
【2014年2月26日(水)衆・予算委員会 第7分科会】
菅直人さんが質問に立ちました。
これに先立ち質問していた維新の丸山穂高さんが「大臣に質問するよりも、この後に質問する菅直人さんに質問したい」と語りました。
菅さんは「こちら側に立つのは5年ぶり。今若い人たちの質疑を聞いていて、30数年前に初めて委員会で質問したのを思い出す」と切り出しました。
菅さんは前日に政府(資源エネルギー庁)が原案を決定した「エネルギー基本計画(案)」について質問。
茂木敏充大臣は「10年余り(使用済み核燃料の)処分場がなかなか見つからなかったが、今後、最終処分のやり方(の技術)も進んでくるし、単に原子力を進める、進めない、ではなく、ベースロード電源からミドル電源、ピーク電源への筋道を示したバランスのとれた政府原案だ」と答弁しました。
ところで、ベースロード、ミドル、ピークってどういう意味ですか?
それはさておき、菅さんは「福島原発事故前と変わらない、いわば原発拡大計画であり、教訓が踏まえられていない基本計画案だ」と批判しました。
田中俊一・原子力規制委員長は「福島のような事故を2度と起こしてはいけない。そのために最悪でも100分の1の放射能流出におさえるために、(原発周辺自治体に)地域防災計画の策定をお願いしている」と答弁。
ここで、菅さんは、計画案の20ページに「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合する と認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める」との再稼働の基準について質問。
茂木大臣は41ページに書いてあるとしました。計画案では「国は、原子力災害対策指針の策定や防災体制の整備に加え、関係省庁を挙げて、引き続き関係自治体の地域防災計画・避難計画の充実化を支援し、災害対策の強化を図っていく」とあります。
これについて、菅さんは「自治体が策定した地域防災計画そのものは、原子力規制委員会の再稼働の審査の対象にならないのではないか」と質問し、茂木大臣、田中委員長ともとくだんに反論せず、認めました。菅さんは「それでは、再稼働の責任を国が負わないことになる」と批判しました。
そのうえで、東京電力福島第一原子力発電所4号機の原子炉の上にある「使用済み核燃料プール」について、水がなくなるとの指摘もあり、東京を含む5000万人が避難する寸前だったのではないかと指摘。
これについて、田中委員長は「プールの深さは14メートルで、半分になるまでの水量は700トンだ。1日70トンずつ蒸発していたので、10日間でそうなるという予測をしていた」と答弁しました。
私はこの答弁を聞いて、だったら2011年3月31日にはプールの水が空になっていた可能性もあるのではないかとの感想を持ちました。
委員室に戻ります。
菅さんは、「キリン」と呼ばれたクレーンによる放水に加えて、政府の畑村・事故調査委員長は「幸運だ」「もし水がなかったら、どうなっていたか検証してほしい」と書いていると指摘。
「たまたま原子炉の上に水が入っていて、最悪の現実にはまだ少し(時間と水が)あったということだ。東京を含む5000万人が避難する寸前だった。しっかり検証するように。質問を終わります」。
物静かに語って、淡々と立ち去っていきました。
同じ野党議員でも、5年前の菅議員とはすっかり違っていました。
[写真]薬害肝炎の資料を探しに厚労省地下倉庫に乗り込んだ菅さん、2008年=TBSニュースから。
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