飛べない妖精(6)

2014-12-06 09:47:24 | 童話
妖精の私が公園にいる時に、男の子が二人でケンカを始めてしまった。
大きくなったら野球選手になるか、サッカー選手になるかでケンカを始めてしまったのでした。

私は、二人の男の子にソッと息を吹き掛けました。
そうすると、二人は何でケンカをしていたのか忘れて、また仲良く遊び始めたのです。

子供のケンカは、すぐに仲直りさせる事ができるが、国同士の大人のケンカの戦争は、妖精の私にも一人では力が足りない。
どうしょう?
そうだわ、私の歌声でみんなをやさしい心にしてあげればいいんだわ。
でも、世界には何十億もの人がいて、一人ではできないので、みんなを呼ぼう。
世界の平和のために、私の歌声を世界に届けよう。

『ねぇみんな、やさしい心になりましょう、静かな心になりましょう、そして、素晴らしい世界にしましよう。そうすると、妖精は私だけではなく、みんなが妖精になれるのよ、飛べない妖精になれるのよ。
私は、みんなが妖精になれるのを、何百年でも待っているわ。』

飛べない妖精は、澄んだ歌声でみんなが妖精の心を持つのを待ちながら、いつまでも歌い続けているのです。

     おしまい


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