[画像]公明党の山口那津男代表、第46回衆院選公明党マニフェストから。
公明党の機関紙29日付「公明新聞」1面コラム「北斗七星」は「衆院解散の翌日(今月17日)から26日までの10日間、さまざまな政党は新聞にどれだけ登場しただろうか」「朝日新聞では、日本維新の会418件、みんなの党は169件だが、公明党は98件にとどまる。毎日新聞でもほぼ同様である」として報道が公正でないとけん制しました。
マスコミ報道で公明党が埋没しています。この危機感もあってか、山口那津男代表が「攻めの農政」を打ち出しました。
山口さんは2012年11月23日(金・祝)午後、松山市で比例四国ブロック公認予定候補の石田祝稔さん(元農林水産副大臣)を応援演説し、「(日本再建に向けた新しい成長戦略として)攻めの農業をやっていく。日本農業を世界に誇る成長産業にするため、具体策を掲げ、5年間で日本農産品(の輸出)を倍増させていきたい」とし、「農業全体の経営環境は厳しい状況だが、世界を見ると経済発展の中で農業生産物に対する需要はむしろ増えてきており、今がチャンスだ」とし、「攻めの農業」と「農業経営の安定化」を両立さえる考えを示しました。
そのうえで、民主党政権の実績である農業者戸別所得補償(農業直接支払い)に言及し、「今の農業者戸別所得補償制度を見直し、法律をつくり安定したしくみをつくっていく」と述べました。
民主党09マニフェストの4kのうち、高校授業料無償化法(平成22年法律18号)と子ども手当(改正児童手当法)の2つは恒久法になっています。高速道路無料化は断念しました。そして、戸別所得補償は政権交代初年度から予算措置がされていますが、法案はついぞ提出されませんでした。これについて、第177通常国会(震災国会)2012年8月4日(木)の参・農水委員会で鹿野道彦農相は「ねじれ国会、衆議院と参議院の意思決定が異なる、こういうような状況の中でなかなかこの法制化というふうなものは難しいと、こういうような判断から予算措置でというふうなことの考え方を取らさせていただきました」「法制化を目指していきたいと思っておりますが、また現実を考えればそう簡単なものではない」と語っています。
このため、現時点でも予算書にとどまっており、裏打ちする法律がないので、第181臨時国会では、もう稲刈りが済もうとしている時期に、自民党の石破茂幹事長から、特例公債法を成立するための見返りとして減額補正の対象にあげられました。
公明党は2012マニフェストの13ページ。「7つの日本再建」の「4.力強く伸びる日本経済へ」の「5.攻めの農林水産業に挑戦」の「2.日本の農林水産物を世界に」を打ち出しました。ここでは「農家の所得補償制度は、固定部分を維持」とし、「法制化を目指します」としました。
マニフェストには入っていないようですが、山口演説では、「野菜、果樹、花き農家向けの経営安定対策として、積立方式の収入保険制度を創設」に言及しており、税金方式の米に加えて、積立方式での収入保険制度に触れました。このため、JA共済の商品価値が下がるほか、5年間で倍増することで、自由貿易に踏み出す考えが感じられます。
これに対して、自民党は2012マニフェストの25ページに「戸別所得補償から農地を農地として維持する支援」として「多面的機能直接支払い法」案を提示しており、公明党と自民党のマニフェストは大きく違っています。
これは自民党候補(予定者)がJAの政治団体「農政連(農業政治連盟)」からのしめつけが厳しいのに対して、公明党は農政連の支持をそれほど受けていないから打ち出せるものだと推測されます。
かつては、農民とともに語らい、農民とともに闘い、農民とともに死んでいく、という政治家が無産政党にも、自民党にもいました。アメリカの農場主と農夫(農奴)を題材にした小説を読んで発憤して政治家を目指した人も民主党には複数います。
農業者戸別所得補償というと、民主党の2005年岡田マニフェストから始まりました。岡田克也副総理は2012年11月22日(木)の定例(翌日は祝日のため繰り上げ)記者会見で「公明党らしいマニフェストだというふうに思います。なかなか中身もよく練られていて、一読した感じは非常に考え方はかなり違うのですが、我々民主党、あるいは私と違うところはたくさんありますが、公明党らしいマニフェストだなというふうに思いました」「やはり弱者に対して光を当てる政策、そういったところが公明党らしいなと思いました。ただ、それが自公政権の中でできるかどうかは、これはまた別の議論ですね」と語り選挙後の連携に秋波を送りました。
2012年12月は新進党解党から15年。第45期衆議院解散を決断した官邸三羽烏の忠臣蔵。それは憎き吉良上野介を討つことであり、ぜひ47士に賛同してほしいところです。
