
[写真]自民党の野田総務会長、自民党ホームページから。
衆参ねじれで、与党自民党の内閣提出法案の事前審査制による国会空洞化に歯止めがかかったことが分かりました。
衆参ねじれ直前の2007年1月25日召集の第166通常国会(第1次安倍内閣)と、2013年1月28日召集の第183通常国会(第2次安倍内閣)の「総務会長」などの新聞記事登場件数を調べてみました。
「総務会長」は、6年前は朝日・読売・毎日の合計で「602件」ひっかかるのに、今国会は「300件」と半減したことが分かりました。
個人名で、6年前の「丹羽雄哉」は「81件」で、「野田聖子」は「74件」。知名度が高い野田総務会長でも、ねじれ前の丹羽会長に比べて新聞登場回数は減っています。
「政調会長」は1108件から738件と3割減りました。さらに「自民党 and 政調会長」で絞ると、794件から496件と4割減っています。
個人名でも6年前の「中川昭一」が「262件」で、「高市早苗」は「181件」となっています。
野田聖子さんにしろ、高市早苗さんにしろ、女性起用をしていなかったら、総務会長、政調会長の注目度がもっと減っていた可能性があります。
事前審査制とは、内閣提出法案(閣法)であっても、自民党の政調会→総務会を通らないと、国会に提出できないという制度。このため、閉ざされた自民党総務会を通れば、衆・委員会、本会議、参・委員会、参・本会議はセレモニーにすぎないとして「国会空洞化」「国会軽視」につながってきました。
議会制度の権威、大山礼子駒大教授(元国会職員)の『日本の国会』(岩波新書)は、その序章で、「衆議院の本会議審議時間は当初、年間100時間を上回っていたのだが、近年は60時間程度まで減少している」「国会審議の形骸化を招いた最大の原因が、自民党政権下で形成された与党事前審査制の慣行にあったことは疑いない」(2ページ、3ページ)と分析しています。そして、「法案修正が活発に行われている諸外国の議会でも、実は修正の多くは与党議員の発議によるものなのである」と指摘しています。先の第183通常国会は、附則も含めて閣法を、自民公維みの5党が修正し、修正案朗読者は民主党衆院議員がつとめるパターンが頻出しました。 私は衆院・委員会をインターネットでみていて、たびたび目にしました。
そして、生活保護法改正法案や電気事業法改正法案に興味がある人は、会期末に向けて、インターネットで参・厚労委や参・経産委を見ていた人は、「会期末までに審議時間が間に合わないのではないか?」と、会期終了の3日~2週間前には気づいた人が多いでしょう。そこで、Twitter上で廃案に向けた世論が盛り上がったこともあり、廃案となったようです。その経緯もまた、野党参院議員から説明があるという新しいデモクラシーが始まりました。
このような法案審査システムは、ねじれ解消ならいったん打ち止めになるでしょう。
ただ、衆参ねじれが、国会という平場でインターネット入りで、法案をこねるという、当たり前の民主主義を国民が取り戻すきっかけになったことはたしかです。
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