【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

加藤一億総活躍相の説明にあいまいさ NHK日曜討論、第24回参院選前の通常国会でターゲットも

2015年11月29日 20時08分15秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

[画像]加藤一億総活躍相、2015年11月10日(火)、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 加藤一億総活躍相が、平成27年2015年11月29日のNHK日曜討論に登場しましたが、説明に安定さを欠く場面が見られました。

 加藤一億相は、先週閣議決定した、政策パッケージ「1億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」について、「補正とか本予算で対応していきたい」と語りました。

 ただ、補正と本予算(案)に盛り込まれたかどうかは、通常国会序盤の1月、2月には分かる話であり、遅くとも、本予算(案)の衆議院予算委員会審議中には、政策パーケージと予算(案)への反映について、何らかの説明の祖語が生じるかもしれません。

 有識者から「介護保険が始まって15年。3年ごとの改定で4回はマイナス改定で、まず介護報酬を上げることが大事だ」と説かれると、加藤一億相は「成長と分配を目指していく」と歳出入の大枠についての強調に終始しました。

 保育士不足について、「1億プラン」には、「資格取得支援、離職者再就職、ICT活用」を挙げていますが、有識者は「保育士は、介護ヘルパーよりもさらに待遇が低く、それが保育士不足につながっている」と語りました。これについて加藤一億相は「平成26年度に3%上げているが保育士が足らない」とし、「子ども子育て(人生前半の社会保障)は年0・3兆円財源が不足している。(法人税収の上振れや国債利払いの一時的低下で)決算剰余金が出てくるので確保できる」と持続可能でない方策を語りました。

 加藤一億相の担務は、

一億総活躍担当
女性活躍担当
再チャレンジ担当
拉致問題担当
国土強靱化担当
内閣府特命担当大臣
(少子化対策、男女共同参画)

 となっています。 

 このうち、「男女共同参画」は、「内閣府男女共同参画局」と「局」ですが、加藤さんは「私は女性活躍担当大臣としては初の男性だ」と語るなど、説得力の乏しい発言が目立ちました。

 上記の担務から、加藤さんは、衆議院内閣委員会、参議院内閣委員会、衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会、参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会の4つが所管になると考えられます。

 来年の衆議院予算委員会、参議院予算委員会は、例年よりも長く開催されることが見込まれます。

 加藤さんは先代の長女を内閣官房参与に受け入れたことについても説明を求められると思われます。

 また、先代以来のタカ派ですので、その点での一部過激な人付き合いでの指摘がでるかもしれません。

 期数が浅い時に、衆・予算委の強行採決で、委員長席後ろで興奮し、同僚に体を使って、たしなめられたこともあります。

 今回が初の認証官(大臣、副大臣)。安倍首相が自民党NC厚労大臣経験者で、厚労分野の数字をそらんじる場面が目立つ中、加藤一億相は厚労分野の数字をそらんじられない場面が目立ちます。一夜漬けで覚えられるのでしょうが、おそらく安倍首相としては加藤一億相が伸びればそれでいいし、潰れてもそれでいい、と考えているのではないか、と人事配置を見る限り推測できます。

 また、内閣人事局長をつとめたことから、政策立案能力があり、地位も高い(高かった)高級官僚(経験者)から民主党への協力者が出るかもしれません。

 

 自民党本部入口の掲示板には、「経済で、結果を出す。一億総活躍社会へ。自民党」というポスター=今月11日、筆者撮影=をかかげており、加藤一億相とそれをめぐる経済環境で、第24回参議院議員通常選挙(7月10日投開票か)。

 安倍自民党は「一億総活躍社会へ。」の失敗で、民主党結党直後の1998年参院選、岡田「年金」民主党の2004年参院選に匹敵する大敗となる公算が出てきました。

 ただ、加藤勝信さんは野党3期生時代に「社会保障と税の一体改革3党協議」の実務者に抜擢されるなど、かなりの財政再建論者のように思えますので、補正や本予算(案)だけにとどまらず、長い視点で財政再建の道筋を描く仕事をしていってくれることには、大いに頑張って、見守っていきたいと考えます。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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