【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

身の程知らずの参議院で全会一致のっけから崩れる、山本太郎「波風立ててほしくないのか?」共産「二重ローン救済法はグループ補助金にも使える」

2018年01月31日 19時11分15秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]参議院、5年前の2013年、筆者・宮崎信行撮影。

 直近の民意である衆院選を経ていないのに、大臣だの、最大野党党首だの、身の程知らずの参議院。きょうから補正予算の審議が始まり、テレビ入りで無駄な時間が繰り広げられました。そんななか、「二重ローン救済法延長法案」(196参法1号)の審議で、希望の会(自由)の山本太郎共同代表が「全会一致で通すために波風を立ててほしくないのか」と反対し、全会一致が崩れました。

【参議院予算委員会 平成30年2018年1月31日(水)】

 「平成29年度第1次補正予算案」は既に趣旨説明を聞いており、審議は合計2日目になりますが、きょうは、テレビ入りで基本的質疑1日目がありました。

 民進党は働き方改革関連法案(未提出)などを質問。

 自民党は、5年前の特定秘密保護法強行採決で最後の質疑者となった、宇都隆史さんが「テレビ入りなので、政府におかれましては、国民に分かりやすいていねいな説明をしてほしい」と切り出しました。そして、野党が攻め始めた、「NEDO・ペジーコンピューティング不正補助金問題」から質問。私は、おっと思いましたが、世耕弘成経済産業大臣に対して、意義のある事業への補助金だった、と釈明させたような印象でした。これに先立つ、片山さつきさんも、世耕大臣や、中川雅治環境大臣ら参議院出身者への質問が目立ちました。

 宇都隆史さんは、「インド太平洋戦略」について。宇都さんがきょねん、豪州を訪れ、ターンブル豪首相と会う機会があったとすると、安倍晋三首相(自民党総裁)が「首相訪日時に、習志野駐屯地に一緒に行った」、といくら準同盟国とはいえ、きな臭い問答を繰り広げました。さらに、核保有国のインドについて、宇都さんは協力の対象になるとしました。また、首相の答弁で、中期防改定にあわせて防衛計画の大綱も改定するといおう趣旨の発言がありましたが、順序は大綱→中期防です。前日の衆議院での補正予算には概算要求を前倒したと平然と答弁するなど、防衛省は変な答弁を書いているような印象があります。良くも悪くも、陸軍兵学校や海軍士官学校があった70年前とは違うというところです。

 明治維新ブームということもあり、高知県選出の高野公二郎さんは「薩長土肥」と言及。2010年の選挙では、坂本龍馬のコスプレ姿をホームページで披露していた高野さんですが、そのときは、惜敗。2013年に当選。きょうは、改憲の必要性を説きました。明治維新組が改憲派で、我々東北甲信越組が護憲派という色分けができつつあるのも、興味深いというか、訳の分からないところです。石井準一さんに一声かけられた高野さんは急に質問を止めました。

 衆参とも自民党国会議員が、憲法論争であげる笑いや野次が、実はよく理解していないのではないかと感じることがあります。芦部信喜「憲法」を読みましょう。

【参議院東日本大震災復興特別委員会 平成30年2018年1月31日(水)】

 山口県選出の江島潔委員長と、福島県選出の吉野正芳復興大臣が出席。

 「東日本大震災二重ローン再生支援機構法の3年強延長法案」(196衆法1号)

 衆院側の谷公一委員長は趣旨説明で「参議院議員のご提案による法律だ」と、2011年震災国会での参議院野党自民党をたたえました。

 討論を、山本太郎自由党共同代表が求めました。山本さんは「修正案提出が認められなかった。時間がギリギリだからだということだ。委員長提案で全会一致で通す予定なのに波風を立ててほしくなかったのか。質疑も認められなかった。ただ、委員長や理事が討論を認めてくれたので、反対を表明する」とし、きょねんの、臨時国会召集要求書の政府の放置を批判しました。ただ、山本さんは「意味不明な国難解散」とも言いましたが、衆議院解散を批判することは参議院議員には許されないことです。

 衆院側では討論しなかった、共産党の紙智子さんも討論を求めました。賛成討論で紙さんは、「今後はグループ補助金の借り換えにも使える」と語りました。2011年民主党政権の枝野幸男官房長官が数少ない褒めてもらえた政策だというグループ補助金。ただ、私は以前から気にしていたのですが、グループから離れて、廃業したり、転出したりする人が出た場合はどうするのか。時間が経ってから広がる被災格差もあるだろうに、グループから抜けられない悩みもあるのではないかと思っていました。グループ補助金の借り換えにも使えるということならば、震災前より事業を拡大するのも自由だし、故郷を離れるのも自由です。震災から7年経って、そろそろ、自由という概念をしっかり持っていきたいものです。例えば、将来大臣になれるかもしれないと口をつぐむ自由、というものもあるのかもしれません。

 採決。

 希望の会(自由)が反対し、自公民共維などの賛成多数で可決しました。あす成立のはこび

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(C)2018年、宮崎信行。

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