スミレファンとして、山道などでスミレに出会ったとき、芭蕉の句「山路来てなにやらゆかしすみれ草」を、わたくしは思い出す。ところで、近くの鳴神山(花の山として知られている。標高 980 m)には、固有種である「カッコソウ(サクラソウソウ科、種の保存法指定種)の他に、ヒトツバエゾスミレ(一葉蝦夷菫)が分布している。このものは、エイザンスミレの変種として葉が単葉化したものである。花びらは通常、淡紅色を帯びている。白色の花びらを持つ個体は極めて稀である。
白花品は「ナルカミスミレ」と呼ばれている。ネットで検索すると、「ナルカミスミレ」の画像が多数ヒットする。しかし、それらの画像の大部分では、花びらが少し色を帯びていたり、花柄が赤茶色を帯びている。花びらが白色で花柄が緑色のもの、すなわち白花・青軸品はほとんど登場しない。そのためであろうか。地元では、「ナルカミスミレ」は幻のスミレであるとされている。
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さて、親しい友人がある場所で「ナルカミスミレ」として売られていたものを購入し、元気を取り戻すようにとわたくしにお送りくださった(昨年)。その頃、わたくしが体調を崩していたからであった。
今日の暖かさに誘われて、プレゼントされてから育てていたスミレが花を開いた。
唇弁での縦の線の色は薄い。通常のヒトツバエゾスミレでは線の色が濃い。各花弁の基部を黄緑色を帯びている。側弁には白毛が生えている。
これは、日差しを浴びているときに撮った。
スミレの全体像。花のみならず距(後部)も白色を帯びている。花柄は緑(青軸)である。
2月に葉を開いたが、その後の寒さで葉はすべて枯れた。しかし、先月中旬から地上部が復活し蕾をつけたのであった。
4月5日朝の状態(追加画像)
しはんこのものはナルカミスミレもしくはその系統に属する交雑種であろうか。
ナルカミスミレに出会ったことがある自分にとって、取り組み甲斐のある宿題が生まれた。
友人に、結果を報告するとともに深謝の意を表する。
撮影、4月4日。マクロレンズ使用。