なぜだろう(2)

2017-10-28 09:08:02 | 童話
電車に乗っていると、窓に映った僕が話しかけてくる。
「気を付けていないと、電車が揺れた時に転ぶよ。」
「うん、わかった。」
どうしてみんなが話しかけてくるのだろうか?
何時ごろから話しかけてくるようになったのだろうか?

夏休みのある日の夕立で、近くの大きな杉の木に雷が落ちた事が有る。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ピカッ、ドド~ン。
「ビックリしたね。」
僕がおもわずつぶやいた時に、部屋の中に置いて有るサボテンが
「そうだね、ビックリしたね。」と返事をした。
「えっ、だれ?」
「僕だよ。サボテンだよ。」
「サボテン君はしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるけれど、今迄黙っていたんだよ。」
「君以外にしゃべれる植物がいるの?」
「みんなしゃべれるよ。」
僕は玄関に飾っている花瓶の花に話しかけた。
「君もしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるよ。」
「机の僕もしゃべれるよ。」
「テーブルの私もしゃべれるわよ。」
「植物以外もしゃべれるんだ。」
「犬や猫もしゃべれるよ。」
「わぁ、楽しいなぁ。みんなでお話しをしようよ。」
「ワイワイ、ガヤガヤ。」
僕以外にも、みんなとお話しができる子がいるのかなぁ?

僕は友達に聞いてみた。
「ねぇ、君んちのお花やテーブルは話をするの? 僕んちのお花やテーブルはお話しをするんだよ。」
「うん、お話しするよ。」
「いつから?」
「この前の雷が落ちた時からだよ。」
「ふぅ~ん。僕んちと同じだね。」
「そうだね。」
「どうしてなのかなぁ。」
「どうしてなのかね。」
「だれかに聞いてみようか?」

「ねぇお母さん お花やテーブルはしゃべれるの?」
「えっ、人間じゃないのに、しゃべれるハズが無いでしょ。」
「僕んちのお花やテーブルもお話しするよ。」
「そう、不思議ね。」
「どうしてなのかなぁ?」
「お母さんも分からないわ。」
「ねぇお母さん、このテーブルとお話しをしてみて。」
「もしもしテーブルさん、お話しができますか?」
「僕には話しかけるのに、お母さんには返事しないね。」
「そうだね。今度はお花に話しかけてよ。」
「お花さん、お花さん、返事をしてね。」
「やっぱり大人には話しかけないんだ。」
「そうだね。」


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