【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第190回通常国会提出の雇用保険法改正案は、65歳以上も加入の方向だが、保険料も天引きすべきだ

2015年11月21日 21時53分42秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[写真]国会議事堂=参議院通用門側、2015年11月21日、筆者・宮崎信行撮影。

 雇用保険法改正案が、平成28年2016年1月召集の第190回通常国会提出の方針は、6月の当ブログでお伝えしました。この法律案で、既報の「保険料下げ」に加えて、「65歳以上の加入」を可能とする内容が入ることが分かりました。11月21日付日経新聞が1面トップで報じました。

  ただ、新聞記事を読むと、数年間保険料ゼロで、失業手当50日分がもらえるという内容のようです。これはすぐに労使折半で負担させるべきでしょう。

 労働保険特別会計の「埋蔵金」は現金だけで14・7兆円。財政悪化と世代間格差の是正において、顔がほころぶ数字。あまりこれを強調すると塩崎厚労相に株買い支えに投入されかねないので黙っていた方がいいのかもしれません(この一文は半分冗談)。ただ、あくまでも保険ですから、この埋蔵金は保険料下げで国民に還元するのが筋。同時に、いかにマネーの回し方が間違った政治が行われてきたか、ある一定以上の年齢の方は大いに反省していただきたい。

 世代間格差の是正のためにも、「保険料下げ」と、「65歳以上の加入と保険料負担」をセットにして改正法案を出してほしいものです。なお、6月の記事の後、95日間の延長国会がありました。ここで、「社会福祉法人の透明化法案(社会福祉法改正案)」がどういうわけか成立せず、参議院で継続調査となっています。2016年後半国会は3月上旬から5月下旬までの9週間程度の超短期戦になる見通しで、法案が成立しない可能性も高い状況です。

 ガンバレ負けるな、厚労省!

以下は、雇用保険法改正案に関する6月の記事です。

[当ブログ内から引用はじめ]

雇用保険料を引き下げる雇用保険法改正案、2016年通常国会に提出へ

2015年06月28日 18時02分11秒 | 第190回国会以降
 

 厚生労働省は平成28年2016年1月召集の通常国会に「雇用保険法改正法案」を提出したい方針を決めました。

 その前年の、2015年6月27日付の日経新聞が1面トップで報じました。

 平成28年通常国会は、2016年1月に召集され、回次は第190ないし第191回となります。おそらく6月23日(木)に第24回参院選が公示されることから、延長はない窮屈な国会となります。

 前年秋に労政審(労働政策審議会)の職業安定分科会で議論され、法案を執筆します。

 雇用保険料を年収の1%から0・8%に引き下げる内容。労使折半なので、年収500万円の人は月500円前後可処分所得が増える計算になります。

 この背景には、団塊の世代(年200万人)が退職しながら、平成生まれ(年100万人)のみが労働人口に参加していることから、定率的な雇用環境が改善し、失業率が下がり、失業者数も減っていることがあります。

 平成27年度特別会計で、「労働保険特別会計」のバランスシートは、現金預金に限っても、14・7兆円あります。

 単年度の歳出入は労災勘定が歳入1・2兆円で歳出が1・1兆円、雇用勘定が歳入2・5兆円、歳出が2・5兆円。そして財政技術的な「徴収勘定」は3・2兆円歳出入があります。

 いずれにせよ、リーマンと大震災が同時に来ても、失業給付の財布が底をつくとは考えられません。

 この特会では、8000人以上の一般職(指定職はゼロ)を雇っており、我が国財政において厚みのある特会の最後の砦といえます。
[引用おわり]

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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山一証券自主廃業で橋本龍太郎首相を「そんなこと答えられるわけないだろ!」と激怒させた記者の消息は?

2015年11月21日 18時59分13秒 | 経済

[写真]橋本龍太郎首相(自民党総裁)=首相官邸ウェブサイトから。

 あすで、「山一證券自主廃業へ」の日経新聞1面報道から、18年となります。

 きょう、国立国会図書館で見つけた資料は、週刊新潮1997年12月11日号の62ページの次の記事=画像下=。


 平成9年1997年11月22日(土)、橋本龍太郎首相に「山一證券自主廃業へ」の情報に関して最初に質問した記者に、首相は

 「ちょっと待ってくれよ。今、会見を終わって、そんなこと、そんなことなんて言っちゃいけないが、答えられる状況にあったかい」。そして、さらに記者が質問を繰り出そうとする、

 「そういう情報を聞いていないと言っているじゃないか」と気色ばむ始末。その後も

 「正確な情報が入っていないから答えられない」

 この山一證券自主廃業について、橋本首相に質問を繰り返し、気色ばまれた記者。この記者のその後の行方が気になります。今どうしているのでしょうか。

 それは、私です。私・宮崎信行が、当時日経新聞政治部記者だった私なんです。

 この問答は、午前3時台だったため、新聞製作上の都合で、あまり新聞縮刷版に載っていません。

 このほかにも、私は「正確な情報が入っていないということは、その方向で調整中ということは知っているのか?」「総理は予算委員会や私たちに対して、日本経済のファンダメンタルズは悪くないと、たとえば、ここ3週間ぐらいの日本にとってポジティブとは思えないマーケット状況にあって認識を述べてきたが、その認識には変わりがないと現時点で確認してもいいのか」という質問もしました。

