防衛省は、防衛装備移転3原則(ことし2014年4月1日(火)閣議決定)にもとづき、今月末しめきりの平成27年度予算案に「防衛装備庁」新設を概算要求することにしました。 さらに、防衛省設置法改正法案を第188通常国会に提出し、成立後、平成27年度の早い段階での発足を目指します。
インターネット上の無料百科事典、wikipedia(ウィキペディア)には、すでに1週間前に「防衛装備庁」の項目が新設されました。ここで「防衛装備庁は2000人規模」と書かれていますが、きょう19日付の日経新聞は「1800人規模」と書いており、防衛省と財務省主計局のかけひきがうかがえます。
防衛省関連では、先月7月25日付で新設された「防衛審議官」が、その2年半前からwikipediaで項目が立っており、その意義を広報しようという姿勢がうかがえます。
(当ブログ内関連エントリー2014年2月11日付なぜそこまでして・・・「防衛審議官」新設の防衛省設置法改正案を3たび提出、すでに予算には計上)
防衛装備庁はまず予算を要求して、平成27年度予算成立後に、設置法案を国会で審議することになります。2008年度の消費者庁も同様でした。予算の歳出というのは「その限度額まで予算を使ってよい」という権限を国会が各府省に与えるものに過ぎず、万が一、予算で認められながら、法律が成立しなければ執行しなくても法的責任が発生するわけではありません。この順番が正しいかどうかは、国民が大局的見地から議論する必要があるかもしれません。
日経新聞の報道によると、防衛省は運用企画局を内局から統合幕僚監部に写し、陸海空自衛隊と統幕の統合運用につなげます。その一方、防衛省整備計画局を設けて、防衛装備品(武器)と施設の整備を立案。サイバー対策の情報通信・研究課も他の内局から移管して強化。外局の防衛装備庁と連携して、防衛装備品の開発、取得、輸出を管理することになります。私見としては、経済産業省が担当しているワッセナー・アレンジメント(旧ココムにかわる、国際的な紳士協定)の国内規制が、日本の産業空洞化を招いているので、その力を奪い取ってほしいところです。
防衛装備移転3原則と、集団的自衛権の限定容認の閣議決定が相次いだことで、日本が「死の商人」になるのではないかという懸念も生じるでしょう。それは当然です。しかし、 平和な光景そのものの、親が子を撮影するムービーカメラの高性能レンズだって、もともとは防衛装備品の民生転用です。私は、ことしの夏を前に、エアコンを三菱重工製に交換しました。当初は、効き過ぎて寒いので、「やはり重工は民生転用は苦手なのか」と感じましたが、「冷房」ではなく「自動」にすると快適で、夏風邪もいっさいひかず、「自動」のための、センサー、マイコンの機能の高さを感じることとなりました。
防衛装備庁と三菱重工、IHI、川崎重工、日産自動車、三菱電機、NTTグループなどの癒着は今後も問題になるでしょうが、いたちごっこの面もあります。防衛装備庁をつくるならつくるで、来年の通常国会にしっかりとよい法案を出して、国会のお墨付きをもらうことが大事です。ただ、集団的自衛権のための自衛隊法改正法案など安全保障法制の再整備法案とはどう分けるんでしょうか。官邸主導政治のなか、与党国会対策委員会の全体像が見えません。
wikipediaに先に項目を新設するのは、なかなか、その心意気やよし、と微笑ましく感じるところです。
私は、陸自の観閲式(総合予行演習)に行きましたし、海自の観艦式は旗艦に乗りました。陸自富士総合火力演習はことしも応募しましたが、どうやら選外のようです。それはさておき、wikipediaの活用は、心意気やよし。「この国に自衛隊があることの誇らしさ」を再認識。
「特定国境離島」の整備や振興に関する特別措置法案が、第187臨時国会(来月2014年9月に召集か)に提出される見通しとなりました。
自民党の「領土に関する特命委員会」の額賀福志郎委員長(元防衛庁長官)、佐藤正久事務総長(前防衛政務官)がまとめました。ともに平成研究会(自民党額賀派)のステイツマンです。
これは、先週2014年8月12日(火)付の読売新聞が1面トップで報じたものです。
記事によると、10前後の離島を「特定国境離島」に指定。土地保全や地域振興をはかります。防衛、地域経済両面に配慮した法案。特定国境離島の指定は、与那国島、対馬、隠岐諸島、佐渡島、奥尻島、利尻島、礼文島など。
人が住んでいる離島に限定。魚釣島など尖閣諸島は対象外です。韓国との「国境の島」対馬は韓国人有産階級が土地の買い占めているようです。先島諸島の与那国島は台湾からもっとも近く、自衛隊配備の下ごしらえともいえそうです。竹島は残念ながら韓国軍に占拠されています。佐渡島は資源もありますが、住人が北朝鮮による拉致されました。奥尻島、利尻島、礼文島はおのおの空港がありますが、ロシアがサハリン(千島樺太交換条約に基づく国際法上正当なロシア領)とのとても狭い宗谷海峡を通っていき危険です。
法案は、自衛隊、海上保安庁の駐屯やその土地の整備と国有化、港湾、空港、道路のインフラ整備に国庫補助の高率化(かさあげ)を求める内容。外国漁船の違法操業で経済被害を受けた漁業者への補償制度も入るかも。楽しみな法案です。
先の第186通常国会では、奄美諸島振興法(奄振)と、小笠原諸島振興法の各々の10年間延長を一本化した法案が日切れ指定され成立。3月31日に平成26年法律6号として天皇陛下が公布なさいました。このように、10年間の時限立法とするようです。たとえば、沖縄振興特別措置法も10年間が時限ですので、沖縄県選出・拠点の与野党衆参全議員が協議体をつくり、議員会館に集まって話し合って法案化し成立させています。