【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

田中美絵子さん「岡田副総理の奥様は消費税についてどのようなお考えか」「家庭内の会話を教えて」

2012年06月19日 10時13分46秒 | 第180通常国会(2012年1月~9月)一体改革

【衆議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会 2012年5月31日(木)】

 会期末ということもあり、昨日はやや久しぶりに有名誌の取材を受けました。各社経費節減を徹底しているようですが、よろしくお願いします。ありがとうございます。 

 さて、一体改革特別委員会(中野寛成委員長)の5月31日、石川2区(小松市など)比例の田中美絵子さんが「第一委員室デビュー」(TV中継無し)を果たしました。田中さんは、昨年末の民主党選挙区情勢調査で、ライバルの森喜朗さんに「勝るとも劣らず」。巷間噂があるように、森さんから、義理の息子の岡田直樹・参議院国土交通委員長にバトンタッチすれば、「世襲批判」で、金星もあるのではないかと党選対は期待しています。

 小沢グループにもかかわらず、一体改革特別委員に抜擢された田中さんが大物ぶりを見せました。

 田中さんは、地元周りの中で吸い上げた要望を早口で詰め込みました。社会保障と税の一体改革関連法案の質問としてやや方向性が違う面もあったかもしれませんが、とにかく地元を回っていることはよく分かります。こういうのは、地元を回っていないのに、国会に来て地元を回っているふりをしている議員というのは、見る者によると、バレバレです。この3年間、「衆議院議員」の名刺で、お礼参りや新規開拓をしていなかった人が3度目の会期末を迎えて、あわてて回り出しても見苦しいだけです。バレバレです。

 田中さんは地元巡りの蓄積が度胸につながるのか、最後にひと言、質問通告なしで次のような質問をしました。

 「それでは、通告しておりませんが、岡田副総理にお伺いをさせていただきたいと思います。申しわけございません。岡田副総理の御実家は大手のスーパーを経営されているというふうに思います。今回の消費税の増税は、家計に大変大きな負担感を与えるものではないかと思うところでございます。そんな中、岡田家では、お子さんがお二人いらっしゃって、奥様もいらっしゃるということでございますけれども、奥様は消費税についてどのようにお考えなのか、もし御家庭内でそういった家族の会話がございましたら、教えていただきたいと思います」

 このように、大手のスーパーということで、「イオングループ」という固有名詞は言いませんでした。岡田家ではお子さんが2人いてと言っていますが、実際には3人です。

 副総理(兼)一体改革担当大臣の岡田克也さんは次のように答弁しました。

 「私は、野田総理とともに、この社会保障・税一体改革を必ず実現するということで頑張っておりますが、それを一生懸命サポートしてくれていますので、同じ考えだと思います

 岡田さんは政権交代直後に鳩山由紀夫代表から幹事長解任という屈辱を受け、1年1日間、外相をしました。その後、菅直人総理・代表から幹事長就任を要請された際は「外務省の人には申し訳ないねえ」「これも天命なのかな」と発言しました。が、奥さんからは「なんか外務大臣になったときに、(幹事長を外されたと)ずいぶん憤慨していたじゃない」と言われたと明かしています。そして、「そういうこともあったかな、と思い出しただけです。私は仕事をやると全力でやりますので、いったん始めると次に入るというのは抵抗があります。もう少ししっかりやりたい、という傾向があるのかな、と思った次第です」「そういうこともあったのかな、と。また振り出しに戻ったような感じですよ、(政権交代した)1年前の」(岡田克也さん、幹事長就任会見で“内助の功”を認める)と語っています。もちろん、岡田さんが思った以上に、第45期衆議院第21期・第22期参議院の「衆参ねじれ」だけど「衆院で3分の2数がない」という「憲法(59条など)が想定していない憲政の隙間」は深刻。岡田克也さん、玄葉光一郎さん、安住淳さんらがつくった3党協議体制も、マスコミどころか身内議員もいまだに理解できないという泥沼。鳩山総理・代表の岡田幹事長解任事件は、取り返しのつかない大失敗だったことになります。

 ところで、4月からNHKの連ドラで堀北真希さん主演の「梅ちゃん先生」を放送しています。 オープニングで「協力 東京女子医科大学」というクレジットが出ています。私も東京女子医科大学病院、ただし私なんかは「附属第二病院」ですが、この世に生を受けた縁のあるところなので、毎朝、頑張ろうという気になります。

 岡田さんの答弁に面食らった田中さんも、代議士として懸命に言い返しました。

「子供たちの瞳が輝く社会、年金や介護など老後の安心な社会、そうした暮らしやすい日本の国づくりに社会保障と税の一体改革法案が大いに貢献することを祈念いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました」

