こつなぎの写真ノート

身近な自然の彩りを楽しみながら

新緑の一ノ倉沢出合で岩壁を見上げて(回想)、2012年6月

2023-06-26 | 谷川岳・草津白根山

谷川岳は群馬県と新潟県の県境に位置しています。そして、群馬県側では、マチガ沢、一ノ倉沢、幽ノ沢での岩壁が独特の景観をつくりだしています。

谷から響いてくる湯桧曽川の流れの音とブナ林の緑に包まれながら、谷川岳ロープウエイ駅から舗装道路(国道291号)を50分ほど歩きますと、マチガ沢出合を経て一ノ倉沢出合に着きます。国道291号は「旧道」とも呼ばれています。

「土合から清水峠に向かって、谷川連峰の腹を縫って断続した道が見える。これが清水越えの旧道で明治18年(1885年)四ヶ年の歳月と当時の三十五万円の巨費をかけて、平均三間幅の道路が完成されたのだが、僅か二年使用しただけで、雪害のため廃道になってしまった。(深田久弥、日本百名山(谷川岳))」

 

一ノ倉沢出合にて

烏帽子岩北陵にスポットライト(雲漏れ日)があたり、北陵の新緑が浮かび上がりました。険しい岩壁の景色に圧倒されながらも、この岩壁を覆いはじめた植物のしたたかさに、わたくしたちは心を動かされました。

北陵の左側は烏帽子岩中央陵と衝立岩、北陵の右側はコップ状岩壁、9時半頃。

 

岩壁の頂きは烏帽子岩です

 

出合に備えられていました案内板から

 

4ルンゼ(本谷)と滝沢下部(望遠にて)。ルンゼは雪崩の集積で磨かれた雪氷食壁地形(岩壁)です。蛇紋岩が磨かれてつくりだされた岩壁は日差しで輝くときがあります。

 

滝沢下部での滝(落差数百メートル)の望遠画像。深く削り取られた岩壁に生えている苔類や草木の緑が鮮やかでした。

 

一ノ倉沢での険しい岩壁は剣岳、穂高岳のそれらに比肩すると言われています。しかし、登山者でなくても標高差 1,000 m の絶壁を近くで眺められることにおいて、一ノ倉沢は特異な存在です。

山陵部分は霧で覆われていましたが、人々は唖然としたような表情で岩壁を眺め上げていました。わたくしたちも同様にです。

雪渓の上を歩き、より近い位置で岩壁を眺めたくなりますが、雪渓には危険なクレバス(割れ目)が隠れている恐れがあります。

 

出合は豪雪地帯です。前年の5月に訪れたときは、除雪直後の景色が残っていました。

 

さて、滝沢の上部が雲漏れ日を受けはじめたとき、私達は感慨を覚えました。左上の稜線で、一ノ倉沢を覆っていた霧の中に、自分達のブロッケン像を見たことがあるです。

 

別のときに、稜線で1,000 m 下の出合を撮ってみました。

道路において、右上は出発点方向です。左上はさらに奥の景勝地(幽ノ沢出合、芝倉沢出合)に通じています。

そのときは、同伴者に身を託し細心の注意のもとに出合を覗きました。稜線から迫力ある姿で一ノ倉沢を撮ろうとして墜落した例があると聞いています。

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ところで、岩壁の反対側で、白毛門(1.720 m) と笠ヶ岳(1,850 m、霧の奥)を覆う新緑や沢での残雪が雲漏れ日を受けている光景も印象的でした。

 

一ノ倉沢道路適正利用推進協議会・みなかみ町観光協会の案内パンフレット(2023年版)を引用・紹介します。

 


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撮影、2012年6月11日。

RAW画像の再現像、2023年6月25日

 

 



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