こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

赤城山の花から、クサタチバナなど、2014年6月

2014-07-15 | 赤城山

亜高山帯での花を見たいとき、私達は赤城山に向かう。自宅から約1時間のドライブで各山頂の登り口に行けるからだ。ところで、赤城山との山頂はない。この山は火口丘や外輪山の集まりである(旧複成火山)。赤城山で咲く花として、田中澄江さんの「花の百名山」には、アツモリソウ(地蔵岳)とクサタチバナ(黒檜山)がリストアップされている。また、「新花の百名山」では、クサタチバナ(黒檜山)が紹介されている。

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ツツジの季節が終わると、クサタチバナ(草橘)などが咲き始める。自生地は、黒檜山のみならず、地蔵岳、五輪尾根などにある。

県道4号(赤城道路)の白樺純林駐車場近くの自生地。クサタチバナは渋い草花だ。そのため。この自生地は往来する車の人々からは注目されない。もっとも、路肩が狭いために、ここでは停車できないが。

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クサタチバナはキョウチクトウ科カモメヅル属の多年草だ。高さは30-60 cmである。

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茎の先で、直径2cm 程度の白花が開く。花期は6-7月。関東地方以西の本州、四国に分布する。クサタチバナは石灰岩地帯を好むといわれているが、赤城山は火山噴出物から成っている。

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この自生地は、林内の句碑の道にも近い。

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句碑の道にて。この道では、木漏れ日を受けながら森林浴が楽しめる。

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句碑の道にて。

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クサタチバナ以外の花から

木漏れ日を受けるクワガタソウ。クワガタソウ(鍬形草): オオバコ科クワガタソウ属の木陰を好む多年草(2年草)。雄しべ(2本)と雌しべが長い。

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オノエラン(尾上蘭): ラン科ハクサンチドリ属の多年草(日本固有種)。個体数はもともと少ないが、採取や環境の変化によって減っている。数県において、このものは絶滅危惧I類(将来、絶滅する可能性が高い) に指定されている。
花では、舌弁の基部にW形の特徴的な模様がある。 茎の高さは10-15 cm。数個の花が茎頭に開く。

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ポリネーターが吸蜜している。

 

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私達はが見たオノエランは満身創痍の状態であった。春から初夏にかけて、赤城山の気象が厳しかった(降雹や強い降雨)。このことを思いながら、よくぞ花が開くまで生き残ったものだと、私達は感動した。

このランが生えていることは、赤城山の植生が回復し始めたことを暗示する。何時か、アツモリソウを見たい。これは期待し過ぎだろうか。

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6月20-30日、EOS 6D、EF 100 mm (Macro) f2.8L、RAW、Aperture 3.5。

 


尾瀬散策、大江湿原での花、7月上旬

2014-07-11 | 湿原

「今週日曜日(6日)に撮った花から」


湿原では、ワタスゲの綿毛(種子)による白波が10年に一度と言われるほど見事であった。

同時に、他の何種類かの花も見頃となっていた。

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ここは湿原だ。彩りのアクセントになっているが、レンゲツツジは招かざる客であるかもしれない。

 

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ヒメシャクナゲ(姫石楠花)。このものは寒冷地の湿原を好むツツジ科シャクナゲ属の常緑小低木(高さ、10-30 cm)だ。

北海道や本州中部以北の湿原で、花が見られる。

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壺形の花冠、その付き方、花柄の色(グラデーション)、互生している葉の形と質感は、

典型的なシャクナゲを見慣れた人にとって新奇かもしれない。

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タテヤマリンドウ(リンドウ科リンドウ属)は北海道と本州中部以北の亜高山・高山帯の湿原に分布している。

このものは全体が小振りである。花茎の数は少なく、花の色も濃くない。湿原には、このものが群生しているところがあった。

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少しばかり寄り道。 スマートフォンのカメラで撮っていた人達は、この微妙な花の色が写し撮れないと嘆いていた。 

近くにハクサンチドリの花が開いていたために、花名がグループ内で伝えられた間にハクサンリンドウとなってしまった。

花のガイド役としては、苦笑と反省。


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ハクサンチドリ(白山千鳥、ラン科ハクサンチドリ属の多年草)。花は緑の中で目立つ存在だ。