 田中美絵子さんも志のある政治家だということが分かります。一川保夫後援会に乗っているという選挙区事情、元上司の河村たかし応援弁士の関係上、小沢グループ・小沢ガールズの田中美絵子さんですが、本人は小沢卒業を望んでいます。政治家として独り立ちする会期末と第46回衆院選。

 岡田さんは政権交代直後の幹事長記者会見で、田中さんの週刊誌報道について「本人が説明する問題だ」と発言しました。これは、議員数が倍増し初の政権政党になった民主党の責任と田中議員の責任を分離してあげたもので、突き放しているようで、実は田中議員の重荷を軽くしている、岡田流やさしさ自由主義によるものです。それは今でも変わりません。

 頑張れ! 

衆議院会議録から引用はじめ]

第12号 平成24年5月31日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十四年五月三十一日(木曜日)

    午前九時四分開議

(中略)

 次に、田中美絵子さん。

田中(美)委員 民主党・無所属クラブの田中美絵子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 社会保障と税の一体改革法案につきまして、私も、最近地元を回っておりまして、進めてほしいという声と、そうではない声、両方伺っているわけでございます。国民の皆さんには改革の内容がまだ十分御理解いただいていないというふうに私も思っております。

 そこで、本日は、この社会保障と税の一体改革関連法案による改革の内容、そして関連する事柄について幾つか質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、地元の皆様から一日も早く実現してほしいという御要望をいただいておりますのが、学童保育の充実でございます。

 私は、厚生労働委員会の委員、そして学童保育の議連のメンバーということもございまして、地元の学童保育をおよそ三十カ所程度回らせていただきまして、さまざまな御意見を伺ってまいりました。本当に、子供たちが元気にされている姿を見て大変感激もいたしましたが、一方で、保護者やまた指導員の皆様方が大変な御苦労をされているということも実感をしたわけでございます。

 そんな中で、今回の児童福祉法改正による学童保育の充実は、一日も早く実現してほしいと皆さん方も心待ちにしていただいているところでございます。ただ、いつから実現するのかということになった場合、消費税が上がってからですよといったお答えをしますと、やはり皆様方は、二年間も待てないといったことをおっしゃるわけでございます。学童保育は、一般的には小学校一年生から三年生が通っておりますので、改革の恩恵を受けられるのは小学校一年生だけだというふうに思います。

 何かサービスを買うときには、サービスと同時にお金を払うならいいんですが、お金を先に払ってください、サービスは後ですということだと、お金を払うのにはもちろん抵抗があるわけでございます。消費税も、増税後にどんなふうに生活がよくなるのか体験していただく、これが御理解を得るのに大変重要なことだと思うところでございます。

 そこで、学童保育を例にとって、何か消費税増税前から改善できるところはないかということをお伺いしたいと思います。

 まず、現在、お手元の資料一ページのように、十人未満の小規模学童保育、これは国の補助制度の対象とならない学童保育でございますが、市町村が行う支援事業は、地方交付税のうち特別交付税で国、総務省からお金が出されております。全体の金額は四億四千万ほどでございますが、各都道府県の市町村の実施状況を都道府県別に集計した金額を見ますと、富山県の一億円から広島、新潟の二千万円、そして沖縄県のゼロ円まで、かなりのばらつきがあるわけでございます。

 学童保育をつくるときに、最初からたくさんのお子さんを集めるのは難しい場合もあります。小さく産んで大きく育てるということで、厚生労働省のホームページの活用も含めて、この特別交付税制度の市町村そして学童保育関係者への周知を図り、まずは小規模学童保育から量的、質的な拡充策をとっていただけないかと思いますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

 ちなみに、大臣はこの特別交付税制度を御存じだったでしょうか。

小宮山国務大臣 この学童保育の問題というのは、私も自分の経験もございましたし、ガイドラインづくりなど、私自身もいろいろ努力をしてきたところで、もちろん、この制度があることは知っています。

 今回、新システムの中にきちんと盛り込んでいますけれども、おっしゃるように、その前からできること、今もできることとして、その十人未満の放課後児童クラブに、今御紹介があったように、国庫補助要件を満たさない、小規模なところを支援するための特別交付税が交付をされています。ただ、全国ばらつきがあるということも事実ですので、自治体とか関係者の皆様に、いろいろな機会を捉えて周知に努めていきたいというふうに思います。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 また、学童保育では、都道府県の単独事業で、いわば都道府県の持ち出しで国庫補助対象外のクラブへの補助ですとか国庫補助の上乗せを行っている事例が、調査していただいたところ、二十九都道府県ございます。資料の二ページ目でございます。

