岡田克也さんは、共謀罪法案が衆議院を通過した、平成29年2017年5月23日の夜、メールマガジンで、
「権力というのは恐ろしいもので、一旦間違った方向に動き出すと止まらない場合がある」
として共謀罪法案の再改正や県警察などの拡大解釈に懸念を示しました。
岡田さんは「治安維持法が拡大解釈されて、特高警察と言われる人たちが、根拠なく人々を取り調べた時代とは違います」と大正15年(1925年)の大正デモクラシー当時とは違うとの歴史感を示しながらも、「それから昭和に入り、暗い時代が始まり、そして、1945年の敗戦を迎えるということは、想像だにできない時期でした。一般市民に及ぶことはないと説明された治安維持法がその後改正され、あるいは解釈においても拡大され、共産党やそれにつながる人たち、新興宗教、ジャーナリスト、学者などが次々と不当に拘束され、中には獄死した人もたくさんいるわけです」としました。
岡田さんは同日の本会議で、「法案に賛成の立場から討論した公明党議員の演説は、私を驚かせました。法案の必要性を強調するあまり、何の問題もない、心配はない、治安維持法とは全く異なる、そういった指摘を強い言葉で述べられた」としました。
同日の本会議では、公明党1期生の吉田宣弘さん(比例九州)が、「治安維持法と同一視する一部野党の批判は荒唐無稽であり、国民の不安を煽り、言論の自由を委縮させるものだ」と絶叫しました。吉田さんは共謀罪法案を「組織的犯罪集団に限定されており、これと関係ない一般の人は捜査の対象にならない。治安維持法は国体を変革する目的を持った結社に向けてつくられた法律だ」としました。
公明党立党者で、創価学会第3代会長の池田大作さんの著書、人間革命。「戦争ほど残酷なものはない」から始まり第1章「黎明」で、池田さんは「昭和18年7月6日、突如、牧口常三郎が下田で逮捕され、戸田も自宅から高輪署に連行された」と初代牧口会長、第2代戸田城聖会長が治安維持法で逮捕された時を振り返っています。池田さんは「治安維持法は共産党弾圧のための立法」としながらも、「無数の故なき罪人をつくった。法律が罪人を製造し、無実の人々の一生を、とりかえしのつかない破滅に追いやる」「特に戦争の末期において、この法律は拡大解釈され、ただ軍部政府を守るための弾圧法と化した」としています。
吉田議員は治安維持法を「国体を変革する目的を持った結社に向けた法律だ」とし、池田さんと同じく共産党弾圧のための法律だとしていますが、池田さんは、それから、拡大解釈され、軍部政府を守る弾圧法になった、との後日談を明示しています。(人間革命の引用は、聖教文庫版第1巻から、一部主語などを趣旨が変わらない範囲内で、筆者が追加しました)。
そもそも、共謀罪法案は新法ではなく、「組織犯罪処罰法改正案」であり、改正法です。今後、この重箱が改正されるかもしれません。岡田さんは、池田さんと会ったことはありませんが、その時代感というのは、岡田さんが正しいように、私には思えます。あたなはどう思いますか?
[2017年5月23日付かつやNEWSから全文引用はじめ]
○共謀罪─権力の恐ろしさに全く疑いを持たない議論は極めて深刻
組織犯罪処罰法改正案、いわゆる「共謀罪」の創設に関する法案、安倍総
理流に言えば「テロ等準備罪」。この法案が本日の衆議院本会議で採決さ
れ、与党と維新の賛成により可決されました。
わが党の法務委員会のメンバーが冷静に議論して、例えば、一般市民が巻
き込まれることがないのかという問題を指摘したにもかかわらず、ほとん
どまともに答弁されることがなかったことは極めて問題だと思います。審
議時間も30時間という短いものでした。
今日の本会議でも、法案に賛成の立場から討論した公明党議員の演説は、
私を驚かせました。
法案の必要性を強調するあまり、何の問題もない、心配はない、治安維持
法とは全く異なる、そういった指摘を強い言葉で述べられたのです。
もちろん、現在の日本の状況は、治安維持法が拡大解釈されて、特高警察
と言われる人たちが、根拠なく人々を取り調べた時代とは違います。
しかし、治安維持法が国会で成立したのは1925年。すべての25歳以
上の男性に選挙権が認められた、普通選挙法の成立と同じ国会でした。
当時は、「大正デモクラシー」と言われた時代で、それから昭和に入り、
暗い時代が始まり、そして、1945年の敗戦を迎えるということは、想
像だにできない時期でした。
一般市民に及ぶことはないと説明された治安維持法がその後改正され、あ
るいは解釈においても拡大され、共産党やそれにつながる人たち、新興宗
教、ジャーナリスト、学者などが次々と不当に拘束され、中には獄死した
人もたくさんいるわけです。
権力というのは恐ろしいもので、一旦間違った方向に動き出すと止まらな
い場合がある。だからこそ、法案をしっかりと検証して、可能な限り歯止
めを入れておく、明確にしておくということは、立法府である国会の非常
に重要な役割です。
これは、与野党関係なく持っていなければならない感覚のはず。全く権力
に対する疑いを持たない、そういった議論が国会でなされたことを、私は
深刻に受け止めています。
これから参議院の審議もあります。もっともっと国民の皆さんの関心を高
めていただき、少しでもより良い結論になるように努力していくことが必
要だと思います。
[全文引用おわり]
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