【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

宇宙活動法案が衆議院内閣委員会可決、給与法案の審議は先送り、JR東海3兆円は積算根拠無し、でも可決[きょうの国会]

2016年10月26日 17時20分46秒 | 第192回臨時国会(2016年9月から12月まで)条約・カジノ再延長国会

[写真]国会正門前から見る10月下旬の憲政記念館の森、2015年、筆者・宮崎信行撮影。

【衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会 平成28年2016年10月26日(水)】

 地方公聴会が、北海道と、宮崎県で開催。

 午後1時15分から、岩上安身さんが経営する「IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)で、市民ジャーナリストの方が中継してくれました(ライブ配信時のアドレスは→北海道会場

 IWJの配信を見たところでは、北海道会場は、塩谷立特別委員長が座長をつとめました。公述人としては、北海道の会社で、漁業用具で、その分野では世界シェア4分の3を占める社長が発言。韓国にある企業が先細っており、TPPが仮に発効して輸入が増えても、ビジネスチャンスは視界良好というような雰囲気でした。

 議案は、「TPP条約の承認を求めるの件」(190条約8号)、「TPP国内実施法案」(190閣法47号)

 民進党の篠原孝筆頭理事は、宮崎県に行ったようでした。

 あす以降の委員会で、北海道、宮崎県の座長が報告すると思います。

【衆議院内閣委員会 平成28年2016年10月26日(水)】

 ちょうど半年前、4月下旬の連休前に審議入りしたものの、審議未了で衆議院に留め置かれていた、

 「宇宙活動法案」(190閣法41号)と「衛星リモートセンシング法案」(190閣法42号)が審査されました。討論では、共産党の池内沙織さんが「ロケットの打ち上げが軍事利用につながるかもしれない」などとして、反対しました。午前中に採決になり、共反対、自公民維の賛成多数で可決しました。ともに、民間企業の参入を踏まえて、衛星を打ち上げたり、地球の表面温度などの情報を活用したりすることを、政府の許可制にする内容です。

 このまま散会しました。平成28年度人事院勧告を実施するための給与法案の審議入りは見送られました。

【衆議院文部科学委員会 平成28年2016年10月26日(水)】

 「教育公務員特例法などの一括改正法案」(192閣法17号)が、松野博一文部科学大臣から趣旨説明され、与党だけ質問しました。これがどうしてもわからないので、分かる方がいれば教えてください。教員の資質を向上するために研修を増やすといった内容の法律案です。

 自民党の宮川典子さんは「ベテラン教員の研修も必要だ」「研修をする時間が少ないので、配慮すべきだ」「再任用による人件費の節減は必要だが、若い人を採用してほしい」などとしました。 日教組などのホームページには、とくだん、この法律案に対する見解は載っていないようです。県教組の支持をえる、参議院民進党などがどういう対応をとるのか、よくわかりません。そのせいではないでしょうが、次回の日程は発表されずに散会しました。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会(倫選特)平成28年2016年10月26日(水)】

 ミスター政治改革の岡田克也委員も出席しました。きょうは、2015年10月1日の国勢調査の人口が出て、1・2711億人と、調査開始以来初めて減りました。

 まず、高市総務相が第24回参院選について「期日前投票は過去最多」などと報告。続いて、警察庁警備局長が第24回参院選の取り締まり状況について、107件117人の検挙にとどまり、大幅に減った」と説明しました。

 この後、一般質疑。共産党の塩川鉄也さんの問いで、政権交代後に自民党への企業団体献金が1・6倍程度増えていることを指摘しました。高市総務相は「私は閣僚として答弁している」と自民党や国民政治協会の黒い影への答弁を拒み続けました。高市さんは「私は政府専用機に乗ったことがない」などと終始不機嫌でした。

 この後、政府が提出した、

 「最高裁判所裁判官国民審査法など改正案」(192閣法7号)

 が、高市大臣から説明されました。国民審査の期日前投票を衆院選のそれとあわせるなどの法改正案。次回の開催は公報で知らせることとして、散会。

【衆議院経済産業委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 「独立行政法人JOGMEC法改正案」(192閣法8号)が審議入り。

