【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院1998年体制崩壊、旧民社党出身の岡崎敏弘・事務局長は第3会派「国民民主党・新緑風会」続投、旧総評系日教組は国対委員長ながら離党して第4会派「立憲民主党・民友会」へ

2018年05月09日 16時16分13秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 参議院の構成が大きく変わりました。きょう平成30年2018年5月9日(水)の本会議。

 内閣委員長は、自民党が8年ぶり、与党は5年ぶりにポストを獲得。柘植芳文委員長(全特・郵便局長会)で、「IRカジノ実施法案」(196閣法64号)の成立はちょっとだけ近づいたと言えるでしょう。

 経済産業委員長は、国民民主党・新緑風会の浜野喜文さん。

 国土交通委員長は、無所属に転じた議員に代わり、筆頭理事を務めていた、国民民主党・新緑風会の長浜博行さん。長浜さんは千葉県連の盟友・野田佳彦さんは無所属、派閥の後輩・蓮舫さんは立憲民主党参議院幹事長、県連の裏、小西洋之さんは無所属と分かれました。

 環境委員長は、斎藤嘉隆さん(日教組・愛知県選挙区)が、まわりました。

 国家基本政策委員長は、辞表を出した鉢呂吉雄さんが、再び就任しました。

 副議長は郡司彰さんが来年夏まで続投することになっていて、辞表などは出ませんでした。

 「自民党・こころ」が125議席で単独過半数。第2会派の公明党が25議席、旧同盟系が応援する国民民主党・新緑風会が24議席、旧総評系が応援する立憲民主党・民友会が23議席となりました。

 日教組組織内の那谷屋正義さんは最大野党参議院国対委員長でしたが、第4会派「立民」に移籍し、新国対委員長に。一方、岡崎敏弘事務局長は引き続き、第3会派「国民民主党・新緑風会」事務局長をつとめることになりました。

 1998年4月の第2次民主党は結党後、衆院補選で大敗したものの、苦戦が予想された7月の参院選で大勝。それから20年にわたり、参議院優位の体制が続きました。菅野久光さん、本岡昭次さん、輿石東さんら旧総評の日教組組織内議員が議員会長をつとめて、副議長に上がるルートが確立されました。旧総評組織内でない会長は3人いましたが、旧同盟組織内はただの一人も会長になっていません。それを、旧民社党職員出身の岡崎敏弘さんが民主党・新緑風会の事務局長(民主党本部参議院国対事務部長兼務)として、独自の選対、毎週木曜日のファクス新聞「国対ニュース」、新人全員毎週勉強会をし、会派の組織を強くしました。

 過去20年間の「自・民国対委員長会談」ですべて決まる参議院の体制が変わりそうです。昨秋の衆院側の激変に加えて、民進党の重鎮が相次いで引退し、引退後も影響力を持っていた輿石東・前副議長もことしからあまり関与しなくなりました。このため、今第196回通常国会から、衆議院の野党の情報がほとんど、参議院自民党国対を通じて伝わる状況になっており、衆参与野党の関係が流動的に。

  経済産業委員長。日教組の斎藤義隆さん(立民)が辞任し、電力総連・関電労組の浜野喜文さんが就任。電力総連はわずか半年で、経済産業委員長ポストを取り戻し、原発依存度が最も高い関電労組からはわずか8年ぶりの委員長になります。こういう混乱時には、組織が強い産別系議員が頭角を現しますが、国民民主党内で、原発利権の発言力が高まることが懸念されます。

 おそらく、旧総評系、旧同盟系は「すっきりした」というところなんでしょう。

 自公民とも、40代のさわやかなイケメン男女を新人として組織を挙げて当選させ、6年ないし12年後に、50代にして元職にしてしまう。その50代が今どうしているかは、永田町では誰も知らない。このような、野村証券のような会社となった参議院ですが、昨秋から野党の重鎮不足を懸念する声が上がっていました。

 昨秋の経緯からして、日本人には、二院制は絶対に必要ですから、これを奇貨として、よい方向になるような気がします。

 参議院1998年体制が完全に崩壊しました。

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(C)2018年、宮崎信行。

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