[写真]カメラを持ちながら自民党大会会場に入る松本純さん、おおとし2019年2月、宮崎信行撮影。
既に自民・立憲が修正合意済みの「新型コロナ特措法、感染症法、検疫法改正案」(204閣法6号)が審議入りし、来週月曜日の本会議でスピード採決。
通常国会序盤の今週は大きな動きが3つありました。まずそれから。
「本来は率先垂範すべき立場」とされる与党衆議院議員にもかかわず緊急事態宣言の東京・銀座で午後8時以降にクラブにいった議員への主に身内からの批判が鳴りやまず、役職辞任に追い込まれました。
(1)自民党国会対策委員長代理の松本純さんは、26日(火)のデイリー新潮で、18日(月)の夜銀座を飲み歩いていたことが報じられ、その後、特措法の2党修正合意の囲み取材で国対委員長の後ろに写り込みましたが、きょう幹事長に辞表を出しました。
(2)遠山清彦さんは22日(金)に銀座を飲み歩いたと26日の週刊文春オンラインで報じられ、公明党本部に支持者からの電話が殺到し、謝罪動画をツイッターに上げました。しかし、次の衆院選で神奈川6区に転じることから横浜市内でも批判が上がっており、キャバクラへの支出が政治資金収支報告書を、既に訂正。さきほど、幹事長が記者団に対して遠山幹事長代理の解任を発表しました。同党の役員のほとんどは代表任命ですが、幹事長室のみ代表ではなく幹事長が任命する党規約になっています。
(3)菅義偉首相は、27日(水)の参・予算委で「最終的には生活保護というしくみ、そうしたセーフティーネットをつくっていく」と答弁し「最終的には生活保護」の発言に批判が集まっています。
3つとも後を引くことは確実。ちなみに、テレビのお天気情報カメラに映る天国のような横浜の夜景で、時計付き観覧車がある夢のような世界が菅さんの選挙区で、左奥の暗い所が松本さんの選挙区。遠山さんの選挙区は、古い古民家が立ち並ぶのに新規区画造成もされているという今世紀の日本では稀有なフロンティアとなります。横浜市らしい多様性がありますが、松本さんの実弟は現職市議。自民党の国会議員で実弟が現職市議は珍しく、既得権益者にとっては守る物があるけど、やや余裕がなくなりつつあり横浜黄昏。ペリー来航のような衝撃が日本全体に広がるでしょうか。
また、きのうの共産党・小池晃書記局長に対する「扶養照会は生活保護申請の(自治体の)義務ではない」との田村憲久厚労相の答弁も話題になっています。私が確認したら県庁が市町村に配るマニュアルでも「要件だ」となっており、事実上「扶養照会の文書をつくるのは義務だ」と受け止められる表現がされており、現行法の解釈を示しただけとはいえ、重要な大臣答弁だといえます。
【衆議院議運委員会 きょう令和3年2021年1月29日(金)】
定例日ではない、月曜日(2/1)午後5時から本会議を開くことを与野党が決めました。また、理事会では、松本さん、遠山さんの件で野党が苦言を呈しました。
【衆議院本会議 同日】
1月にもかかわらず一般法案が審議入り。
「新型コロナ特措法、感染症法、検疫法改正案」(204閣法6号)が西村康稔担当相から趣旨説明され、菅義偉首相らが答弁しました。代表質問で立憲民主党の長妻昭さんは「多くの国民は十分すぎるほど自助努力しています。もう限界に達しています。今こそ暖かい政治が必要です」と語りました。公明党の高木美智代政調会長代理は「修正には共産党以外の各党が賛成しており、自民党と公明党は幹事長会談を開いた。政府与野党協議会にも参加している」とし、自民党と立憲民主党の2党だけで話を決めたわけではないとの見解を強調しました。高木さんは「首相は感染収束後に再改正するつもりだった」と理解を示しつつも、対応が遅いとの党内の批判を隠さずに指摘しました。
答弁で菅首相は「特措法では感染防止のために休業要請をしているが、営業の自粛は一時的なものであり、憲法29条3項の損失補償にはあたらないとの解釈が感染症法制定時に整理されている」と答弁しました。これは私は知らなかったのですが、憲法29条1項の財産権は市民革命の所有権の絶対性にもとづきますが、これはフランス民法・日本民法の恒久的な所有権を意味しており、営業権は財産権のように恒久ではないから、一時的な休業要請は、財産権に対する公共の福祉への利用のための公的補償の対象ではない、との政府の憲法解釈があるということだと思います。
【衆議院内閣委員会 同日】
