【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岐阜の阿知波吉信さん、岡田克也さんが10回目の応援

2012年01月10日 09時54分49秒 | 第46回衆院選(2012年12月)大惨敗

[画像]上の画像は昨年2011年のものです。ことし2012年のものではありませんので、お間違えなく。

 民主党1期生143人、自民党1期生4人ということで、民主党の1期生もだいぶふるいにかけられてきた感じがします。

 「アッチー」」こと阿知波吉信さん。現在は岐阜5区で、多治見市、中津川市、瑞浪市、恵那市、土岐市。ただ、岐阜は定数是正で全県6区に1増する可能性があり、区割りが変わる(全体的には狭くなるイメージ)かもしれません。

 その阿知波さんは、第44回郵政総選挙で初陣に敗れ、第45回政権交代選挙で小選挙区勝ち上がりで初当選しました。ちなみに、岡田克也さんは郵政初陣組には積極的に応援にかけつける傾向があります。昨年2011年1月23日(日)も岡田幹事長(当時)は、阿知波後援会の新年会にかけつけました。この日は第177通常国会の召集前日でしたが、岡田さんは第44回初陣組には万難を排してかけつけるんですね。

 ざっくばらんの会は、ざぶとんをつかった車座。各人の好きな距離感で話ができるざぶとんを活用したスタイルで、阿知波後援会名物だそうです。

 拍手の中登場した岡田さん。やぶからぼうに、「もう阿知波さんを応援に来ません!」と宣言。「なにごとだ・・・」とどよめきが。岡田さんは「私は代表時代から阿知波さんの応援に来ていて、きょうで合計8回目です。だから、あと2回応援に来て、合計10回になったら、もう阿知波さんの応援には来ません。その代わり、阿知波さんには、民主党の他の議員の応援に行ってもらいます!」と説明し、やんややんやの大喝采。

 阿知波さんは、早稲田大学雄弁会員と官僚(郵政省から総務省へ)の両方の経験がある珍しい現職国会議員です。小渕恵三さんの書生と橋本龍太郎首相の総理番記者(産経新聞社への研修出向)の経験もあります。歴史好きで「上杉鷹山」をブーム前から先取りして研究していた阿知波さん。総務省ワシントン駐在時代に、NASAフロリダのケネディ宇宙センターを訪れ、「スペースシャトル」の発射地点や「エクスプローラー」の発射地点を一つ一つていねいに回った阿知波さん。

 しかし、浪人経験もあってか、「私1期生の間は、地元のことしかやらないんですよ」と宣言。「1期生の仕事は次も当選して2期生になることだ」というのは、小沢一郎さん、岡田克也さんの両人が共有する認識で、私も全くもって同意します。

 岡田幹事長が来たときは、震災前でしたが、高速道路出口の渋滞が生活道路に影響を及ぼしているということを地図を使って、岡田さんに説明しました。橋をかけるのがいいという話になり、ざぶとんのみなさんから、「橋がかかった暁には、『岡田大橋』と名付けよう」とアイディアが出て、拍手喝采。

 震災後、国土交通省の東北の出先機関幹部の動きが良かったと評判になりましたが、この震災前の「岡田大橋」構想については、新年会から数日経ってから、国交省の東海ブロックの出先機関幹部が、「あのすいません・・・岡田大橋ってなんですか?」と訪ね歩く姿が目撃されています。出先機関も情報が遅いですね。岡田さんも阿知波さんと同じく東海ブロックです。

 そんな阿知波さんは、予算の政府原案づくりがピークを迎える11月に「公開陳情会」を企画しました。ゲストは国土交通副大臣(松原仁さん)。600人が集まっての公開陳情会でしたが、時代が違います。現在の岐阜5区は全5市でできています。だから、5市長さんが、地元の重要な公共インフラについて、分かりやすく説明しながら、国交副大臣に要請しました。出席者のみなさんも政治意識が高い方が多いとは言え、地元の市の国費公共インフラ整備について、詳しく説明を聞く機会は珍しいので、「なるほどああなっているのか」と合点がいったようです。

[画像]2011年11月19日に開催した「公開陳情会」のお知らせ

 核融合に関しても、ていねいに取り組んできました。が、震災後の世論が安定してませんが、じっくりと取り組んでいってほしいと、私は考えます。

 公明党の提案で、衆院に設置された「科学技術・イノベーション特別委員会」の2011年8月3日の審議(国会議事録)で、阿知波さんは小柴昌俊・東大名誉教授(ノーベル物理学賞)に質問しました。

