんよりとした空模様(日差しはある)、霞んでいる山並み、彩度が落ちている山肌の緑など、周囲の景色が黄砂の影響を受けている。


撮影、5月5日午前7時頃、群馬県桐生市梅田町にて。


今朝の水面は水鏡になっていた。桐生川ダムにて、2017年

2017-05-05 | 桐生川ダム湖

ダム湖の水面が水鏡になるチャンスは年に何回ぐらいあるだろうか。今朝のダム湖は静かな朝を迎えていた。

上空に架かる橋と水面に架かる橋。

巻雲があればこその朝景として。

この透明感に誘われて、深呼吸。

朝日を浴びる新緑と上空の映り込みに惹かれて。

絵筆を握るつもりで。

釣り人は水鏡の雰囲気に浸っているに違いない。

 

ダム湖では、周囲の落葉樹林が枯木色から萌葱色や緑色に変わり、豊かな色彩の映り込みが水面に現れていた。


5日午前6-8時頃。

 

 

 


カッコソウ、この花に魅せられて、2017年

2017-05-02 | 

午前中であり、前夜に雨が降ったためであろうか。花の群れの彩りは一段と美しかった。群れの中で、雌しべが長いもの(長花柱花)が部分的に木漏れ日を受けていた。

 この花では、花びらの色、形、そして絹地を想わせるような質感が際立っている花の外まで伸びている雌しべはアクセントとしても印象的である。輪生している花は大きめであるために(3 cm程度)、各々の花びらの一部が互いに重なっている。さらに、太い茎は細い毛で覆われている。

花の色は、木漏れ日の強さに応じて微妙に変化する。


雌しべが短い花(短花柱花)。

逆光で見る短花柱花。


4月30日午前、小平(岩穴)管理地にて(当日の画像を追加、5月17日)


クマガイソウの蕾、木漏れ日の林にて。

2017-05-01 | 

杉林の中で、クマガイソウが木漏れ日を受けていた。その姿は、カッコソウの花を眺めながら静かに出番を待つかのようであった。

 

 


クマガイソウ(熊谷草) ラン科アツモリソウ属の多年草。杉林や竹林を好む。根茎は横に伸びる。


4月30日、みどり市小平、カッコソウ管理地(岩穴)にて。