さっそく「特措法・感染症法改正案」(204閣法6号)の政府原案が審議入りしました。参考人質疑では「伝染症予防法などを廃止して感染症法(平成10年)を制定したのは、前文に書かれている通り、差別をなくすことが主眼であり、もともと刑事罰はそぐわない」「エボラ出血熱ウイルスの感染防止などと同等に対応することはない」という趣旨の意見が示されました。
明けて月曜日(2/1)の午前9時から委員会を開き、対政府質疑をして、修正案が提出され、採決し、修正可決すべきだと決まる見通し。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
連合審査会を求めることを議決しました。また、長妻さんらが提出した議法1本の撤回が、長妻さんらの求めに応じて全会一致で了承されました。散会後に、来週月曜日(2/1)の午後3時半から、連合審査会を開き、厚労マターである感染症法・検疫法の改正条項を中心に質疑することになりました。
【官邸 同日】
野党議員である川内博史さんの同行で、生活困窮者6名(うち3名は顔出しNG)で菅首相と会いました。火曜日(1/26)の第3次補正予算の締めくくり質疑での川内さんの「会ってくれませんか」との質疑への答弁が週内に実現したかっこう。
●今後の予定
上述の通り、2月1日(月)に委員会、連合審査会が開かれ、修正議決すべきだとの委員長報告が午後5時からの本会議でなされ、採決し、可決。参議院は2月2日(火)に審議入りし、3日(水)の本会議で可決・成立のはこび。4日(木)にも当初予算案を審議するテレビ入り衆・予基本的質疑が行われることになりそうです。野党が日程闘争をせずに序盤優位に立つ展開は珍しいことで、政府与党総崩れの前兆が出つつあります。
また立憲民主党は31日(日)に電子会議システム「ズーム」での党大会を開催。おさえていた都内有名ホテル会場には枝野幸男代表ら極めてごく一部の幹部だけが参加します。大会後の記者会見も「ズーム」で行われる予定で、さきほど参加者のシステム予行テストも行われました。
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既に自民・立憲が修正合意済みの「新型コロナ特措法、感染症法、検疫法改正案」(204閣法6号)が審議入りし、来週月曜日の本会議でスピード採決。
通常国会序盤の今週は大きな動きが3つありました。まずそれから。
「本来は率先垂範すべき立場」とされる与党衆議院議員にもかかわず緊急事態宣言の東京・銀座で午後8時以降にクラブにいった議員への主に身内からの批判が鳴りやまず、役職辞任に追い込まれました。
(1)自民党国会対策委員長代理の松本純さんは、26日(火)のデイリー新潮で、18日(月)の夜銀座を飲み歩いていたことが報じられ、その後、特措法の2党修正合意の囲み取材で国対委員長の後ろに写り込みましたが、きょう幹事長に辞表を出しました。
(2)遠山清彦さんは22日(金)に銀座を飲み歩いたと26日の週刊文春オンラインで報じられ、公明党本部に支持者からの電話が殺到し、謝罪動画をツイッターに上げました。しかし、次の衆院選で神奈川6区に転じることから横浜市内でも批判が上がっており、キャバクラへの支出が政治資金収支報告書を、既に訂正。さきほど、幹事長が記者団に対して遠山幹事長代理の解任を発表しました。同党の役員のほとんどは代表任命ですが、幹事長室のみ代表ではなく幹事長が任命する党規約になっています。
(3)菅義偉首相は、27日(水)の参・予算委で「最終的には生活保護というしくみ、そうしたセーフティーネットをつくっていく」と答弁し「最終的には生活保護」の発言に批判が集まっています。
3つとも後を引くことは確実。ちなみに、テレビのお天気情報カメラに映る天国のような横浜の夜景で、時計付き観覧車がある夢のような世界が菅さんの選挙区で、左奥の暗い所が松本さんの選挙区。遠山さんの選挙区は、古い古民家が立ち並ぶのに新規区画造成もされているという今世紀の日本では稀有なフロンティアとなります。横浜市らしい多様性がありますが、松本さんの実弟は現職市議。自民党の国会議員で実弟が現職市議は珍しく、既得権益者にとっては守る物があるけど、やや余裕がなくなりつつあり横浜黄昏。ペリー来航のような衝撃が日本全体に広がるでしょうか。
