カタツムリの富士登山(11)

2020-11-28 09:13:08 | 童話
僕は長い間歩いたので、みんなで登山口の近くのキャベツ畑で休憩をしていました。
その時、キャベツ畑の持ち主さんがやって来て、みんなが休憩をしていたキャベツを箱に入れました。トンボ君とチョウチョさんは羽が有るので、他のキャベツへ飛んで行きました。だけれど、僕は飛べないので、キャベツと一緒に箱の中に入れられました。
『うわっ。』
僕は箱の穴から頭を出して、箱の外を見ました。箱の外には「たのしい農協キャベツ」と書いてありました。
「たのしい農協」は、僕がお父さんやお母さんと一緒に住んでいる所から近いので、少し安心しました。

『トンボ君、チョウチョさん、僕はこのまま箱の中にいて、僕の住んでいる所の近くに連れて行ってもらうからね。一緒に山から下りて来てもらってありがとう。みんな元気でね。バイバイ。』
『バイバ~イ、元気でね。』
『バイバ~イ、お父さんとお母さんを大切にしてあげてね。』
『うん、わかったよ。バイバ~イ。』

キャベツを入れた箱をたくさん積んだトラックが走り始めましたが、トラックはスピードが速く、トンボ君もチョウチョさんも追いつけませんでした。
トラックが「たのしい農協」に着いたので、キャベツの入った箱を全部下ろしました。

僕は箱の穴から外へ出て、お父さんとお母さんのいるお花畑へ歩いて行きました。
『お父さん、お母さん、ただいま、帰って来たよ。』
そして、僕はチョウチョさんとトンボ君と一緒に登った事や、富士山の山頂からのきれいな風景や、チョウチョさんとトンボ君と一緒に下りて来た事をお話ししました。
今度はどこへ行こうかな、考えていると楽しいよ。

   おしまい


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