ところで、減反が行政指導に過ぎなかったことを初めて知りました。
農林水産省は2012年11月28日(水)、来年の主食用米の生産数量目標を2万トン減らして791万トンに減らすとしました。これを同省が都道府県ごとに割り当てると生産数量目標として決まるそうです。まさに農水省、JAの下に農民は土地を所有していても農奴としか私には思えません。我が国では、青色申告をしている農家は40万戸だそうです。私は農政を経済政策としてとらえる新自由主義経済には与しませんが、青色申告をしている農家が40万戸とはあまりに少ない。もっと、サクランボ、イチゴ、リンゴなど攻めの農家があっていいのではないでしょう。
岡田副総理は2012年11月27日(火)の記者会見で
「今まで減反をいわば行政指導というか、法的根拠なくやってきた結果、減反を守らない人は守らない、ある意味では正直者は損をするというような仕組みもありましたが、この戸別補償とセットにすることで、実効性が上がって、そしてそういう意味では、そういう生産調整の率も上がるようになって、それがすべてと言うつもりはありませんが、今年米の値段が少し下がらずに、むしろ上がっているというのも、そういったことの一つの結果ではないかというふうに思っております。別に上がることがいいことばかりではありませんが、どんどん過剰生産になって下がり続けるという、そういうことの歯止めにもなっているわけで、やはり私は戸別所得補償方式の意義というものは、改めて確認されていると思います。もちろん内容的に、更にいいものにしていく、特に集約化に向けて、今もそういう集約効果はあるのですが、更にそういったことについて、インセンティブをつけていくというような改革は必要だというふうに思います」
と語りました。
これに先立ち、
「 「直接支払いということについては自民党も否定していないと。実際にどういう形でそれを行うかというのは、名前は変わりましたが、実態はどう違うかというのははっきりしません、中身は、これから議論していけばいいことだと思いますが、ただ直接支払い制度を入れたということは同じですから、これは非常に大きな転換だったのですね。そのことのやはり必要性というのは認めざるを得なかったと、彼らもいい制度だから基本的には変えられないということだと思っております」
と語り、自民党も直接支払い(小沢一郎民主党代表が「農業者戸別所得補償」に改称)を認めたことに満足感を示しました。
2012民主党マニフェストには20ページに「現在予算事業として行われている農家への戸別所得補償を法律にもとづく安定した制度とすることで、食料自給率50%をめざす」と2行あるだけ。実績になると、選挙の争点では小さくなってしまうのが、与党らしいマニフェストとも言えるでしょう。しかし、稲刈りを親戚に手伝ってもらっている人は、しっかりこのこと、忘れないでほしいですね。
[公明党ニュースから引用はじめ]
野菜・果樹・花き農家新たな収入保険制度を
公明党の山口那津男代表は23日午後、愛媛県松山市で街頭演説し、日本再建に向けた新たな成長戦略として「『攻め』の農業をやっていく」と強調した。日本農業を世界に誇る成長産業に転換するため、具体策を掲げ「5年間で日本農産品(の輸出)を倍増させていきたい」と訴えた。石田祝稔四国方面協議会議長(衆院選予定候補=比例四国ブロック)も参加した。
この中で山口代表は、「農業全体の経営環境は厳しい状況だが、世界を見ると経済発展の中で農業生産物に対する需要はむしろ増えてきており、(今が)チャンスだ。生かさない手はない」と指摘。
その上で、今後の日本農業の道筋として、「農業経営の安定化」と「『攻め』の農業」の二点を力説した。
農業経営の安定化に向けた方策としては、農業者の所得を安定させるため「今の農業者戸別所得補償制度を見直し、法律をつくり安定した仕組みをつくっていく」と表明。
「攻め」の農業については、「世界に誇れる農業のブランド力を付け、競争力を付けることによって、われわれの農業は新しい道を切り開いていくことができる」と主張した。
さらに、野菜や果樹、花き農家向けの対策として「収入を安定化させるよう積み立て方式による収入保険のような仕組みを取り入れ、経営を安定化させるセーフティーネット(安全網)も整えていく」と提案。
また、「国際基準に合わせた農場の整備をしていく必要がある」として、国際的な取引条件となっている「GLOBAL・GAP(農業生産工程管理)認証」を取得する農場の拡大や、認証取得に向けた普及指導員の育成・活用による支援が必要と力説。世界で競うための情報提供については、「すでにあるEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)など世界の自由貿易の仕組みを生かして日本の優れた農産物をどんどん輸出できるようにしていかねばならない」と述べた。