また、きのうの共産党・小池晃書記局長に対する「扶養照会は生活保護申請の(自治体の)義務ではない」との田村憲久厚労相の答弁も話題になっています。私が確認したら県庁が市町村に配るマニュアルでも「要件だ」となっており、事実上「扶養照会の文書をつくるのは義務だ」と受け止められる表現がされており、現行法の解釈を示しただけとはいえ、重要な大臣答弁だといえます。
【衆議院議運委員会 きょう令和3年2021年1月29日(金)】
定例日ではない、月曜日(2/1)午後5時から本会議を開くことを与野党が決めました。また、理事会では、松本さん、遠山さんの件で野党が苦言を呈しました。
【衆議院本会議 同日】
1月にもかかわらず一般法案が審議入り。
「新型コロナ特措法、感染症法、検疫法改正案」(204閣法6号)が西村康稔担当相から趣旨説明され、菅義偉首相らが答弁しました。代表質問で立憲民主党の長妻昭さんは「多くの国民は十分すぎるほど自助努力しています。もう限界に達しています。今こそ暖かい政治が必要です」と語りました。公明党の高木美智代政調会長代理は「修正には共産党以外の各党が賛成しており、自民党と公明党は幹事長会談を開いた。政府与野党協議会にも参加している」とし、自民党と立憲民主党の2党だけで話を決めたわけではないとの見解を強調しました。高木さんは「首相は感染収束後に再改正するつもりだった」と理解を示しつつも、対応が遅いとの党内の批判を隠さずに指摘しました。
答弁で菅首相は「特措法では感染防止のために休業要請をしているが、営業の自粛は一時的なものであり、憲法29条3項の損失補償にはあたらないとの解釈が感染症法制定時に整理されている」と答弁しました。これは私は知らなかったのですが、憲法29条1項の財産権は市民革命の所有権の絶対性にもとづきますが、これはフランス民法・日本民法の恒久的な所有権を意味しており、営業権は財産権のように恒久ではないから、一時的な休業要請は、財産権に対する公共の福祉への利用のための公的補償の対象ではない、との政府の憲法解釈があるということだと思います。
【衆議院内閣委員会 同日】
さっそく「特措法・感染症法改正案」(204閣法6号)の政府原案が審議入りしました。参考人質疑では「伝染症予防法などを廃止して感染症法(平成10年)を制定したのは、前文に書かれている通り、差別をなくすことが主眼であり、もともと刑事罰はそぐわない」「エボラ出血熱ウイルスの感染防止などと同等に対応することはない」という趣旨の意見が示されました。
明けて月曜日(2/1)の午前9時から委員会を開き、対政府質疑をして、修正案が提出され、採決し、修正可決すべきだと決まる見通し。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
連合審査会を求めることを議決しました。また、長妻さんらが提出した議法1本の撤回が、長妻さんらの求めに応じて全会一致で了承されました。散会後に、来週月曜日(2/1)の午後3時半から、連合審査会を開き、厚労マターである感染症法・検疫法の改正条項を中心に質疑することになりました。
【官邸 同日】
野党議員である川内博史さんの同行で、生活困窮者6名(うち3名は顔出しNG)で菅首相と会いました。火曜日(1/26)の第3次補正予算の締めくくり質疑での川内さんの「会ってくれませんか」との質疑への答弁が週内に実現したかっこう。
●今後の予定
上述の通り、2月1日(月)に委員会、連合審査会が開かれ、修正議決すべきだとの委員長報告が午後5時からの本会議でなされ、採決し、可決。参議院は2月2日(火)に審議入りし、3日(水)の本会議で可決・成立のはこび。4日(木)にも当初予算案を審議するテレビ入り衆・予基本的質疑が行われることになりそうです。野党が日程闘争をせずに序盤優位に立つ展開は珍しいことで、政府与党総崩れの前兆が出つつあります。
また立憲民主党は31日(日)に電子会議システム「ズーム」での党大会を開催。おさえていた都内有名ホテル会場には枝野幸男代表ら極めてごく一部の幹部だけが参加します。大会後の記者会見も「ズーム」で行われる予定で、さきほど参加者のシステム予行テストも行われました。
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Ⓒ2021年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。
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