 阿知波さんは、上に書いたワシントン時代のNASA訪問の経験から小柴先生に次のように質問しました。

 「宇宙開発に莫大な予算を使っている、しかし、こういうものがいかに意義があってとか、こういうものの役に立っていますとか、そういうことで国民を説得する姿勢にあふれているという現状を目の当たりにいたします」「先生がノーベル賞をとられたということも大きな説得要因にはなると思うんですが」「継続的に繰り返し繰り返し国民に対して税金の使い道について説得を行っていく、そういう機能を日本の国は増すべきだと思うんですが、いかがでございましょうか」

 これに対して、小柴先生はこう答えました。

 「おっしゃるとおりです。私は、カミオカンデ、スーパーカミオカンデのときにたくさんの税金を使って、それは大変に今でも感謝しているんですけれども、それに対する感謝の気持ちをあらわすのに財団をつくったということもあるわけなんです。おっしゃるとおり、国民に、一体どんなことが今行われているのか、その意義、ねらいというものがはっきりと示せなくても、こういう努力を今しているんだよというようなことは、やはりしょっちゅう伝えておく必要が大事だと思います。それをやるのは、国民に対して働きかけるというのは、代議士の先生方というのがやはり先に立って、例えば関係のある基礎科学の者を引っ張り出して、国民に対して、この件についておまえたちはどう考えているのかしゃべれというふうなことをやらせていただいた方がいいんじゃないかと思います。
 つまり、例えば私自身、もう九月で八十五になるんですけれども、私が言い出して、国民の皆さん、日本は今こういう計画をこういうふうにやっていますよというふうなことを言い出す機会というのは、なかなかできないんですよ。だから、やはり国会として、特にこういうふうな名前のついた委員会というのは、国民に対してPRというのを一つの大きな仕事として取り上げていただいた方がいいんだろう、そういうふうに感じます」

 アドバイス、というより重みのあるエールですね。
 
 陶磁器に力を入れていて、TPPやEPAで相手国の関税を引き下げ、輸出に活路を見いだせる、という政策の持ち主。定率関税表に詳しいので、地元周りで、「TPPでうちが潰れる」と心配する地元農家に、「おたくの品目は関税はゼロですよ」とその場で説明できる「使える地元議員」、それが「アッチー阿知波吉信さん」です。

 日本の未来に必要な政治家です。

 ところが、区割り変更の可能性以外にも、大苦戦しています。対抗馬は自民党の古屋圭司さんで比例復活しています。第44回郵政選挙では無所属で勝ち上がった強者です。第176臨時国会に「海外の美術品等の我が国における公開の促進に関する法律案」を出しました。この法案は第177通常国会で民主党案と自民党案をすりあわせて、衆院文部科学委員長(当時は田中眞紀子さん)提出に仕立て直すために撤回されました。日本と国交のない台湾の「故宮博物院」からの展覧会を日本で開けるようになります。この法案は震災前に、衆院を通過しました。その本会議を私は現地で傍聴していましたが、古屋さんはうれしそうにガッツポーズしていましたが、親友の安倍晋三さんを含めて、誰からも拍手や握手をされていませんでした。最近の自民党はちょっと元気がないです。震災後に参院でも可決、成立しました。

 週刊朝日2011年10月21日号で第46回衆院選の予想が出ましたが、ご覧の通り、岐阜5区は、古屋さんが「◎」、阿知波さんが「無印」となっています。 



 岐阜5区の5市は、2000年国勢調査から2010年国勢調査にかけて、各市とも2000人~4000人ほど人口が減っています。陶磁器の海外輸出だとか、あるいは核融合のこととか、絵に描いた餅に感じる方はいらっしゃるでしょう。でも、阿知波さん、アッチーに任せておけば大丈夫です。そもそも、阿知波さんを悪く言う人をいまだかつて聞いたことがありません。信なくば立たずです。政権交代チルドレンでも「アッチー」といえば今やオピニオン・リーダーとして、一定の信頼と尊敬を集めています。岐阜5区の方は幸せです。核融合のことも、嘘を付いてまで、自分の利益にするような人では絶対にありません。早稲田、郵政省、ワシントン、総務省そして郵政選挙で浪人。そして「地元のことしかしない」1期目から、与党だか野党だか分かりませんが、飛躍の2期目へ。阿知波代議士の可能性への挑戦はまだ始まったばかりです。

岡田幹事長、あちは吉信(岐阜5区)新春の集いに参加 多治見市 - 民主党

岡田克也幹事長は23日午前、岐阜県多治見市を訪れ、阿知波吉信衆院議員(岐阜5区)後援会が主催する、「ざっくばらんの会」と参加者600人を集めた「新春の集い」に参加した。

 「ざっくばらんの会」では中小企業経営者を中心に30人が車座になり、中小零細企業支援策、関税政策、高齢者福祉など幅広く、まさにざっくばらんに語り合った。冒頭、岡田幹事長より「率直に有権者と意見交換ができることは政治家にとって一番の幸せ」との発言があり、特に中小・零細企業支援策では現場の生の声を聞き、「さらに、きめ細かな政策にしなければならない」と述べた。

