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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

【北朝鮮核実験】制裁国連決議で“船舶検査法”が延長国会の最大の焦点に

2009年06月13日 06時40分51秒 | 第171通常会(2009年1月~)自民党追い込まれ

 北朝鮮の核実験を受けて、わが国の働きかけなどを受けてP5(米英仏中ロ)が提案した「国連安保理決議1874」が12日、ニューヨークの国連安全保障理事会で採択されました。北朝鮮への新たな制裁を盛り込んだ「国連安保理決議1874(イチハチナナヨン)」は条約と同じく国際法として効力を持ちます。

 わが国政府は国連決議1874に基づく国内法の整備が求められます。これを受けて、政府は延長国会(7月28日まで)に「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(船舶検査法)」(2001年3月1日施行)の改正案を提出し、成立させることが、事実上の国際公約となりました。海上自衛隊が公海上で貨物船に停船を命じて、船に乗り込み、書類などを検査する船舶検査は「臨検」ともいいますが、最近は一般的な「船舶検査」を新聞でも使うことが多いようです。

 船舶検査法を全部読みました。全7条の短い法律です。第3条には、「船舶検査活動の実施」が定められています。この中で、日米安保条約に基づき、米軍の後方地域支援活動ができることになっています。細目は「周辺事態安全確保法」に委ねられています。この中で、自衛隊が持つ物品や役務(サービス)を提供(補給)できることになっています。

 例えば、日本海・東シナ海で海自補給艦「ときわ」などが米軍の補給艦「ペコス」などに対して、油や水などを補給するオペレーションができると思われます。これはインド洋とは違って、朝鮮半島沿海、しかも“北”を事実上の“敵国”とみなした活動に対する米軍への後方支援になります。

 そして第6条「武器の使用」ですが、刑法36条「正当防衛」および同37条「緊急避難」の場合以外は使えないことになっています。このような条文のままでは、わが可愛い海上自衛隊を後方支援活動に送ることはできません。改正が必要です。

 民主党議員の多くは朝鮮半島に利害関係のある支援者・団体を抱えています。これはわが国の“国柄”からすれば当然のことです。また連立パートナーである社民党と足並みが乱れる可能性があり、政府はその間隙をぬう改正法案、審議をしかけてくる余地があります。

 やれやれ、解散権がない野党(政権準備党)は大変です。この国内法整備をしないまま、首相(自民党総裁)が解散に踏みきるとは私には考えられません。解散注意報は引き続き発令中ですが、新人も含めてこの法案のゆくえには注意しなければいけないと思います。

 延長国会(7月28日まで)、とくに7月はいったい何を審議するのだろうと思っていましたが、船舶検査法改正案など関連法案が最大の焦点となるもようとなってきました。3党協議は岡田幹事長の担当です。幸い、岡田克也さんは衆院安全保障委員長経験者であり、一般的にあまり知られていないと思いますが、非核問題など安全保障に深く関わってきましたので、手腕に期待できます。

asahi.com(朝日新聞社):北朝鮮制裁決議、全会一致で採択 国連安保理 - 国際
 
 【ニューヨーク=松下佳世】国連安全保障理事会は12日正午(日本時間13日午前1時)、北朝鮮の核問題について公式会合を開き、2度目の地下核実験を実施した北朝鮮に新たな制裁を科す決議1874を全会一致で採択した。だが、北朝鮮が強く反発するのは必至で、朝鮮半島情勢はさらに緊迫化しそうだ。

 北朝鮮に対する制裁決議の採択は、前回の核実験が行われた06年10月に続いて2度目。日本の高須幸雄国連大使は「強く、実効的な措置を含む重要な決議が全会一致で採択された」と歓迎した。

 決議は、核実験を過去の決議違反であると明記したうえで「最も強い表現」で非難。北朝鮮に核実験や弾道ミサイル技術を使った「いかなる発射」も行わないよう要求し、6者協議への即時無条件復帰を呼びかけている。

 追加的な制裁措置としては、公海上の船舶など北朝鮮に出入りする貨物検査の強化や新たな金融制裁、武器禁輸の対象拡大を盛り込んだ。資産凍結や渡航禁止の対象となる個人・団体などを指定する制裁委員会の役割を厳格化したほか、制裁を監視する外部の専門家機関の新設など履行徹底の仕組みも整えた。

 北朝鮮は反発し、さらなる弾道ミサイル発射の動きを見せているほか、3度目の核実験を行うとの報道も出ている。安保理は、制裁委員会による資産凍結団体の指定などの作業を進め、制裁の履行徹底に乗り出す考えだが、北朝鮮の挑発行動が続けば、新たな対応を迫られる可能性もある。


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