8月8日付のインターネット官報。7月分の官報の目録(1ヶ月分の内容の総目次)が載っていたのですが、あれ?本来は立法府がつくった法律の公布の項目から始まるのに、いきなり、行政府による政令から載っています。日本国憲法第7条は天皇の国事行為として第1項「憲法改正、法律、政令、条約を公布すること」となっているので、官報は公布法律から載るはず。そこで、調べてみたら、7月中は法律の公布が1本もなかったことが分かりました。
参議院は6月21日(木)の当初会期末の直前にかけこみで法律を可決・成立させているので、延長国会の7月に成立法律がなかったことはさほど問題ではありません。
しかし、今第180通常国会は、4月27日(金)の参議院本会議で法律が成立した後は、衆議院で5月8日に消費税増税法案などが審議入りしたことから、次に法律を成立させた参本は、6月15日(金)でした。そして、6月22日の衆本での不正常採決で民主党が分裂したことから、延長国会での審議は遅く、7月27日まで参本で法律成立はありませんでした。
例年通り、衆議院で予算審査中の2月9日(木)から2月28日(火)まで。ここも例年通り、参議院はあまり働いていません。公務員給与など日切れ法案を扱う委員会のほかは、調査会ぐらいです。
衆議院での社会保障と税の一体改革関連法案審査中の、4月28日(土)から6月14日(木)まで。これは長いゴールデンウィークです。これには国交大臣問責の影響もありました。(防衛相問責は、国会提出法案が少ないためあまり影響なし)。
そして、延長国会直後の一体改革関連法の衆院での不正常採決にともなう、民主党分裂による、衆参での院の構成の変化。これを受けた、6月23日(土)から7月26日(木)までの早い夏休み。
これで衆参で歳費が同額で、公設秘書人数も同じ。参議院の方が、与野党とも1議員辺りの委員長ポスト(議会雑費や公用車)は多いのですから、あまりにも参議院議員はおいしいとしかいいようがありません。
国会がない間も、法案の仕込みをしたり、委員会で視察に行ったり、支持団体の会合で全国を回ったり、党務をしたりしているのは事実ですが、すでに次期選挙不出馬を決めている議員などは王様のような暮らしをマスコミに注目されないところでしているのが実態です。
きょうの参院委員会の議題を見て、驚いてしまいました。例えば、海上保安庁法改正案、石油備蓄法改正案、在外公館職員給与法案、都市の低炭素化の促進法案、地域再生法改正案、構造特区改正案など、かなり前に、衆議院が参議院に送付した法案です。
これをここまでたなざらしにしていたというのは見識を疑います。
昔と違って、参議院議員であることを誇りにしている人は減り、当事者意識が低くなっていると感じます。ただ、2010年自民党初当選組を中心に、時間的にも移動手段なども余裕があるので、ていねいに勉強をしている人が多く、将来的には政務三役として期待できそうです。しかし定数242のうち、半分前後は遊んでいるというのが参議院の偽らざる印象です。
参議院にとってイチバン長い夏になりました。
ここで、問責をするようではおしまいです。
そもそも、第180回国会では衆議院で内閣不信任案がすでに否決されています。さきに参議院で総理問責をして、それから衆議院で内閣不信任案を出して、与党が割れない限り、衆議院解散は考えられないと私は考えます。提出者がだれかは国民には関係ありません。
とくに、自民党が早期解散を望むのなら、定数是正法案のうち、少なくとも区割り審設置法案の第3条(1人1枠方式)を削除する法律を成立させなければ、第46回衆院選は事後に一部ないし全部の選挙区で当選結果が無効になるでしょう。その一方で、特例公債法案を成立させずに廃案にすれば、政府・民主党は次の臨時国会を比較的早めに召集しなければいけなくなるので、じわじわと政府・与党を追い込むには良いかも知れません。しかし、珍しくあえて自民党側から物を見れば、内閣不信任案が否決されている以上、今国会で「解散に追い込む」ことは不可能です。報道によると、すでに選挙事務所を設けた衆院議員・支部長がいるらしいですが、来年8月選挙になったら、お金もスタッフ・コアメンバーの気力・体力も持たないでしょう。いかにして、政府・民主党を「伝家の宝刀を抜けない」ジリ貧の低空飛行を続けさせながら、「来年8月の任期満了に追い込む」のが野党の戦略です。だから、定数是正法案と特例公債法案を秋の臨時国会に先送りするのは野党としては正しい戦術かもしれません。しかし、野党間の足並みの乱れがどうなるかという点ではまだ波乱要因が残っていると考えます。
きょうは、参議院環境委員会が開かれました。環境委員には、民主党の輿石東さん、みんなの党の水野賢一さん、日本共産党の市田忠義さんがいます。2時間弱の委員会でしたが、なんらかの密談があったかもしれません。
実質的には残り5営業日ぐらいの感覚となった終盤国会。しかし、野党の足並みが乱れているので、民主党は「鶴保庸介議員運営委員長不信任決議案」を参議院本会議に出せば、野党の欠席で一か八か可決できるかもしれません。そのうえで、定数是正法案と特例公債法案を緊急上程して可決・成立させてしまうという手もあるのではないでしょうか。このままだと、第180通常国会の法案成立率は60%になっていまいます。昨年の第177通常国会は震災発生以降に追加の政府提出法案が相次いだにもかかわらず、岡田3兄弟国対(民主党の岡田克也幹事長、安住淳国対委員長、玄葉光一郎政調会長)は新規提出閣法が80%、衆法・参法が50%という高い成立率を結果として残しました。ことしは民主党政権始まって以来の首相が交代しない通常国会になりそうですが、この法案成立率が60%ほどの低成績になりそうです。
80年前の二大政党制をみると、政友会が与党のときは、帝国議会での法案成立率は80%、民政党は70%ほどで、このため政友会の党勢が上回っていた時期が多かったようです。
衆参ねじれとなった直後の第175臨時国会では、2本法律が成立しただけです。うち、1本は鉢呂吉雄・衆議院厚生労働委員長が「RFO延長法案」を自ら起草し、賛成多数で可決・成立させました。この後、鉢呂さんは、与党としては初めてとなる2度目の民主党国対委員長、短い期間でしたが経済産業大臣、衆院予算委員会筆頭理事、衆院社会保障と税の一体改革特別委員会筆頭理事と、まさに「議会の子」「ガチンコ相撲の突破力」で八面六臂の大活躍をしています。こういう「法律をつくる」という与党議員としての当事者意識が、民主党議員に一部欠けているのが、民主党政権失敗の本質だと考えています。
月例経済報告で10ヶ月ぶりに景況が下方修正されました。9月中旬にはFOMC、日銀金融政策決定会合があるので、追加緩和があるかもしれません。経済対策は政府の仕事です。しっかりと9月8日までに参議院としての衆議院としての仕事をやり終えて、実りの秋に向かわないといけません。
また、参議院決算委員会は平成22年度決算(案)の省別審査をほとんど終えています。しかし、総理が問責されたら、委員会での締めくくり総括質疑ができません。これは参議院の自己否定につながる可能性があり、同委員会の若手議員らに不満が募る可能性があります。
党幹事長、参院会長らのハイレベル会談で、会期内の主要法案成立の道筋を付けるべきです。
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