カタツムリの富士登山(10)

2020-11-27 09:24:41 | 童話
そして、何日か歩いて下りて来ると、トンボがやって来て、『おかえり。』と言った。
だけれど僕の知っているトンボ君ではなかった。
そこへチョウチョがやって来て『おかえりなさい。』と言った。
『だけれど、一緒に登ったトンボ君とチョウチョさんとは違うね。』
『そうよ、チョウチョもトンボも1年しか生きていられないので、前に会ったチョウチョもトンボも、もういないんだよ。だけれど、僕がまだ卵の時に、カタツムリさんの事をお父さんやお母さんから聞いていたんだ。そして、お父さんやお母さんも、卵の時におじいさんやおばさんから聞いていたんだと、お父さんやお母さんが言っていたよ。だからここで待っていたんだよ。』
『そうなのか、うれしいなぁ。それでは一緒に下りて行こうか?』
『うん、いいよ。』
『ええ、いいわよ。』

そして、みんなで
『ランランラン、ランランラン。』
『ルンルンルン、ルンルンルン。』
『ピッピピピ、ピッピピピ。』
と歌いながら下りて行きました。
何日間かみんなで歩いて、富士山の登山口に着きました。


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