そのため、花は紫外線を強く受ける。色が濃いのは抗酸化色素(アントシアニン)が多く含まれているからだ。

この色素は、紫外線で発生する活性酸素から種子を守る。

 

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マクロモードでの画像。なるほど、このランの舌弁は扇形で大きく3裂しているし、花の形は千鳥の飛ぶ姿に似ている。

さらに、花の付き方も千鳥足となっている(体験者としてのジョーク)。

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オオバミゾホウズキ(大葉溝酸漿)、深山の水辺に生えているハエドクソウ科ミゾホウズキ属の多年草。花期は7-8月。

このものは北海道や本州中部以北の日本海側に分布する(北方系由来の日本海要素植物)。

ツアーのために急がされたが、何とか花の内部(紋様と毛)をある程度までは撮ることができた。

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さて、帰りの車中(バス)で、ニッコウキスゲの花を何輪見たかが、ちょっとした話題になった。

湿原では、花がまだ数輪しか開いていなかったからだ。

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終わりの画像は、湿原から沼山峠に戻る途中で見つけたイワナシ(岩梨、ツツジ科イワナシ属の小低木、日本海要素植物、日本固有種)の

果実である。このものの名は果実が梨のそれに似ていることによる。

 

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こんなに瑞々しい果実が見られるとは! 喜び過ぎて、白飛びとフォーカスへの気遣いを忘れてしまった。


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ニコン Coolpix P7700、RAW。Aperture 3.5。

 


梅雨の晴れ間に尾瀬散策、大江湿原と尾瀬沼、2014年7月

2014-07-08 | 湿原

今週日曜日(6日)、ある体育協会のツアーに参加して、私達は大江湿原、尾沼、三平峠を歩いた。この日のルートは、檜枝岐村・御池駐車場 、(シャトルバス)、沼山峠入り口 、大江湿原 、尾沼ビジターセンター 、尾沼(三平峠)であった(往復)。

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御池駐車場にて、午前9時頃。この日は梅雨の晴れ間の日曜日であった。

シャトルバスは乗客数に応じて増便されたので、待たされることもなく、私達は沼山峠入り口に移動した。

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登山道は針葉樹などの森の中を通っている。道沿いに群生しているマイズルソウやゴゼンタチバナを眺めつつ、展望のない道(木製階段と木道)を辿ると、沼山峠(1784 m)を経て湿原に着く。トレッキングガイドでは、往路50分、復路60分となっている。ところで、尾では木道でのスリップによるものを含めてアクシデントが少なくない。群馬県防災ヘリコプターの業務統計によると、平成25年度は尾瀬で約10件の救助活動が行われている。

 

途中の沼山峠展望台にて

アオモリトドマツなどの木々が視界を遮っているが、尾沼の一部、荷鞍山(中央奥、2024 m)、 白尾山(右奥、2003 m)が見える。

至仏山が見えることを期待したが、残念。

 

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さて、湿原ではワタクゲ(綿菅)が見頃となっていた。風で揺れるワタスゲの群れのうねりは緑の海原に広がる白い波であった。

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白い波と尾沼方向へと歩く人々の列


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ときどき、歩いてきた道で振り返えると。


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午後になると、前日の雨で萎んでいた白い群れに、綿毛らしい質感があらわれた。

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燧ヶ岳が見え始めたとき、自分が数十年か前にタイムスリップしたような感情を、私は覚えた。高校生のときクラブ活動で尾瀬を歩き回ったが、その後は尾瀬に全く縁がなかった。

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尾瀬沼の岸辺で、燧ヶ岳(2356 m)の強い存在感に惹きつけられて、燧ヶ岳三景。

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カシミールによる山座同定

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岸辺にシラカンバが孤立している。シラカンバは湿原の乾燥した場所に一番乗りするパイオニアプランツである。


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 このようなパイオニアプランツは燧ヶ岳と組み合わせると、気象条件に応じて格好の被写体になるだろう。しかし、このものは何時か湿原の植生に大きな影響を与えるかもしれない。これは杞憂であってほしいが。

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湿原で咲いていた花から


タテヤマリンドウ

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花については次回に。

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ニコン(コンパクト) Coolpix P7700、RAW、Apple Aperture 3.5。