石田氏は、「人の命を守る防災・減災対策をやり抜くため、四国の1議席を断じて守り抜く」と決意を披歴。
街頭演説には自民党の塩崎恭久元官房長官も応援に駆け付けた。
[引用おわり]
[2012年11月22日(木)の岡田克也副総理の記者会見録から引用はじめ]
記者
別の観点で、自民党と恐らく今後も協力を続けられる公明党のほうもマニフェストを発表されているのですが、このことへの評価もお願いします。
岡田副総理
公明党らしいマニフェストだというふうに思います。なかなか中身もよく練られていて、一読した感じは非常に考え方はかなり違うのですが、我々民主党、あるいは私と違うところはたくさんありますが、公明党らしいマニフェストだなというふうに思いました。
記者
公明党らしいとおっしゃいましたが、具体的に1点、2点挙げていただけますでしょうか。
岡田副総理
やはり弱者に対して光を当てる政策、そういったところが公明党らしいなと思いました。ただ、それが自公政権の中でできるかどうかは、これはまた別の議論ですね。
[引用終わり]
[2012年11月27日(火)の岡田克也副総理の記者会見録から引用はじめ]
(記者)
フリーランスで宮崎です。このあと、午後5時から民主党のマニフェストが発表されるところなのですが、先行して発表されています自民党、その前にいわゆるマニフェスト4Kという点がありまして、高速道路の無料化をこれは撤回の上、謝罪と。
(岡田副総理)
凍結ですよね。
(記者)
凍結ですね。
それから、高校授業料無償化法、これは法律になりました。
それから、子ども手当改め改正児童手当法、この二つは恒久法に既になっているところですけれども、農業者戸別所得補償に関しては、今まで法案が提出されていません。この公明党のマニフェストによりますと、所得補償は固定部分を維持しながら変動部分については見直し、法制化を目指しますと、公明党は農業者戸別所得補償法を作りますというマニフェストを出しています。
一方、自民党のマニフェストでは、戸別所得補償から農地を農地として維持する支援策として、多面的機能直接支払い法というのを作りますというマニフェストになっています。
一応、私の理解としては、恐らく自民党はこれは農業の担い手ではなく、農地を所有している人への支払いということではないかと思うのですけれども、こういった形で公明党と自民党の対応が分かれてきました。
この公明党のマニフェスト、多岐にわたってすみません。おもしろいのは、また農業の成長戦略の部分に入れているということもおもしろいのですけれども、こういったところをどういうふうに評価されますでしょうか。
(岡田副総理)
成長戦略に入れているというのは、どこのマニフェストのことを言っているの。
(記者)
公明党のマニフェストでは、「7つの日本再建」という中の4番目、「力強く伸びる日本経済へ」というのが今申し上げた部分が入っています。
(岡田副総理)
個別のことは、個々に評価するつもりはありませんが、直接支払いということについては自民党も否定していないと。実際にどういう形でそれを行うかというのは、名前は変わりましたが、実態はどう違うかというのははっきりしません、中身は、これから議論していけばいいことだと思いますが、ただ直接支払い制度を入れたということは同じですから、これは非常に大きな転換だったのですね。そのことのやはり必要性というのは認めざるを得なかったと、彼らもいい制度だから基本的には変えられないということだと思っております。
今まで減反をいわば行政指導というか、法的根拠なくやってきた結果、減反を守らない人は守らない、ある意味では正直者は損をするというような仕組みもありましたが、この戸別補償とセットにすることで、実効性が上がって、そしてそういう意味では、そういう生産調整の率も上がるようになって、それがすべてと言うつもりはありませんが、今年米の値段が少し下がらずに、むしろ上がっているというのも、そういったことの一つの結果ではないかというふうに思っております。
別に上がることがいいことばかりではありませんが、どんどん過剰生産になって下がり続けるという、そういうことの歯止めにもなっているわけで、やはり私は戸別所得補償方式の意義というものは、改めて確認されていると思います。もちろん内容的に、更にいいものにしていく、特に集約化に向けて、今もそういう集約効果はあるのですが、更にそういったことについて、インセンティブをつけていくというような改革は必要だというふうに思います。
[引用終わり]
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