【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【岡田克也】現金30万円の条件付き給付、野党の岡田克也さんが批判、「一律10万円を求めていた」

2020年04月08日 15時23分40秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]岡田克也さん、きょねん2019年11月、衆議院第一議員会館で、筆者撮影。

 最大野党「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」の、岡田克也さん(連続当選10回、三重3区)は、政府の現金30万円支給を批判しました。

 きょう令和2年2020年4月8日(水)から厚生労働省などが求めた新型コロナウイルス感染症など対策特別措置法の「緊急事態宣言」が、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に発令されたことを受けて、SNS各媒体で発信しました。

 前日閣議決定された事業規模108兆円の経済政策パッケージ「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策 ~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~ 」の中で、 現金30万円支給が決まりました。

 しかし、その条件は、次のようになっています。

 「世帯主の月間収入(本年2月 ~6月の任意の月)が、①新型コロナウイルス感染症発生前に比べて 減少し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等割非課税水準と なる低所得世帯や、②新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅 に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等 割非課税水準の2倍以下となる世帯等を対象として」

 となっています。筆者の考えだと、夫婦共働き子ども2人の世帯で、今月の世帯年収が21万円以下ですと、対象になると思います。住民税非課税世帯は昨年は1300万世帯程度で、けっこう身近な水準です。

 岡田さんのSNSに戻って、岡田さんは「私たちが主張していた一律(ひとり10万円)ではなく、自己申告制でかつ個人住民税非課税水準を基準に、減収額を2つのパターンで分けて給付の可否を決定するなど、複雑でわかりにくいことです。これでは窓口が混乱するなど実際に現金を手にするためにかなり時間がかかりそうです 」と指摘しました。

 岡田さんは、2005年の民主党代表時代に「マニフェスト」をかかげました。所得税の配偶者控除と年少扶養控除を廃止し、世帯所得に関係なく、中学生以下1人につき月1・6万円を支給する「子ども手当」を導入しました。2009年選挙で政権交代し、鳩山由紀夫首相は最初の当初予算で子ども手当を実現させました。ところが、どういうわけか納税者側から「所得制限をつけるべきだ」との大合唱になり、小沢一郎さんらが野党・自民党、公明党と組む格好で2010年から所得制限がついてしまいまいた。これにより、所得税の年少扶養控除廃止で所得税額が上がったアッパーミドルの会社員が、子ども手当支給額以上に手取りが減収になることに気づき、「民主党に騙された」論が浮上しました。

 これは、高所得者が有利になる「定額所得控除」に騙されていた、すなわち、自民党に長年騙され続けていたことを民主党によって気づかされたのではあって、民主党に騙されたというのは認知ギャップです。しかし、それを私が説明しても誰も理解してくれない状態でした。私は、所得制限をつけることによって、確定申告制度にみられる納税の自由を政府側にあげてしまうという国民側の発想がまったく理解できず、自分は違うのだな、と思うなか、3年3か月で民主党政権は下野しました。

 高所得者に有利な定額所得控除から子ども手当にする簡素で納得の税制や、低所得世帯が所得税の確定申告をすると還付金がもらえる給付つき税額控除が、まったく相手にされなかったときから、きょうの混乱は生まれました。わざと税制を複雑にして政治献金をせがむ自民党政権が7年間漂流してきました。税制はシンプルでなければ、民主主義は瓦解します。それがまったく理解されない日本社会は、私にはとても残念です。

 以上です。

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