【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院は川口順子環境委員長を解任すべきだ 「新しい環境省」への思いなし 「谷垣問責」の過去も

2013年05月07日 23時59分59秒 | 第183通常国会(2013年1~6月)附則・附帯決議

(初投稿日時は2013年5月8日(水)午前8時半で、バックデート)

[画像]環境委員長選任のあいさつをする自民党の川口順子氏、第182臨時国会、2012年12月28日(金)、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 民主党・新緑風会ら「民維み」3党および生活の党、日本共産党、社民党、みどりの風、新党改革の8会派は連休明け初日の2013年5月7日(火)午後3時、橋本雅史・参議院事務総長に「環境委員長川口順子君解任決議案」(183決議3号)を提出しました。

 自民党の川口氏が参・議運委への届け出に背いて、連休前国会中に帰国せず、参・環境委員会が開けなかったため。解任は当然です。

 こちらをご覧ください。環境省の国会提出法案です。

環境省ホームページから引用はじめ]

●第183回国会(平成25年通常国会)

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案
大気汚染防止法の一部を改正する法律案
特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律案
放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案

[引用おわり]

 このように6本の法案を閣法(内閣提出法案)として出しています。環境省は第164回国会(第3次小泉内閣)で6領域7法案を出しています。今国会は6領域6法案ですので、事実上最多タイの法案本数となります。この中には東電福島原発事故による放射能被害に関する法案も入っており、震災後の「新しい環境省」の仕事も含まれています。内閣官房内閣総務官室がつくっている「第183回通常国会提出予定法案調べ」では、法務省が9本、国交省が8本、厚労省が7本、環境省が6本となっています。環境省の提出予定本数がベスト5入りするのは極めて異例です。

  「2643億円」ーーこれが川口環境相が第1次小泉内閣で組んだ平成14年度予算の環境省の予算総額です。
 「1兆3914億円」ーーこれは東日本大震災を受けた平成23年度最終補正(4次補正)後の環境省の一般会計予算総額です。

 私は長年、役所は予算が増えれば増えるほどうれしいのだろうと考えていましたが、津波によるおびただしい震災がれきの発生は環境省の予算を年度途中で7倍にしました。それは同時に宿題が7倍になったことと同様です。もともと厚生省にあった廃棄物行政を環境庁に移したため、このような未経験の宿題が積み上がった格好で、橋本行革の失敗であることは明らかです。行政改革会議の橋本龍太郎会長(首相)、水野清・事務局長(首相補佐官)の想像力の欠如です。そのことを水野清さんの後援会を受けついだみんなの党参院国対委員長の水野賢一さんが気に病んで、このところ参院環境委員の常連になっているのだろうと推測します。

 統一地方選で民主党推薦で三重県知事選挙に出馬する予定だった四日市出身の南川秀樹・審議官がきゅうきょ次官就任の話が出て知事選を回避して、環境事務次官になりました。昔の霞が関の常識では考えられないことですが、不思議な巡り合わせで、南川次官のリーダーシップで環境省はよくがんばってきました。ことし元旦には、福島駐在の39歳のキャリア官僚が「今富士山にいる」というメールを兄に出した後に絶命するいたましい「車輪の下」もありましたが、必死に国を支えています。

 このように環境相時代の感覚とは違う役所になった環境省が一生懸命に法案を出していたことに、川口氏は思い至らなかったのでしょう。

 川口氏には自民党の谷垣禎一総裁を落とし穴に落とした過去があります。昨年の第180通常国会の2012年8月29日(水)の参院本会議。この議事録は自民党内の混乱により、いまだにホームページ上に公開されていません。私のノートから再現します。(関連エントリー公明党友情の退席も野田首相問責 参議院野党は支離滅裂)。

 「内閣総理大臣野田佳彦君問責決議案」(180決議14号)が議題になりました。

 討論ではトップバッターの武内則男さん(民主党・新緑風会、高知選挙区=今夏改選)が「自民党のみなさんは提案理由をお読みになったのか?」「(社会保障と税の一体改革の民自公)3党合意をを否定する内容であり、自民党が賛成するのは節操がない」と呼びかけました。

 次に自民党を代表して川口氏が「賛成」討論に立ち、「決められない政治は与党(民主党)の資質の問題であり、その党首が野田総理である」「参議院は民主党が野田総理を次の総裁(代表の間違え)に(2012年9月の定期代表選で)選んでも、参議院はお迎えすることはない」と野党らしく野田首相を批判しました。そのうえで、川口氏は「自民党は与党力を持っています。いつでも政権に返り咲けます」として、残り任期1年を切っていた川口議員が、どのような手段でも与党に返り咲きたい意思があることをうかがわせました。

 そして、次に水野賢一さんが登壇し、「消費税増税はけしからん。というより3党協議けしからん」と演説しました。事実上、「野田問責」がみんなの党水野参院国対委員長がしかけた民自公への落とし穴であることが明らかになった瞬間でした。同党は衆院選で議席4・5倍増に成功しました。

 
[写真]水野賢一・みんなの党参院国対委員長(兼)参院議院運営委員会理事、みんなの党ホームページから。

 ここで川口氏は、谷垣総裁を落とし穴に落とそうとする自民党一部勢力の一員だったのか、あるいは単純に水野さんがしかけた民自公3党への落とし穴にひっかかったのか、不明です。

 川口氏は小泉内閣で外相も務めています。このとき、最も近い友好国であり、経済大国でもある台湾(中華民国,ROC)への訪問を申し出た水野賢一・政務官(当時・自民党衆院議員)の申し出を断ったため、水野政務官は辞任しました。

 今国会提出予定法案の資料は与野党問わず全議員に配られており、環境省の法案が多いことは、1月~2月の時点で中国大使館の政治部書記官も把握していたはずです。その情報網により、川口氏に元外相の国務委員が面会するという落とし穴がしかけられた可能性があります。 台湾訪問をのぞんだ政務官を辞任させた大臣として、中国は川口氏を「媚中派」として取り込んでいるのでしょう。

 聖徳太子の時代から、日中は対等の二国間関係を持っていますが、それは日本海という地政学的幸運もありますが、政治家たちが適度の緊張関係を保ってきたからです。台湾訪問をしようとした政務官を辞めさせ、国会の委員会を止めさせ、中国国務委員と会うような政治家は解任すべきです。

 清和会は利権の王様。

 川口氏は清和会の会員ではないようですが、小泉内閣の利権中心政治を象徴する隠れ清和会員でしょう。

 その一方で、水野議員についても、みんなの党幹事長代理の要職にありながら大人げない印象を持たざるを得ず、みんなの党の暴走にも自制を促したいところです。 

 良識の府、参議院は力強く、川口順子環境委員長を解任すべきです。

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