僕達の小さくて大きな森(6)

2020-02-06 06:37:18 | 童話
ある日、僕がテーブルで宿題をしていると、お母さんが梅の木の大きな枝を挿した花瓶をテーブルに置いた。
『倒さないでね。』
『うん、大丈夫だよ、倒さないよ。』
宿題が終ったので片付けをしている時に、エンピツを持った右手が梅の枝に近付いた。
その時、おじいちゃんの大切にしていた盆栽の時と同じように、エンピツがブルブルとなった。
『うわっ。』

僕は急いで友達の家へ行くと、友達も宿題が終っていた。
『大変だ、ブルブルとなったよ。』
『どこで?』
『今度は盆栽ではなく、お母さんが飾った花瓶の梅の枝だよ。』
『本当? 花瓶の梅の枝でもブルブルとなるんだ。』
『早くおいでよ。』
『うん、お母さんに君んちへ行くと言ってくるからね。』

僕達はエンピツを持って花瓶の梅の枝の前にいた。
『また二人でエンピツを近付けてみようよ。』
『うん、ソッとだよ。』
『ブルブルとならないね。』
『そうだね、今日はならないのかなぁ?』
『うわっ。』
『うわっ。』

僕達はブルブルを忘れかけていたのでビックリした。
『ブルブルとなったね。』
『うん、ブルブルとなったね。』
『盆栽の時のように中に入ってみようか?』
『今度も入れるのかなぁ?』
『そうだね、それに出られるのかなぁ?』
『行ってみようよ。』
『うん、あの動物達にまた会えるかも知れないしね。』
『たのしみだね。』
『行くよ。』

ブルブル、ブルブル。
『うわっ。』
『うわっ。』


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