 世耕経産相は趣旨説明で、「石油資源の確保は我が国の生命線だが、ここ数年、他国では石油企業の売却が出ており、今後数年間は我が国の権益を増やすチャンスだ」という趣旨の話をして、JOGMEC機構の上流開発を支援することをアピール。自民党の佐藤ゆかりさんは、最近ありがちな、首相の外遊、とくにロシアアピールに終始しましたが、「私が以前経済産業政務官だったころ、中小企業を外遊に連れて行った」という少し感じの悪い発言。これをかんで含めるように、世耕大臣は「さきほど委員が連れて行ったという案件だが」とソフトな印象で、教育者一家らしいフォローをみせました。与党のみの質疑で散会。次回は28日(金)9時から。割賦販売法改正案の審議は、この法案が済んでからになるでしょう。

【衆議院国土交通委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 きのう審議入りした「独立行政法人鉄道機構法改正案」(192閣法25号)を審議。午前中は参考人質疑。午後は議員が審査。

 共産党の本村伸子さんは、先だってのテレビ入り予算委と同様に、40年間の財政投融資に反対。「麻生財務相は40年後まで生きていて見届けるべきだ」として予算委では同席していた石井国交相に語りました。本村さんによると、鉄道機構からJR東海への3兆円(補正+次の当初予算案)について、財政制度等審議会も持ち回りで承認したとのこと。私は財政制度等審議会は頻繁に開催されている印象を持っていたので、意外でした。リニアは既存の新幹線とあわせて、一定期間の売上高を9兆円と見積もり、そこから、30年後ないし40年後に毎年0・3兆円ずつ返済します。この「9兆円」の積算根拠がまったくないことが明らかになりました。本村さんの言う通り、このようなずさんな融資は、国にとっても、JR東海にとってもよくありません。私も最近は、短期間で党首を落とし穴に落として生き急ぐ党首・幹事長らがいる政党よりも、日本共産党の方が賛同できることが多いような気が、なんとなくですが、します。

 質疑は終局。討論は、共産党の本村さんだけで反対。法案の内容だけでなく、質疑の不十分さも指摘しました。このような法案に関する国会審議の在り方は、今後、忘れられない印象になるかもしれません。

 採決では、共反対、自民党、公明党、民進党、おそらく日本維新の党の賛成多数で、可決しました。自公民維の4会派が附帯決議を提出しました。本会議に上程へ。

【衆議院財務金融委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 本会議で説明と質疑があった、

 「平成24年社会保障と税の一体改革のための税制抜本改革の改正消費税法の一部を改正する法律案」(192閣法3号)を麻生財務相が説明。民進党から木内孝胤さんらが質疑に立ちました。29日(金)9時から委員会を再開する予定。

【衆議院厚生労働委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 「平成24年社会保障と税の一体改革のための年金機能強化法を改正して加入期間を25年から10年に短縮する法案」(192閣法6号)の質疑。野党が一巡して、終わりました。

【衆議院法務委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 給与法案一番手の、「裁判官報酬法改正案」(192閣法12号)、「検察官俸給法改正案」(192閣法13号)、「裁判官職員育児休業法改正案」(192閣法14号)が審査されました。採決はされず、次回の日程は未定のまま散会しました。

【衆議院外務委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 まず一般質疑。この中で、共産党の笠井亮さんの質問で、南スーダンPKOの派遣の根拠となる国際法規について、岸信夫外務副大臣が答えられず、かなり立ち往生しながら、答弁する場面がありました。安倍首相の実弟の岸さんは前回の外務副大臣時代は、安保法制成立をすぐに米国に「報告」に行きました。PKOの根拠国際法をとっさに言えないのは残念ですが、笠井さんは取り立てて問題視しなかったようです。一般質疑だけで終わりました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会(消費者特)平成28年2016年10月26日(水)】

 松本消費者相らがあいさつ。続いて、5月24日に国会に提出された、平成27年度の消費者事故の分析とりまとめについて、松本消費者相が説明して、散会しました。

【参議院災害対策特別委員会平成28年2016年10月26日(水)】

 内閣府防災の大臣、副大臣、政務官があいさつしました。務台俊介内閣府政務官は「私の9月1日の岩泉町での軽率な行動を謝罪する」と語りました。内閣府は分かりにくいのですが、消費者相と防災相の大臣、副大臣、政務官の3人はまったく同じ顔触れです。

 この後、平成28年台風10号の委員派遣の報告を自民党の山田俊男さんがし、「10月24日の北海道の視察の結果、被害額は2000億円以上だ」としました。

 この後、松本防災相が8月以降の台風被害について、まとめて報告しました。散会。

この記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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