 これもかなりばらつきがございます。国庫補助対象外のクラブへの運営費補助を見ますと、鳥取県が一億九千万円で一番多く、国庫補助対象クラブへの上乗せ補助では東京都が十一億円という数字もございます。全体の金額は十七億円ほどでございますが、東京都の十一億円は、地方交付税不交付団体でございますから、それを除くと六億円でございます。この県などの単独事業を地方交付税で支援すれば、もっと多くの自治体がいろいろな事業を行えるようになると思います。六億円くらいのお話だと思います。

 消費税が上がるまでの間で結構でございますので、厚生労働大臣、総務大臣に、地方交付税で支援していただけないかと頼んでみていただけないでしょうか。

小宮山国務大臣 放課後児童クラブに対する地方単独の支援につきましては、二十九都道府県で国庫補助に対する上乗せなど十七億円を補助していると承知をしています。

 これに対する国の支援につきましては、国庫補助のあり方とあわせて、地方自治体の実情をよく伺いながら、総務省初め関係府省と連携をして検討していきたいと思います。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 学童保育は、大変厳しい財政状況の中で、保護者の皆さん方が中心となって運営をされているわけでございます。その中の指導員の皆さんも、平均三年未満で収入の面からやめてしまうといったケースもあるというふうに伺っております。ぜひ国の手厚い支援をお願いしたいと思うところでございます。

 それでは、消費税本体のお話を少しさせていただきます。

 学童保育の量的拡充には、消費税で百億円を手当てすると伺っております。また、消費税収のうち七千億円が子育て関係に充てられるとも伺っております。他方、消費税を上げると、物価が上がり、景気が後退して、全体の国税収入や十三・五兆円という消費税収そのものが減ってしまうと指摘されている方もいらっしゃいます。

 そこで、素朴な疑問ですが、消費税を上げた後、景気が悪くなり、全体の国税収入や十三・五兆円と予定されている消費税収が減ってしまった場合でも、子育て関係の七千億円とか社会保障改革メニューには予定どおりの予算がつくのでしょうか、それとも削られてしまうのでしょうか、予算は削らず国債の発行でしのぐのでしょうか。岡田副総理、お答え願いたいと思います。

岡田国務大臣 まず、経済への影響ですけれども、普通に考えれば、そう大きくはないというふうに考えております。これは、前回の橋本政権のときにはかなりの影響があったことは事実で、私も、野党のときにそのことについて国会で取り上げたことを思い出します。

 ただ、後から考えてみると、数字的には消費はそんなに減っていないんですね。統計上は後からこれは出てくるわけですけれども。むしろ、やはり全体の経済規模が、不良債権の存在などによって全体の貸し渋りなどがあった、そのことによって経済が縮んだということが、消費税収にももちろん、全体の税収にも影響したということであります。

 基本的に、いずれにしても、それは後からわかることでありまして、消費税収が減る、減らないということも事後的にわかることで、そのことによって当初予定した予算がすぐに変わる、こういうことはございません。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 一応、念のためですが、消費税と景気の関係についてお伺いいたします。

 消費税を上げると物価は何%上がると予想いたしておりますか。また、その物価上昇だけ捉えると景気への影響はどう出ますか。経済財政担当大臣、お答え願います。

古川国務大臣 お答えいたします。

 消費税率の引き上げ前後には、駆け込み需要及びその反動減による影響が見込まれるものの、引き上げ前後の期間をならしてみると、成長率については、消費税率の引き上げがない場合と大きな差はないというふうに考えられます。

 内閣府で経済財政の中長期試算をしてみましたが、消費税率引き上げ前後に当たります二〇一三年から一六年度におきまして、消費税率の引き上げを含む一体改革を考慮した場合と考慮しない場合について比べますと、消費者物価上昇率は年平均〇・九%程度の差が生じるのに対しまして、経済への影響については、実質GDP成長率について見ると、年平均〇・一%程度の差が生じる程度というふうに試算をいたしております。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 社会保障改革を実現するには、景気対策を頑張って消費税収を確保しなければならないということはよくわかりました。

 そこで、景気対策ですが、財政出動するのは本末転倒ですし、規制緩和は効果が出てくるのに何年かかかると言われております。金融の緩和が大切だと思います。日銀にもっと金融緩和してもらえるよう政府としてメッセージを発していただけないでしょうか。

