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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

「売春防止法」66年ぶり転換、警察の「禁止」から厚労省・市町村「そのおそれのある女性の社会的福祉の支援」へ「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」全会一致で参議院委員会で起草

2022年04月12日 15時07分41秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
 「売春防止法」(昭和31年法律118号)が制定66年経ったコロナ禍で、歴史的な転換点を迎えました。

 「売春防止法」は、有斐閣六法全書などで「刑事法」に分類され、「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」とし「六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する」などとした、警察庁所管の内容を定めています。

 しかし、現行の刑事法の中で、売春防止法は罰則の後の条文が最も多く、「補導処分」「保護観察」が続きます。

 この「第3章 補導処分」と「第4章 保護観察」をすべて削除し、厚生労働省と地方自治体による「困難な問題を抱える女性への支援への支援に関する法律案」(208参法 号)が厚生労働委員会で起草され、全会一致で賛同を得ました。早ければ今月にも衆議院で可決・成立する見通し。施行は再来年4月1日になります。

 公明党の山本香苗参議院議員らがきょう(2022年4月12日)の参議院厚生労働委員会で起草案を朗読しました。

 山本さんは「現在居場所がなく家出した若年女性、性的搾取の被害者、家庭関係の破綻、生活に困窮する女性」に関して「売春防止法に基づく婦人保護事業がある」としました。「しかし、近年の複雑化で実態とかけ離れ、さらに新型コロナウイルス感染症の影響で支援が必要な女性が増えているとの現場の声がある」として、改革が必要だと強調。そのうえで「そのおそれのある女性に早期から切れ目なく社会的福祉が提供されるよう」に、厚労省や市町村が基本計画を立てて、女性相談支援センター、女性自立支援施設を整備するよう義務付ける法案だと説明。売春防止法の第3章・第4章を全削除し、第3章第17条に基づく法務省所管の「婦人補導院」も廃止するとしました。

 売春にいわば「虞犯女性」という概念が現行法規に入るのは、おそらく初めてと考えられます。

 父は昭和29年に初めて上京してから経済的に成功するなかで、よりどころとする地域社会を、古物営業法の監督官庁である、東京都・警視庁の防犯協力活動に求めました。この関係で私は生まれつき、必ず間に1人以上の人間を置いたうえで、東京の裏社会に詳しいのですが、売春防止法に関係する施設は、警察よりも保健所の権力が強い傾向があり、また経営権を所有する個人は超高齢女性で、郊外としての私の街に住んだり、貸しビルなどを経営したりしている傾向があります。このため、警視庁や国税庁も、保健所の顔色をうかがうという稀な権力関係になっています。警視庁は売春防止法ではなく風俗営業・適正化法に基づく日の出から午前0時までの営業時間の「日の出」規制が最大の取り締まりノルマとなる時期が長く、保健所の前には行けない現状。

 そして私たち古物商にとって一見客は経済的困窮者が多く、窃盗犯・経済犯のおそれのある者の背景に経済的困窮があることは、日々の生活の中で、火を見るよりも明らかです。このことを外で言うと、インテリから言葉で袋叩きにされて、私は早稲田政経卒の元新聞記者でありながらインテリを軽蔑する反知性主義者である下町の二代目社長という本来の地位に戻りました。

 また、ベトナム戦争終結後の、ベトナムのホーチミン市(旧・南ベトナム共和国サイゴン)の夜、母親が白いアオザイ姿の実娘を後部座席に乗せて売春を営業して回るバイクが大量にある光景に強い衝撃を得ました。さらに、私はベトナムでも集団監禁された経験があり、昼間に郊外の小屋で「彼女はシンガーだ」といういびつな英語表現ですすめられつつも当人の困惑の表情と、「姉だ」と名乗る似てない人に耐え切れず、全員に現金だけ渡して脱出したものの、顔を知られたことに恐れを感じたのか成人男性1人に都心部まで付け回されたこともあります。

 このように、犯罪の裏には経済的理由があり、お金の流れはとらえていると、かなり「虞犯人間」を「予防」「防犯」できるというのは経験的につかんでいました。つい最近もワクチン3回目接種まで時間が余ったという理由だけで所轄署の生活安全課防犯係にあいさつに行きましたが、桜田門に亡父や法人の名前を問い合わせたとたんに、おまわりさんの態度が良好になる経験もしました。


[写真]あまり役に立たなそうな外形的な印象の、警察庁・警視庁の浅草署吉原交番、テナントのため周辺の建物はすべて警察と無関係、東京・台東区で、宮崎信行撮影。

 「幼子1人を連れた女性」がたずねる吉原交番は頼りないけど、その周りには、住民票がない人が泊まれる「マンスリーマンション」があり、「福祉より風俗」だとみて取れます。

 しかし、コロナ禍でそもそも客が少ないので、吉原の問題ではない。今問題なのは、居場所がない若年女性の「非・管理売春」です。新宿警察署管内の歌舞伎町「トー横界隈」(現在は東宝がTOHOシネマコンプレックスを所有経営する東宝会館、以前の名称・経営者は「コマ劇」)。自主的に防犯活動をする若い男性は「体を売らない方がいい、一生カモられる」と、名前やアドレスの顕名による非・管理売春の危険性を説いています。私もまったくの一民間人として昼間にトー横界隈を歩き回る防犯活動をしましたが、それなりに効果があるようで、直後に買春グループの中心的な若者男(40歳代)が逮捕されました。

[写真]新宿警察署管内の「歌舞伎町トー横界隈」を頼まれもしないのに、勝手にパトロールする筆者、昨年末。

 映画「タクシー・ドライバー」のロバート・デニーロさながらのハードパワーの私ですが、「吉本の岡村さん」の予言の通り、コロナ禍は東京の第3次産業の女性に忍び寄ります。


[写真]コロナ禍としては初めて迎える1月3日(きょねん2021年)の午後9時半の東京・池袋で、「昼の仕事」を終えて帰る人の7割は女性。

 女性の第3次産業のメッカと言っていい「池袋」でも「昼の仕事」を終えて、9時半ごろに家路につくのが女性が多いのは一目瞭然。仕事を失えば「夜の仕事」かもしれません。

 コロナ禍で、私も含めて気づき、目覚めたことがあったのは、遅ればせながら良いことだし、経済的理由ということでは、コロナ禍はむしろこれからが本番だとの可能性を予見すべきです。

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