【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

東日本大震災復興特別委員会がスタート 復興基本法案と内閣法改正案審議入り 月曜朝イチに谷垣影の首相

2011年05月22日 11時58分07秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


(このエントリーの初投稿日時は2011年5月22日正午)

[画像]衆議院東日本大震災復興特別委員会のようす、2011年5月20日、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ

【2011年5月20日(金)衆・東日本大震災復興特別委員会など】

 さて、5月16日週の終盤国会ですが、巡航速度は順調さを増すばかり。衆議院は19日の本会議で、「東日本大震災復興特別委員会」の設置を決めました。予算委(50人)に次ぐ「45人委員会」で、特別委だと定例日は関係なく、いつでも開けます。

 東日本大震災復興特別委員会は、翌5月20日(金)にさっそく委員会を開き、民主党の後藤祐一さん(神奈川16区)の動議により、小沢グループの黄川田徹氏が委員長に就任しました。また理事は8人。民主党からは被災地から橋本清仁(はしもと・きよひと)さんが理事に。衆院当選2回。選挙区は宮城3区で、「震度7」の名取市、岩沼市、亘理郡の亘理町や山元町などが選挙区となっています。2期目の今期は国土交通委員会の理事や委員をやっていましたし、体が丈夫な人ですし、40歳と若いですから、閉会中審査もどんどんやって、ホントウにぶっ壊れるまでこの委員会で活躍して欲しいです。橋本さんは農相の鹿野道彦さんの秘書も経験しています

 その他の理事には、民主党から、1期生の中でも抜きんでつつある後藤祐一さんのほか、幹事長代理の藤村修さん、国対筆頭副委員長の三日月大造さん(元国交副大臣)政調筆頭副会長の山口壮(やまぐち・つよし)さん、、幹事長室、国対、政調のバランスがとれています。また、自民党から兵庫県庁出身で災害特理事が長い谷公一さん、元防衛庁長官・財務大臣の額賀福志郎さん、公明党からは石田祝稔(いしだ・のりとし=しゅくねん)さんが起用されました。

 
[画像]期待がかかる橋本清仁・復興特別委理事。




[写真]災害対策のプロ、自民党の谷公一理事。

 国会の会期延長がどうのこうのといいますが、復興特別委員会の閉会中審査という手がありますから、やはり6月22日で会期末として、7月8月の国会は省エネ。幹事長通達で、政府外議員の上京を禁じるほか、自民党には、党本部を使うよう要請。後は、復興特別委員会の45人に閉会中審査でがんばってもらうのが合理的。

 さて、初日の委員会では、19日の衆・本会議に続き、復興基本法案の閣法と自民党案が審議入りしました。なお、公明党は予算が必要な法案提出に必要な50議員に足りないため、「公明党案の骨子の発表」にとどめることになっていますが、政府・民主党は「公明党案の骨子」も活用して、修正をはかる構えです。

 さっそく、4本議題となり、

 内閣提出議案2本は、内閣府の主務大臣である内閣官房長官の枝野幸男さんが説明しました。
 東日本大震災復興基本方針・組織法案(177国会閣70) と内閣法・内閣府設置法改正法案(177国会閣71)

 続いて、自民党案は石破茂政調会長が提案理由説明に。
 東日本大震災復興再生基本法案(177国会衆8)

 それと、内閣から次の承認案件が。
 地方自治法の規定に基づき、現地対策本部設置に関し承認を求めるの件(177国会承認5)

 このうち復興基本法案に関しては、このブログでは「復興基本法・民主党案」「復興基本法・自民党案」と表記し、もう一つは「内閣法改正案」と表記します。なお、ヒトコト言いたいのですが、内閣法改正案を「閣僚3人増員法案」とも言いますし、岡田幹事長もそう言っていますが、橋本行革では江田憲司さんが閣僚枠を3人削って、総理+17閣僚にしています。当時、江田憲司さんは「あの大臣病の自民党に閣僚3人削減を飲ませただけでも、橋本行革の目に見える成果ではないか」と言っています。ですから、私は、「閣僚枠20人復活法案」と言ってもいいのではないかと思います。この法案はクセのある法案で、今国会中は、これがあれば、民主党政府外議員と自民党ベテラン衆院議員は、内閣入りをねらって静かにしています。仮に会期内に成立しないと、「何だ!」ということになりますが、そのときにはもう会期は終わっていますので後の祭り。とはいえ、復興基本法は修正のために何が何でも通さなければいけません。

 また、参院でも同じ委員会が、5月23日週の国会で設置が決まると思います。なお、5月23日(月)はのっけから、TV中継入りで、復興基本法案と内閣法改正案の審議があり、午前9時から谷垣禎一・影の首相が質問に立ちます。ここに来て、海水注入をいったんやめるよう指示する命令を官邸が出していたという真偽不明な情報が出ており、この情報いかんでは、菅直人首相に大きな政治的責任が出てくるかもしれません。風雲急を告げています。自民党は、岡田幹事長・安住国対委員長・輿石参院会長の指導で、終盤国会の巡航速度が増していることに焦っているでしょう。今週の国会はこの攻防が見所です。

 残り4週間+3日間となった終盤国会。例年、ここから先はあっという間ですね。そして、内閣不信任案はまず間違いなく提出されるでしょうが、やはり6月中旬以降ということになるでしょうから、もうしばらくは、しっかり法案をチェックしていきましょう。新聞の不信任をあおる記事は、読まなくて、オッケーです。

