[写真]危険ドラッグ禁止法案を提出する、山井和則さん、中島克仁さん、井坂信彦さん、高橋千鶴子さんら野党各党議員、2014年10月10日(金)、民主党ウェブサイトから。
野党共闘の議員立法が、政府・自民党を突き動かしました。
危険ドラッグをめぐって、衆議院厚生労働委員会は、「100日間の夏休み」だった2014年8月4日(月)、閉会中審査を開きました。(関連エントリー)
この審議で意気投合した、野党全会派の衆議院厚生労働委員は、2か月にわたって、衆議院法制局をまじえて、法律案をつくり、第187臨時国会に、衆法1号として、「危険ドラッグ禁止法案(薬事法改正法案)」を提出しました。(関連エントリー)
この法律案は、自民党からも共感を得て、委員長提出法案として、出し直され、全会一致で可決し、成立。改正医薬品・医療機器法(平成26年11月27日法律122号)として、公布され、すでに施行されています。
私も改めてブログを読んで気づいたのですが、「1強多弱」と呼ばれた第46期衆議院で、野党全会派共同提出の法律案はこれだけだったようです。
正直言って、100日間も閉会中となると、多くの議員は海外訪問をしており、それでいいのですが、理事懇談会、理事会を開いて、委員会を開くという労をいとわなかった夏の日の思い出が与野党共通の体験となったようで、「国益に資する議員」は高い確率で再選しました。
第47回衆院選では、京都6区で山野和則さんが44・4%で6選、兵庫1区で井坂信彦さんが46・2%で2選、新設山梨1区で中島克仁さんが44・0%で2選するなどしました。
あらためて、8月4日の議事録を読むと、この時点で閉会40日だからこそ、個別訪問をしていた中島さんや、体験取材をしていたとあかす井坂さんらの質問が迫力があるのが分かります。
井坂信彦さん「確かに、現場に行って物を見れば、もう明らかに疑いがあるということがわかるケースも多いと思います。例えば、裏を見たら、絶対に吸わないでくださいとこれ見よがしに書いてあったり、あるいは日本語では書いてあるけれども、英語ではまた全然違う、何かこれは気持ちよくなりますよみたいなことが書いてあったりとか、ちょっと見れば怪しいということはわかるわけでありますが、そうはいっても、現場の裁量で、捜査官の主観でというわけにもいかないでしょうから、私の方から幾つか御提案をしたいんです。」
中島克仁さん「私の地元も、私なりに、飲食店初め多くの方に、この危険ドラッグの現状がどうなっているのか、知っている範囲で教えてくれというようなことも聞いてみました。そうしますと、恐らく今の中高生、我々もそういう時代があったわけですが、こういうところであれしてはいけませんが、例えばたばこに興味を示す年代とか、それと同じような感覚で安易に手に入れてしまう。そして、これは、麻薬や覚醒剤、大麻とか覚醒剤のように、ある一定のルートにかかわらなければさわらないというものではなく、友人から誘われる、そういう安易な状況にある」
さて、議員立法には、自民党と公明党も参加しましたが、非常に大きな前進がありました。自民党が2014年12月30日決定した「平成27年度税制改正大綱」に、危険ドラッグをはじめから輸入させない、禁輸にする内容が盛り込まれました。
大綱の122ページに、「七 関税 1 指定薬物の「輸入してはならない貨物」への追加 医薬品医療機器等法上輸入が認められていない指定薬物について、水際における取締りを強化するため、関税法上の「輸入してはならない貨物」に追加する。」
と盛り込まれました。
これを受けて、財務省は、関税法改正法案を執筆し、第189通常国会に提出する見通し。法案は、衆参の財金委で審議され、「日切れ法案」扱いで、2015年3月31日(火)までに成立するのは確実。
人の身柄を拘束する法律案は、閣法ではなく衆法・参法がのぞましい、という考え方があります。また厚労省では、麻薬取締官の仕事が忙しくなりすぎることへの警戒感があったようです。しかし、法律にしたことで、財務省が主管する関税法の改正という方向に、自民党税制調査会で話が行ったようです。
tag (宮崎信行)
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