 「新春の集い」では、まず阿知波議員が挨拶に立ち、「地場産業である陶磁器産業は、生産量がピーク時に比べ4分の1に落ちた。ただしTPP(環太平洋連携協定)やEPA(経済連携協定)によって輸出先の関税を下げることができれば日本の陶磁器は海外に対して挑戦ができるとの声がもう一度地場産業の中から高まってきている」と指摘。「アメリカの場合、関税27%を下げ、国際競争力が復活する。まして他産業には効果が期待される」との見方を示すとともに、「よく効く薬は副作用もある。慎重に検討しなければならないが、日本中が元気になれる政策、それが経済連携協定だ」と訴えた。

 さらに、この地域が世界に貢献できるものとして、核融合科学研究所を取り上げ、昨年の補正予算で15億円を計上し、新しい実験を実施することになったと紹介。核融合は1リットルの海の水が250リットルの石油と同じエネルギーをもたらす最先端の技術だと指摘。そのうえで(1)日本の弱みのエネルギー自給を強め安全保障に役立つこと、(2)技術の活用と海外への売り込みによる経済成長、(3)二酸化炭素が出ない技術での地球環境への貢献、(4)石油がからむ世界紛争の要因が下がることでの平和貢献――など4つのメリットを説明。「地元からノーベル賞を出そう」と呼びかけた。

 リニア中央新幹線について触れ、駅の誘致によってもたらす経済効果、地域が大きく変わる起爆剤だと述べた。

 最後に、「現在の日本は停滞感、閉塞感で満ち溢れている。それを打ち破るのは今を生きる私たち日本人しかいない。私たちの力で日本を発展させ、後世に残して行こう」と熱く決意を語った。

 次に岡田幹事長が挨拶に立ち、通常国会について「菅総理がやりたいことは大きく二つ。一つは平成の開国、もう一つは最小不幸社会の実現」だとし、平成の開国については、自身が外務大臣時の話も踏まえ、民主党政権になってからの実績として、インドとペルーの二国間の経済連携協定の実質合意や日本とEU、日本と韓国との経済連携協定協議の再度スタートについて力説。その延長線上にあるのがTPPだとし、「6月までに我々も議論に参加するかどうかを決める」「農業については所得補償を軸にして、しっかりと手当をしなければならない」「時間があまりない中でスピード感をもってやっていく」と訴え、これが菅内閣の第一の柱になると強調した。

 第二に最小不幸社会の実現について、「菅総理が昔から使っている思い入れの強い言葉であり、不幸を最小化するのが政治の役目だ」とした。そのうえで雇用対策について、失業保険の適用範囲を大幅に拡大するとともに、雇用保険が切れる人については研修を受けることを条件に月額10万円の最低限の生活補償を行うことを説明した。

 そうした社会保障と財源については、「いろいろな意見があると思う。消費税の議論もある。しかし我々はこの問題から逃げてはいけない。覚悟をもってやっていく」と述べた。同時に消費税増税について「すぐ上げるといっているわけではない。我々はそういう時には選挙をする。それなくして消費税を上げることは、全く考えていない」とも語った。

 最後に、「この10年、20年なかなか前に進めることができなかった政治を、今年はしっかりと前に進めたい。頑張っていきたい。」と決意を述べた。

 その後、統一地方選民主党公認候補、来賓の地域5人の全市長さんとで乾杯。岡田幹事長と阿知波議員は、会場一杯の600人を超える参加者との写真撮影に気さくに応えるなど、和気あいあいとした雰囲気の中、交流を深めた。

あちは吉信ブログ 公開陳情会

公開陳情会って聞いて、ゲラゲラと噴出してしまう官僚たち。経験したことの無いスタイルだからでしょうか。これが少なくとも行政の現状なのです。そんな最中、松原国土交通副大臣をお招きし、公開陳情会を開催しました。

そもそも陳情なる言葉は、よく耳にするのですが、実際に見聞きした人は、ほとんどみえませんね。大切なことをお願いして、実現してもらう・・・。それを皆の面前で行えば、何が優先事項で、その扱いを政策責任者がどのように対応して行くのかなど、プロセスの段階から住民参加となります。また政治や行政の責任の所在を、将来に渡ってはっきりさせることができるわけです。「道路をつくる、橋をかける・・・。」、いいかげんな政治家の、いいかげんな公約。こんなものとサヨナラしようと気合を込めた企画だったわけなのです。

会の開催としては、最悪に近い、強い風雨の中で、それでも600人余りの皆さんの参加の元、行われました。

案件は、2つ。国道19号線の瑞恵バイパスの建設(21年来の課題)と、先の15号台風で水害を被った多治見の治水対策(抜本的な対策が一度も行われていない地域)です。

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