1年だけの友達(3)

2020-10-05 06:47:57 | 童話
そして、秋となり、冬が終ってまた春になりました。
女の子が学校へ行く朝に、次の私は玄関の横から『おはよう。』と言いました。
女の子は玄関の横で、去年生えていたのと同じ小さな草が生えている私を見つけました。

女の子は
『あなたは私を知っているの?』
と言ったので、
『ええ、小さなお花を咲かせていたお母さんから、あなたに大切にしてもらったことを聞いていたわ。』
と答えました。
『そう、うれしいわ。あなたも大切にしてあげるからね。』
『ありがとう。』

そして、去年と同じように、
『行ってらっしゃい。』、
『おかえりなさい。』
とお話しをして、毎日同じ夢をみました。
また秋がきて、1年草はたくさんの種を残して枯れてしまいました。

その次の春に、女の子が学校へ行く時に、玄関の横から
『おはよう。』
という声が聞こえきました。
玄関の横を見ると、去年も生えていたのと同じ小さな草の私が生えているのを見つけました。
『あなたは私を知っているの?』
『ええ、小さなお花を咲かせていたお母さんから、あなたに大切にしてもらったことを聞いていたわ。そのお母さんもおばあちゃんから、あなたのことを聞いたと言っていたわ。』
『そう、うれしいわ。あなたも大切にしてあげるからね。』
『ありがとう。』
そして、私達と女の子との1年ごとの友達は、今も続いています。

  おしまい


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