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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

衆議院事務総長に「発信力」の向大野新治さん おつかれさま、歴史の証人「安定」の鬼塚誠・事務総長は退任

2014年06月20日 15時00分27秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[画像]向大野新治・第15代衆議院事務総長、2014年6月20日(金)、衆議院本会議、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 伊吹文明衆議院議長は、鬼塚誠(おにつか・まこと)事務総長から提出された辞表について、本会議にはかり、全会一致で了承を得ました。

 ここで、欠員となった事務総長選挙に入りましたが、緊急動議により選挙を省略。議長は、向大野新治(むこおおの・しんじ)事務次長を第15代衆議院事務総長に選びました。

 鬼塚体制では、4人目の事務次長となった向大野さんですが、順当に事務総長になりました。

 向大野さんは、鬼塚さん同様に、東京大学法学部卒業。衆議院事務局で上級職採用が始まった1期生が鬼塚さんですので、衆議院事務局も、府省とそん色なくなってきたようです。

 向大野さんは、東京都出身ですが、今は千葉県在住で手賀沼サイクリングが趣味。

 2003年1月1日付で、綿貫議長(駒崎義弘事務総長・鬼塚事務次長)時代の秘書課長に就任。庶務部長、警務部長、管理部長を歴任。その後に、本会議をつかさどる建制順筆頭の議事部長を、2010年7月1日から震災を経て2011年9月1日まで務めました。それから委員会をつかさどる委員部長に就任。委員部長経験者の事務総長昇格は3代連続。2012年10月1日、事務次長となりました。

 来年か再来年には、内閣官房長官から解散詔書を受取り、確認して折り目を付けて、伊吹議長に渡し、第47回衆議院議員総選挙の後の、第75代衆議院議長の選挙を取り仕切ることになりそうです。

 向大野さんは早大講義録をもとにした自著『政治の考え方』で、「制度的には、政権交代が議会の最大の役割であり、野党側が与党側の示す政策や法案等に同意せず、彼らを窮地に追い込もうとするのはある意味当然」「国会での対立は、単に与野党議員の対立ではなく、必ず国民間の意見の相違がその背後にある」(290ページ)と主張しています。頼もしい限り。前回の政権交代期に衆議院事務総長をつとめた谷福丸さん(第129回国会から第158回国会)は先例にとらわれない、我々細川・羽田内閣連立与党および野党・新進党に厳しい事務総長でした。しかし、向大野さんは、きっと最大野党・民主党を支えることによって、国民のための政治体制の構築すなわち衆議院事務局のパワーアップができる事務総長になるだろう。そう期待せざるをえません。

 前回の交代の際は、辞表が出された後事務総長が議長と握手をして退場。事務次長が事務総長席に代理で座った後、事務総長に選ばれました。今回は、これに先立つ大臣不信任決議案の記名投票表決終了後に、あらかじめ、席を交代していました。はにかみやの鬼塚さんらしい交代でした。

 鬼塚さんの在任期間は、第171通常国会最終盤の2009年7月9日から第186通常国会最終盤の2014年6月20日までとなりました。

 まさに憲政史最大の歴史的局面において、そつのない「安定の鬼塚」だったと言えましょう。

 この間、麻生内閣がつくり河野議長が朗読した衆議院解散、民主党への政権交代、衆参ねじれ、東日本大震災、社会保障と税の一体改革法の採決をめぐる小沢一郎氏らの造反、野田内閣がつくり横路議長が朗読した衆議院解散、自民党への政権再交代、伊吹議長就任、衆参ねじれ解消。まさに歴史の証人となりました。


[画像]最後の本会議で、議長の命令で集計結果を発表する鬼塚誠さん、2014年6月20日(金)。

 大乱世をとりしきった「安定の鬼塚」から、平時をとりしきる事務総長ですから、「発信力の向大野」ということになるのではないかと期待しています。衆参とも東京っ子の事務総長ということになりました。まずは英国議会同様、「国会のホームページ」をつくらねばなりません。向大野さんは「発信」の衆議院事務総長になると同時に、衆議院情報監視審査会事務局の発足にあたり、適性検査を受ける職員のなかに、なるべく防衛・警察・法務などからの出向者を避けるとともに、「秘密」の名の下に、情監審査会事務局に数十年務めて安住するような職員をつくらないようにする制度設計が求められます。

 地味な存在の役所である衆議院事務局ですが、量的にも質的にも厚みを増して、明治維新以来の行政府偏重のいびつな政治を是正していくため、私も大いに協力していきたいところです。

 もう一度、政権交代をしっかりと見届けて、政権交代ある二大政党政治を日本に根付かせれば、向大野事務総長は歴史に名を残す「日本のアースキン・メイ」になるでしょう。アースキン・メイは1871年から1886年まで在任した庶民院事務総長で、いまだに名前が残っています。


[画像]社会保障と税の一体改革のための改正認定こども園法の採決で、岡田克也衆議院議員(副総理・社会保障と税の一体改革担当大臣、当時)から白票を受け取る向大野新治・衆議院参事。右端は野田佳彦首相(当時)。上段は左から鬼塚誠・衆議院事務総長、横路孝弘・衆議院議長(当時)、2012年6月26日(火)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。


[画像]社会保障と税の一体改革法の記名投票を集計する、中段左から、衆議院事務局の向大野新治参事、岸本俊介参事、清野宗広第23代事務次長(現在は退職)、辻本頼昭参事ら、2012年6月26日(火)、衆議院本会議。

 安定の鬼塚から、発信の向大野へ。

 さあいよいよ、国会新時代の幕開けです。


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