 ◇

 そんな中、民主党7首脳のひとり、安住淳・国会対策委員長が20日付メールマガジンで次のようなメッセージを発信しました。



[写真]成人式で話す安住淳・防衛副大臣(当時)防衛省ホームページから

[2011年5月20日付安住淳メールマガジン「安住淳が斬る!」から引用はじめ]

 「戦後のガレキと今のガレキ」


 地元の石巻をはじめ、東松島市や女川町もいまだガレキの山だ。百年分のガレキが一瞬にして出現した。

(中略)

戦中戦後を振り返って、その当時と今を見比べた感想を私に話してくれたものだ。その人が言うには、 「あの戦争のときは、確かにガレキの山ではあった。しかし、それぞれの町や村には若い人々があふれかえっていた。そしてしばらくすると、外地の復員兵も戻ってきた。何もなかったが人間のエネルギーはすごかった。次の年からどんどん子供も生まれて、貧しい中にも活気と希望があった。


しかし、今回のガレキの山のまわりには高齢者しかいない。 若い人々がいない分だけ、今回の方がより深刻のような気がします。」 という話だった。この話には、今回の震災の根本にある問題が見事に表現されていたと思う。
まさに、過疎で高齢化した地域を襲った、今回の大津波は、あの戦後よりも深刻な状況と見ることも出来る。だからこそ、この震災からの復興再生は、これまでにない日本の総力戦となると私は実感している。

[2011年5月20日付安住淳メールマガジン「安住淳が斬る!」から引用はじめ]

 19日の衆・本会議では、石破さんが「ここ(衆・本会議場)にいるすべての人(議員)が被災地に行き、現場を見たでしょう」と演説しました。私は、石破さんが政治改革を実現する若手議員の会の代表幹事をしていたころ、その演説を仰ぎ見ていた時代もありましたが、今は1度人を裏切る人間は2度裏切る、ということで、復党した石破氏をまったく信用していません。それにしても、前々から、石破氏のこういう精神論的な発言は大嫌いだ。なぜ、衆議院議員が全員、現地を見なければいけないという発想になるのでしょうか。被災地をみたら、ショックで、今年度予算は補正後、歳出が150兆円になってしまうのではないか。衆議院議員もしょせん人間だし、また、その任期は残り2年3ヶ月間しかない。

 これを長期戦として、平然と、予算を組んで、執行していく。10年先、20年先、100年先を見て、政治をやっていけるのは、岡田克也さんとか、ほんの一握りの人に限られます。


 
[写真]静岡8区選出の衆院議員、斉藤進さん。右は岡田幹事長、2011年1月、静岡県浜松市。

 みなさんも現地に行くほど元気はないでしょう。ただこのエッセンスだけは共有しましょう。アニキ(安住国対委員長)いわく「今回はあの戦後よりも深刻な状況で、復興再生は総力戦(長期戦)となる」

 そういう意味では、頼りがいがあるのは、この委員会に斉藤進さんが委員として加わったことです。ある時、厚生労働委員の斉藤さんが「タイヘンだ、タイヘンだ」と言うので、何がそんなにタイヘンなんだと思ったら、「このまま少子化が進んだら、400年後には日本から人がいなくなってしまう」とマジで心配していました。また、先日の毎日新聞静岡版のアンケートでは、浜岡原発停止の総理要請について、「賛成」とし、その理由を「浜岡で事故が起こったら日本存亡の危機」と答えていました。お父さんが航空自衛官だったから、勇気も根気もあります。こういう人が、民主党の1期生にもいるんです。数は少ないけど、います。

 こんなときに菅降ろしとか報道している新聞社ってなんなんでしょうね。およそ新聞記者は全員が無産階級者ですから、その日暮らしなんでしょう。NHKや朝日、民報などには、一部有産階級の子女が記者をしていますが、会社員である以上は、無産階級者です。無産階級者は、内閣不信任案の提出が、6月中旬以降だということまで気付かない。こういう変化の激しい時代には、人間がハッキリ見られます。新聞社もサイドビジネスでりんご畑でも始めたら、もう少し、先の見通しの良い記事を書けるようになるかもしれません。

 ところで、3月11日以来、あまり外出しないで、血のめぐりが悪く、風邪を引いてしまいましたが、自宅で本はだいぶ読んでいます。で、放射性物質が体内に入った場合、染色体が壊れて(異常が起きて)、遺伝に影響することがある、ということは間違いないようです。複数の本を読んでいて、偉い教授の「遺伝には影響がありません」という記述をずーっと精査していて、そこに嘘(正確に読むと、嘘ではなく逃げ道)があることに気付きました。ですから、性別・年齢に関係なく、なるべくマスクやレーンコートはした方がいいです。ついでに言うと、「3・11」以降、当家では節約大作戦をしており、電気、ガス、水道、お金を節約していて、最近ではその結果に快感を覚えるようになりました。自分自身もこれから先、どうやって生きていこうか、と思いを馳せることもあります。いずれにしろ、ハッキリ物を言える日本をつくっていきたい。政治を国民の手に取り戻したい。政権交代可能な二大政党デモクラシーを絶対に日本に根付かせるんだ、という結論に行き着きます。

 初心、継続。

tags 民主党7首脳=菅直人首相・民主党代表、岡田克也幹事長、仙谷由人代表代行(兼)官房副長官、枝野幸男・官房長官、安住淳・国対委員長、玄葉光一郎・政調会長大臣、輿石東・民主党・新緑風会会長



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