 このやり取りは、その後森内閣まで続いた、「ぶら下がり取材」という形式で、首相が首相官邸内、国会内の2か所で、移動中に、廊下で記者が質問。その問答を、記者が記憶をたよって、メモ起こしし、全社が共有するしくみです。なので、ハッキリって、記者が聞いた通りではないのですが、そのテキストは全社まったく共通になっていました。

 この「そんなこと、そんなことなんて言っちゃいけないが」の部分を起こした時に、他社からそんなことは2回ですね?と聞かれたことは鮮明に覚えています。

 その後も私は、橋本龍太郎首相番をつとめました。民主党担当に異動するさいは、林洋和・首相事務秘書官から「あの子は日経だけに、経済に強いね」と橋本首相が言っていた、とのお言葉ももらいました。

 きょう、当時の記事をいろいろと見ましたが、金融システムの危機というのは、ことが起こって数日後になって、ようやく見出しが立つものだな、と感じました。この数か月前から「拓銀、山一社員の夏のボーナスはどうなった?」という特集が組まれていたにもかかわらず。最大野党・新進党は、ひたすら創価学会系議員との内部分裂を煽る記事ばかりで、翌月、小沢一郎党首がキレて、本当に解党してしまいました。これ創価学会系議員が「公明」という固有名詞(政党登録)を持っていたから記事になりやすかったのかも。

 安倍晋三首相に対して、記者が委縮しています。ただ、きょう、あらためて振り返ってみて、今は、しょうがないかな、という気もしました。

 この日に生まれた赤ちゃんが、あす18歳になります。

 持続可能な日本を!

このエントリー記事の本文は以上です。

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[お知らせ終わり]


第190回国会提出の「TPP対策赤字補てん法案」は9割を新マルキンで牛豚とも法制化

2015年11月21日 13時28分06秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 先週10日既報の「TPP対策の国内牛肉農家の赤字補てん法案」が提出されることが確実になりました。

 牛肉農家のみならず、豚肉農家も含めて、行政指導の「新・マルキン」を恒久法にする法案。

 自民党政府が来週決定する「TPP対策大綱」で、国内の牛肉、豚肉農家の赤字を補てんする「新・マルキン(肉用牛肥育経営安定特別対策事業」を法制化し、赤字補てん割合を現行の8割から9割に引き上げて法制化します。

 新・マルキンはもうネーミングセンスは、明らかに農水省のそれであり、猫の目農政が続くことになります。ただ、法制化は大きな一歩です。ことし1月15日の日豪EPAの発効で、国内産の牛肉・豚肉が激安となっており、国政府による赤字補てんは当然だと私は考えます。一部に「10割」という声もあるようですが、私は「9割」だと考えます。

 民主党内には、TPPの国内翻訳が出ない状態で、TPP対策大綱がまとまることに大きな抵抗が出ています。

 衆議院農林水産委員会は、岸本周平ネクスト農相が筆頭発議者となった民主党単独提出の「農業者戸別所得法案」など合計6法案が継続審議(閉会中審査)として年を越します。民主党の法案攻勢が、行政指導猫の目農政を恒久法農政への方針転換させる一助となっているのかもしれません。

 ただ、予算書を読むと、TPP条約との兼ね合いで整理が必要となりそうです。まずは、名前を分かりやすくすること。民主政治の第一歩です。それができていないから、農水省に入ってから若手官僚が自主的に農業研修をするようになるんです。君子を本を務む、本立ちて道生ず。がんばれ、若手農水官僚!

 新マルキン法制化法案は、TPP特別委員会(未設置)で審議されるかもしれません。

 以下は、10日既報の当ブログの記事です。

[当ブログ内から引用はじめ]

TPPで「農業輸出品の補助金廃止」へ 「牛肉農家の赤字補てん」の恒久法案が2016年通常国会提出か

 TPP条約=大筋合意=の第2章第23条に「農業輸出品の補助金の廃止」が入っていることが、筆者(宮崎信行)の精査で分かりました。

 畜産輸出補助金を廃止し、国内牛肉農家の「赤字を補てんする」法案が2016年通常国会に提出されるかもしれません。

 これはきのう9日のNHK報道を受けて、筆者・宮崎信行が、TPP条約案、平成27年度一般会計予算、法律を精査して、分析したものです。

 TPP条約の第2章第23条は、農業の輸出にかかる補助金の廃止を、12か国に求めています。

 条約(案)の英語版によると、「Article 2:23 Agiricultural Export Subsidies」という第2章第23条には、

 「1.The Parities share the objective of the multilateral elimination of export subsidies for agricultural goods(後略) 」とあります。

 仮に翻訳すると、加盟国は農産物の輸出補助金を廃止することを多国間(マルチラテラル)で共有する、という感じです。

 そして、平成27年度2015年度の日本政府の一般会計予算書には、農水省の「牛肉など関税財源国産畜産物食農連携強化対策費」が710億円計上されています。この補助金は、「ALIC(エーリック)独立行政法人農畜産業振興機構」が付けています。この独法は、畜産物だけでなく、砂糖、野菜の補助金も交付しています。

 これは現在予算措置で根拠法がないようで、報道によると、「牛肉農家の赤字補てんを恒久化する法律案」を作成し、豚肉農家も対象にするかどうか検討するということです。

  おそらく、ALICが所管する畜産物価格安定法の、農相が定める「安定価格」を維持するための「交付金(補助金)」を、国内流通に限るかたちの方向性になると考えられます。

[引用おわり]

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