 総理が一生懸命景気対策を頑張ると国会で表明されておりますが、日銀がそれと連携して金融政策を行うという姿勢を見せてもらわないと、総理の決意も説得力を欠いてしまうと思います。岡田副総理の御決意を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 突然の御指名だったんですけれども、基本的に、日銀と政府の関係はきちんとコミュニケーションができている。これは、総理と日銀総裁の間、私も総裁と時々お話をすることはありますが、もちろん、財務大臣や古川大臣との間も含めて、コミュニケーションできております。基本的認識も変わりません。

 ただ、もちろん、それぞれの役割というものがありますから、その独立性をきちんと担保しつつ、お互いに共通の問題意識を持って、共通の目標に向かってそれぞれの役割を果たすということで、私は、現時点ではかなりうまくいっているというふうに思いますし、これからもそこにそごが出ないようにしっかりとやってまいりたいと思います。

田中(美)委員 景気対策をしっかりとっていただいて、税収が期待どおり上がってくるのを期待したいと思います。

 では、消費税との関連で、介護保険について少し伺います。

 まず、平成二十四年度の介護報酬改定については、介護報酬が引き上げられた分野もあれば、下げられた分野もあると伺います。事業所の収益状況も勘案して上げ下げが行われたとも伺いますが、どのような方針で行われたんでしょうか。厚生労働大臣、お答え願います。

小宮山国務大臣 平成二十四年度の介護報酬改定では、介護職員の処遇改善の確保、地域包括ケアの推進などを図るために、一・二%プラスの改定を行いました。

 改定の主な内容は、施設から在宅介護への移行を図る観点から、在宅サービスの充実と施設サービスの重点化を推進する評価を行ったということ、また、介護予防、重度化予防の観点から、リハビリや機能訓練などの自立支援のためのサービスを適切に評価したということ、また、医療と介護の機能分担、連携を推進する評価を行ったこと、そして、介護人材の確保と介護サービスの質の向上に向けた取り組みを強化したことなどです。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 政策的な配慮もあって介護報酬改定が行われたと伺いますが、事業主側からすると、介護報酬から見て高い収益が見込まれるから投資したにもかかわらず、その後、介護報酬が下げられると不測の損害をこうむってしまう場合もあろうかと思います。

 次回改定は、消費税の増税に絡む時期でもあり、国民の皆様にも納得していただける方策を考えなくてはいけないと思いますが、厚労大臣、事業主から見てもわかりやすい改定の方向性を考えていただけませんでしょうか。

小宮山国務大臣 社会保障・税一体改革の大綱では、二〇二五年に向けまして、地域包括ケアの構築を目指しています。これによりまして、介護が必要な状態になっても、なるべく住みなれた住宅、地域で在宅を基本として生活が継続可能なようにしていきたいと思っています。

 次期の介護報酬改定は、こうした将来の方向性に向かって行う予定でして、おっしゃるように、もちろん、関係者の御理解を得なければいけないので、事業主を初め関係者の御意見も十分伺いながら行っていきたいと思っています。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 それでは、消費税との関連で、医療保険制度について一つだけ質問させていただきます。

 人工乳房の薬事承認と保険適用の問題です。

 人工乳房と申しますのは、女性が乳がんなどで乳房を切除せざるを得ないという場合に、乳房を切除した後の胸に埋め込んで乳房を再建する器具でございます。乳房を切除するということは、女性にとっては大変な精神的苦痛を伴うものでございます。この精神的な苦しみを少しでも和らげる手段として、人工乳房が注目をされております。

 しかし、薬事法の承認がない、医療保険の適用がないということが大変な問題になっておりまして、今現在、片方で百万以上もかかってしまっております。そのために、乳がんの切除手術をためらって命を縮めてしまう患者さんもいるのが現状でございます。そして、このような中、人工乳房の薬事法承認の手続がなかなか進まないという現状がございます。

 何とかこの人工乳房の薬事承認と保険適用を進めてほしいというのが全国の乳がん患者さんたちの悲願でございますが、厚労大臣の今後のお考えを伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 乳がんになった方、それから専門の学会などから、人工乳房インプラント、この早期の薬事承認と保険適用を求める声があることは承知をしておりますし、私も直接そういう要請も幾つかいただいています。

 委員からの御指摘も含めまして、厚生労働省としても、患者さんや専門家の皆さんの願いに少しでも早く応えられるように、薬事承認に向けまして、審査をできる限り早く進めていきたいと考えています。

 また、このインプラントが薬事承認された場合には、保険適用に向けた手続を進めていきたいと思っています。

田中(美)委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 では、消費増税や社会保障改革の中心的な課題であります年金について少し伺います。消費税率のあり方とも関係する運用についてです。

