
予算関連法案が、22日の衆・総務委、23日の衆・財金委で、大臣による提案理由説明があり、委員会での審議がスタートしました。
【衆・総務委員会 2011-2-22(火)】
まず22日の総務委は一般質疑の後に、片山善博・総務大臣が答弁席に。歳入にかかわる「地方税など改正法案(今177国会内閣提出法案4号)」の提案理由説明をしました。また国の歳入ではなく、国の歳出(かつ自治体の歳入)に関する予算関連法案である、「地方交付税法改正法案(177国会閣5号)」、「公害防止事業にかかる国の財政支援の特別措置法改正(延長)案(177閣6号)」も、プロセスに入りました。なお、交付税法改正案は公明党の賛成も得られる見通しで、参院でも過半数で、一発成立の可能性が高まっています。また、「公害防止財政支援特措法の延長案」は、1971年から10年ごとに延長してきています。1969年に、東京都議会が「都公害防止条例」を可決し、1971年に国会がこの法案を可決・成立させ、1972年に環境庁が発足。その後1981年、1991年、2001年に10年ごとに延長してきた法律ですので、政争の具にすべきではありません。
【衆・財務金融委員会 2011-2-23(水)】
午前中に予算委集中審議、午後にも同じく、そして、午後4時からは党首討論(QT)という珍しい国会日程でしたが、昼休みの午後12時10分に、野田佳彦財務大臣を引っぱり出してきて、財金委が開かれました。
2本の予算関連法案(歳入)の提案理由説明がありました。
平成23年度の赤字国債の発行に関する臨時特例法案(177閣1号)と所得税法など改正法案(177閣2号)の2本です。
野田さんは赤字国債臨時特例法案について、まず予算委が審議している平成23年度予算の概要から説明しました。それによると、「平成23年度予算(案)は、中期財政フレームにもとづき、財政規律を堅持するとともに、成長と雇用、国民の生活を重視し、『新成長戦略』とマニフェスト工程表の主要事項を実施する『元気な日本復活予算』です」と述べました。マニフェスト工程表の【主要事項】を実施する予算というところに、さりげなくキーワードと、第46回衆院選までに民主党政権がやるべきことのヒントが隠れています。そして、財金委にかかる法案の方はどういうものかについて、野田さんは、「この法律案は、平成23年度の財政運営に資するため、昨年度の当初予算より抑制した44・2兆円の国債の発行に関する特例措置を定めるものです」としました。ただ、この法案にはもう3つ「埋蔵金の繰り入れ」が盛り込まれていて、「基礎年金の2分の1にあたる国庫負担分の臨時財源として」財投特会、外為特会の積立金の一部を埋蔵金・税外収入として一般会計に繰り入れます。また、国鉄清算事業団や鉄建公団の流れを引き継いだ「独立行政法人・鉄道建設・運輸施設整備支援機構」から納付金として1・2兆円ほど返ってくるようです。一般会計書によると、同独法からは出資金のほか、205ページには「1・2兆円」とあります。まとめますと、「財投特会」「外為特会」「鉄建公団」から税外収入があり、これを基礎年金の半分(保険料と税金)に充てるということです。ですから、年金生活者、とくに国民年金で月8万円程度の受給者にとっては大きな法案です。
もう一つの「所得税などの改正法案」については、「所得・消費・資産の3つの面からの税制の抜本改革を進める」として、7つのポイントを野田さんは説明しました。(1)個人所得への課税として、給与所得控除の上限の設定と成年扶養控除の見直し(縮小)、(2)法人課税では、法人税率引き下げと(租税特別措置などの一部廃止による)課税ベースの拡大、(3)資産課税では、相続税の控除額引き下げと税率上げ、(4)消費税では、地球温暖化対策税制の導入、(5)市民公益税制の新設、(6)納税者権利憲章の制定、(7)粗特(租税特別措置)の整理・合理化(など一部の廃止)と、登録免許税の特例の延長(などの減税・免税の粗特の延長・つなぎ)について、所要の措置をした法案だ、と説明した、と私は受け取りました。利害関係者は、財務省のホームページや、衆議院インターネット審議中継、衆議院・参議院ホームページから見られる議案の全文などでご自身でご確認下さい。
そして、野田さんは最後、次のような決まり文句で提案理由説明を終えました。私自身、何十回聞いたか分からない決まり文句ですが、とてもズドーンとストレートに腹に収まりました。
「何卒ご審議の上、速やかにご賛同いただきますようお願い申し上げます」。
◇
提案理由説明だけで、審議は後日となりましたが、24日(木)は予算委と午後から衆・本会議で、「平成23年度の子ども手当法案」(厚労委付託)の趣旨説明と代表質問があり、25日(金)は衆・予算委分科会があるようです。その後は、28日(月)が衆・予算委しめくくり総括質疑と採決となりそうです。おそらく今回は予算案と予算関連法案の採決は切り離されると思います。しかし、修正するにしろ、つなぐにしろ、分割するにしろ、なるだけ衆院は早く過半数で提出して、参院で匕首を突き付けて、場合によっては、参院否決→両院協議会成案得ずというところまで持っていったらいい、と私は考えています。そこで、衆院再議決となり、3分の2をとれないと廃案になってしまうので、両院協議会でストップしたまま、つるす。たとえ年度末をまたいででもつるす。統一選があってもつるす。そこで、予算関連法案の修正とともに、両院協議会に関する国会法・規則の改正を協議するというのが、いいように思います。とはいえ、この政局ばかりは、考えていても、答えは出ません。ただ、将来出世する政治家は右往左往することなく、国会という法律工場の持ち場をしっかりこなすと思います。それが、国家国民のためにも、次の選挙のためにも、資することだということは、力のある現職議員なら誰でも思うことでしょう。
委員会終了後のネット中継で次のような場面が見えました。右から見て、赤(エンジ)のネクタイが退席する石田勝之・財務金融委員長、ダブルのスーツが野田佳彦・財務大臣。そして、右手を挙げて、野党委員席の法に向かう薄いピンクのネクタイの古本伸一郎・与党側筆頭理事と、古本さんの背中を小走りで追いかける大串博志理事。古本さんと大串さんはすでに「元財務大臣政務官」という立派な肩書きを手にしていますが、こうやって持ち場で地味にしっかりと働いているのが垣間見えます。古本さんは愛知11区、大串さんは佐賀2区で、聞くところに夜と、なんでも、愛知や佐賀の方はいろいろにぎやかなそうですが、私は古本さんや大串さんに期待します。ぜひ、委員会も現地で傍聴していただきたいと思います。そのうえで、ネット中継で偶然こういう場面が映ったら、「ああこういうことか」と想像しやすくなります。国会傍聴は無料ですが、「東京・国会議事堂前」駅までの交通費と手間は、残念ながら、一人一票とは大違いで、タイヘンな格差があります。そう言う意味では、恵まれた環境にあるわけで、当ブログとしても、しっかりと国益のために一人の国民として私はどうすべきかを考えながら、このブログを書き綴っていこうと考えています。とはいえ、ちゃんと手を抜いて、休んでますからご心配なく。まっすぐに、ひたむきに。
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