【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

阪田雅裕・元内閣法制局長官「国際法上の国の権利は全部やる性質ではない」集団的自衛権、憲法改正求める

2014年03月13日 17時46分37秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[画像]西修・駒澤大学名誉教授と、阪田雅裕弁護士(元内閣法制局長官)、2014年3月13日(木)、参・予算委中央公聴会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【2014年3月13日(木)参・予算委中央公聴会】


 参議院は、予算委が中央公聴会、第1種常任委員会が大臣所信に対する一般質疑が行われました。平成26年度の国税、地方税の改正法案もそれぞれ委員会で審議入りし、予算審査は与党ペースのまま、進みそうです。

 参議院予算委員会(山崎力委員長)は、「経済・財政」、「外交・安保」、「社会保障」の3テーマで公述人から話を聞きました。

 このうち「外交・安保」では2人。

 駒澤大学名誉教授で安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)メンバーの西修さんと

 元内閣法制局長官の弁護士、阪田雅裕さんです。



 阪田さんは冒頭、「集団的自衛権を行使するならば、憲法改正をしてほしい。解釈改憲には反対だ、という一点できょうはお話したい」と宣言。「集団的自衛権は、『権利』というが、国際法は、国家間の取り決めだから、権利を認めないということはほとんどない。権利だからといって、全部やらなければならないというわけではない」と語りました。

 「例えば、オーストリア憲法は『永世中立国だ』としており軍事同盟は結べない。日本は日米安全保障条約という格好で軍事同盟を結んでおり、軍事同盟は国際法上の権利だ」として、オーストリアでは、憲法で、国際法で認められた自国の権利を放棄しているという例示を紹介しました。

 質疑の中で、阪田さんは「法律の解釈は物理や化学ではないから、1つしかないということはない」と憲法解釈というものの存在そのものは強調しました。ただ、「変えるには必然性、合理性がなければならない。集団的自衛権はその枠を越えている」と語りました。

 憲法と集団的自衛権の関係では、「憲法改正をすべきものなので、議会内で議論していただき、(衆参両院各々総議員の)3分の2以上で発議し、国民投票をするのがまっとうな考え方だ」と述べました。

 国連憲章と日本国憲法の議論の立て方について、「集団的自衛権は(1945年の)国連憲章で初めて出てきた言葉なので、(1947年の)日本国憲法と一続きで論じる人がいるのはどうか」としました。国連憲章でも、個別的自衛権と集団的自衛権は「2つを固有の権利として書いた」と語りました。おそらく、個別的自衛権と相対的に論じられない、という意味だと、私は理解しました。

 松沢成文さんが質疑の中で、「(第9条第2項の「前項の目的を達するため、」と委員長職権で衆議院で修正をかけた)芦田修正をどう考えるか。芦田均さんは頭が良かった。絶妙な一文を入れた」と評価すると、西さんは「その通りだ」として憲法の制定過程を詳述しました。ところが、阪田さんは「そもそもなぜ2項があるのか」として、9条全体の解釈の上で芦田修正は、「いろいろな意味で、箸にも棒にも掛からぬ」と答弁して驚きました。

 

 私は芦田修正という言葉も、日本国憲法の制定過程も西先生に教えていただきました。というのは、私が大学1年生のとき、西修駒大教授は、早稲田大学政治学科の「法学(憲法を含む)」という講義を受け持ち、そこで単位をもらいました。私自身の憲法観は、西先生にならったときの物を基本的に20年間受け継いでいます。ただ、日本国憲法も66年経ちましたから、あくまでも、改正すべきであり、この66年間を無にしてしまう「自主憲法制定」「憲法破棄」というスローガンにはくみしません。

 西先生は「戦争の放棄は、世界で100か国以上の憲法に書いてある」と語りました。この辺が、左翼の人は知らず、「世界で唯一の平和憲法」「9条を世界遺産に」などと言いますが、違います。20年前に習ったころは、たしか70か国以上とおっしゃっていたようなかすかな記憶がありますが、戦争放棄、平和主義は、世界的にも広がっているようです。

 なるべく正しい認識にもとづいて国民的議論を進めましょう。

 ◇

 なお、以下は筆者の一言。

 キャロライン・ケネディ駐日米国大使は、3月は女性月間ということで、日米両国の素晴らしい女性をツイッターで紹介しています。この中で、3月8日付の投稿で、「ベアテ・シロタ・ゴードン - 日本国憲法に女性の権利を書き込みました。 http://goo.gl/3fjvG」としています。しかし、言うまでもなく、日本国憲法(改正大日本帝国憲法)は衆議院、貴族院、枢密院の議決により、天皇陛下が公布したものです。GHQ民生局職員だったゴードン女史は当時わずか20歳だったと思いますが、あくまでも「草案」に男女同権を入れることを発案したのであり、「書き込みました」という表現は、十分に気を付けていただきたい。抗議します。

 


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