 まず、平成十三年から公的年金の積立金の自主運用というものが始まっております。

 直近年度の運用成績と平成十三年度からの通算の運用成績はどうなっていますでしょうか。資料三ページにも出ておりますが、厚生労働大臣、御確認願います。

小宮山国務大臣 厚生年金と国民年金の積立金は、平成十三年度に自主運用が開始されています。

 それ以来の運用状況は、収益率につきましては、平成二十二年度末まで一・五七%のプラスとなっています。また、累積の収益額については、平成二十三年十二月までで、およそ十九・七兆円のプラスとなっています。

 今後とも、長期的な観点から、安全で効率的な、そしてまた確実な運用に努めていきたいと思っています。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 お手元の資料四ページと五ページのように、国家公務員共済や地方公務員共済の積立金の過去十年間の収益率平均は二・〇二%ということでございますが、厚生年金、国民年金は一・五七%ということで、公務員共済に比べて見劣りがいたしております。

 何かと恵まれていると言われております公務員の年金でございますが、積立金の運用についても成績がいい。被保険者である民間サラリーマンとしては不公平感も募るのではないかと思います。

 公的年金一元化も控えておりますので、公務員共済並みの二%ぐらいの利回りが出るように何とか頑張っていただきたいのですが、厚労大臣の御決意を伺います。

小宮山国務大臣 年金積立金の運用利回り、これは主に資産構成割合によって決まってきます。

 GPIFの基本ポートフォリオでは、国内と外国の株式の割合が合計二〇%で、国共済と比べまして株式の割合が高いんです。平成十三年度から二十二年度までの期間は、国内と外国の株式の収益率が債券を下回ったために、株式の割合が低い国共済の運用利回りが高くなっていると考えられます。

 他方で、厚生年金と国民年金の積立金の運用では、平成十三年度から二十二年度までの間に、年金財政上必要な利回りは確保をされています。

 引き続き、効率的で安全な観点から運用をしていきたいというふうに思っています。

田中(美)委員 御決意の表明、ありがとうございました。

 ただ、利回りを確保するために乾坤一てきでハイリスク・ハイリターンの運用に打って出るということはどうかとも思います。

 新興国株式での年金資金の運用を始めるというような報道もありましたが、新興国の株式というものは企業倒産のリスクや為替変動のリスクが高いと伺います。この新興国株での運用について、検討状況や今後の方針を、厚生労働大臣のお考えを伺います。

小宮山国務大臣 年金積立金の管理運用、これは、厚生年金保険法などで、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこととされているところです。

 このため、新興国の株式での運用は、GPIFの運用委員会で慎重に検討されましたが、一つは、新興国の株式市場は世界の株式市場全体で一四%を占めていて、新興国株式への投資が一般的となっているということ、また、外国株式の運用でこのような成長市場に投資しないということはかえって収益機会を失うことになるということから、基本ポートフォリオの外国株式の割合の範囲内で新興国株式での運用を拡充するということにいたしまして、今準備を進めているところです。

 また、実際に運用を担うことになります運用受託機関でも、取引量が少ないなど新興市場の特徴に配慮いたしまして、運用の開始については慎重に行っていきたいと考えています。

田中(美)委員 ありがとうございました。手がたい運用をぜひお願いいたしたいと思うところでございます。

 それでは、通告しておりませんが、岡田副総理にお伺いをさせていただきたいと思います。申しわけございません。

 岡田副総理の御実家は大手のスーパーを経営されているというふうに思います。今回の消費税の増税は、家計に大変大きな負担感を与えるものではないかと思うところでございます。

 そんな中、岡田家では、お子さんがお二人いらっしゃって、奥様もいらっしゃるということでございますけれども、奥様は消費税についてどのようにお考えなのか、もし御家庭内でそういった家族の会話がございましたら、教えていただきたいと思います。

岡田国務大臣 私は、野田総理とともに、この社会保障・税一体改革を必ず実現するということで頑張っておりますが、それを一生懸命サポートしてくれていますので、同じ考えだと思います。

田中(美)委員 ありがとうございました。

 いろいろと伺ってまいりましたが、そろそろ時間となりましたので、結びとさせていただきたいと思います。

 子供たちの瞳が輝く社会、年金や介護など老後の安心な社会、そうした暮らしやすい日本の国づくりに社会保障と税の一体改革法案が大いに貢献することを祈念いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて田中さんの質疑は終了いたしました。

[引用おわり]

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