
[画像]公明党幹事長代行の衆院議員(広島県本部代表)の斉藤鉄夫さん(公明党YouTubeチャンネルからキャプチャ)。
民自公3党は、2011年12月16日(金)、郵政改革関連法案をめぐる3党協議を幹事長代行レベルで開きました。これには民主党幹事長代行の樽床伸二さん、公明党幹事長代行の斉藤鉄夫さん、自民党幹事長代行の田野瀬良太郎さんが出席しました。
斉藤鉄夫さんは、自公政権が第44期衆議院で成立させた「郵政民営化法」を議員立法で改正し、「郵便事業(株)と郵便局(株)を統合」することで親会社日本郵政(株)と、郵便事業・郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3子会社の「4社体制」にする。そして、東日本大震災の復興財源にするために、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を政府が3分の1超保有しながら、2022年9月末までに2分の1以上を売却する、との公明党案を出しました。ちなみに、私の手元の計算では、10兆円を越える税外収入(埋蔵金)が政府に入ると考えられます。
これを受けて、樽床さんは、3党合意ができた時点で、第176国会閣法1号~3号の「日本郵政改革法案」など3法案を、国会法59条にもとづき、内閣が撤回する考えに同意しました。
17日付日経新聞2面によると、旧名称および通称「全特」こと全国郵便局長会の柘植芳文会長は、斉藤鉄夫さんの事務所を訪れ、意見交換しました。関係者によると、公明党が第46回衆院選で9人擁立する「小選挙区での支援も視野にある」と話したと報じています。
麻生自民党内閣で環境大臣を務めた斉藤鉄夫さんは、1993年に中選挙区広島1区で初当選し、新進党で比例中国ブロックに転出。解党後に公明党再結成に加わった後も、比例中国ブロックで、広島市に事務所を構えています。ちなみに第4代自民党総裁で、第58~第60代首相の池田勇人さんは広島県内の特定郵便局長のせがれで、中国地方でイチバン有名な特定郵便局長のせがれだったそうです。前島密が明治4年に郵便制度をつくりました。なぜ明治4年という早い時代にわが国が郵便制度を導入できたかというと、5街道の整備と飛脚があったからでしょう。江戸~大坂が3日間ですから、江戸~京都は淀川を渡らないので2日間だったでしょう。これに加えて、山がちな地域でも、池田家のような造り酒屋など各地の名士に特定郵便局をやってもらうことで、ユニバーサルサービスの郵便制度が明治4年にできたのです。後輩の日本国民として誇りに思います。ですから、小泉純一郎さんが「自民党をぶっ壊す」「郵政民営化は改革の本丸」と言ったのは、いわば池田勇人さんの反対。もっとも自民党らしい総裁であった池田さんの「国民所得倍増計画」で大企業製造業の儲けを広く国民に分配した経済・政治体制とは反対の方向に日本および自民党を持っていこうとし、成功したのだということなんです。
公明党は北海道10区に稲津久さん、大坂3区には元「いしずえ会」の佐藤茂樹さんらを擁立します。これまでの創価学会とはかなり毛色の違う、全特の支援をもらうことになれば面白い選挙戦を展開しそうです。とはいえ、全特は第22回参院選で、候補者を一人も当選させられませんでした。民主党内でも連続当選している人は、「全特の票はたいしたことがない」としています。しかし、郵便局長OBと郵便局長夫人は、前述の歴史的経緯もあり、弁が立つ人が多く、「選挙戦をつくる」「陣営を引き締める」点では素晴らしい能力を持っています。そのため、選挙戦術や組織運営が不得手で、コアメンバーをつくれておらず、かつ区域が広い(過疎ぎみである)選挙区をかかえている人にとっては、「全特頼み」が強くなります。このため、民主党内では小沢グループに「全特頼み」の議員が多い傾向があります。とくに大阪3区では、国民新党の中島正純さんがいますが、彼は小沢グループ在籍中の政治資金収支報告書虚偽記載で民主党を離党し、国民新党の軒先を借りています。こういった調整も含めて、全特は上から目線で決められます。公明党内でも斉藤さんが説得する場面が出るのかも知れません。また当然「自公」をめぐって、自民党内、公明党内に摩擦が出る可能性があります。
これで3党合意ないし2党合意ができれば、日本のデモクラシーにとっても良かったと思います。どうしても、提出中の「郵政改革法案」は、郵政を再国営化するという法案だと考えている国民が多いからです。知識階級でも「みんなで選挙で決めたんだからさ、そのままやればいいんじゃないの」(歯科医院院長)ということで、郵政改革法案に反対していました。郵政改革法案は、郵政株の3分の2を売るのですから、民営化のプロセスを再び進めるものです。しかし、ほろ苦さもまじった「訓政期」の教科書である「郵政民営化法」をいかしたうえで、議員立法で手直ししていく。それが、「プロセスの透明化」「政治を国民の手に取り戻す」ことになります。
3党合意ないし2党合意ができれば、中期的な復興財源確保はヤマを越えます。公明党の斉藤さん、民主党の樽床さんの「新進党コンビ」が合意したことで、衆参とも過半数となり、ねじれを突破できます。ちなみに、通常国会での内閣による法案の撤回は、169国会(福田自民党)は0本、171国会(同麻生)は3本、174国会(鳩山民主党)は1本、177国会(同菅)は8本と増えています。これは177国会中に3党協議のしくみができたことで、閣法を撤回し3党合意による議員立法というスキームが構築されたからです。その証拠に169国会も衆参ねじれでしたが、撤回はゼロでした。このように衆参ねじれと3党協議による熟議の国会は進んでいます。もう少しスピードアップしてもいいですが、それだと議論について来られない人が国会議員でも増えることになり、プロセスが理解できなくなるというデモクラシーの大きな危機につながりかねません。このジレンマがあります。国民も試されますが、与党議員には、もうかなり悲惨な状態になっている人がたくさん出てきています。
あれから14年が経ちました。今でも年の瀬になるたびに、小沢一郎(氏)に新進党を解党された、それは目の前で親を殺された人とまったく同じかそれ以上の心の傷、トラウマでしょうが、うずきます。しかし、前を見なければなりません。新進党の志を持ち続け、新進党の枠組みを活用すれば、どんな国難も絶対に乗り越えることができます。
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