[写真]二大政党党首。
第46回衆院選の公示日第一声。
【12党党首が第一声】
民主党の野田佳彦代表はいわき市、自民党の安倍晋三総裁は福島市とともに福島県で挙げました。このほか、朝日新聞夕刊によると、公明党の山口那津男代表は神奈川県横浜市旭区で、国民新党の自見庄三郎代表は鹿児島県薩摩川内市で、みんなの党の渡辺喜美代表は栃木県那須塩原市で、日本未来の党の嘉田由紀子代表は福島県飯舘村で、日本維新の会の石原慎太郎代表は大阪府大阪市で、社民党の福島瑞穂党首は福島県会津若松市で、新党改革の舛添要一代表は東京・有楽町で、新党日本の田中康夫代表は兵庫県尼崎市で、日本共産党の志位和夫委員長は東京都新宿区で第一声を挙げました。新党大地の鈴木宗男代表は公民権停止中で選挙運動ができないため、北海道札幌市で記者の質問に答えました。12党のうち、党首が第46回衆議院選挙に出馬しているのは、民主党の野田佳彦候補(千葉4区)、自民党の安倍晋三候補(山口4区)、みんなの党の渡辺喜美候補(栃木5区)、日本維新の会の石原慎太郎候補(比例ブロック東京単独)、新党大地の田中康夫候補(兵庫8区)、日本共産党の志位和夫候補(比例南関東ブロック単独)の6候補だけ。平成最初の参院選以降、過半数を占める会派が一度もないなか、どうやって安定した内閣をつくるかも、この衆院選の焦点です。現職議員が仕分けされる中、有権者にも安定政権をつくる責任ある投票行動が迫られています。
【野田代表が福島・宮城・岩手遊説を終えて、上野駅前で演説したので見てきました】
「すべては東日本大震災の復興、福島の再生からはじまる。」と大書きされた2012マニフェストをかかげる民主党の野田佳彦代表は、福島・宮城・岩手遊説をおえて、新幹線を降りて、上野駅広小路口で午後6時半から演説しました。出がけに父に聞いたら、私の父も60年前、上野駅から東京に降り立ってそうで、今も首都の北の玄関として機能しています。
当地・東京2区(台東区、文京区、中央区)には、前職として民主党の中山義活さん。元職で日本維新の会の松本和巳さん。新人で、自民党の辻清人さん、 みんなの党の大熊利昭さん、日本共産党の桑名文彦さんの5人が立候補を届け出ました。
第45期衆議院で、首相補佐官や経済産業大臣政務官をつとめた中山義活さんは「商店街を回ると、最近は「(値段を)まけてくれ」と言われることが多いと聞きます。その分だけ利潤が減ります」と演説したところで「ここで、ちょっとお待ちください」として、救急車の通過を待ち、1分間ほど演説を止めました。この後、「今地元の所轄(消防署の)消防車が行きました。このように危機はいつでも起きます。私たちの政権で法律を変えて、消防車のたらい回しが減りました。私たちは野田総理の判断力を継続させてほしいとして、前回のマニフェストを(政権を担当した)反省を踏まえてつくり直したので今、みなさんにお配りしているので読んでください」としました。
真冬の師走の選挙に対応して、暖かいモコモコジャンパー姿の中山さん。初の与党議員として過ごした第45期衆議院を振り返り、経産政務官の経験から「日本人は清潔好きなので、新幹線のシステムの評価は高い。私は外国の方には上野駅に来て(新幹線のシステムを視察して)もらっています」「日本の火力発電所は環境面での評価は高く、総理の命令で、インドネシアに行き、発電所を3つ売りました」「ベトナムでは道路を見せてもらったときに、ここが日本のやったところですというところは大丈夫ですが、他の国がやったところは壊れていました」として、「どんどん外国に売ります」とインフラ輸出・トップセールスの継続を訴えました。
そのうえで、中山さんは「私たち(民主党)は今まで、やったことを説明できないという問題がありました。しかし、その反省を踏まえて、改革を継続していきたい。もう時計の針を戻すことはできませんが、私たちは時計の針を前に進めているという自信はあります」と訴えました。ここで、東北新幹線を降りて、野田代表が登場。
東北遊説を終えた野田総理。すでに午後6時半過ぎ。この後のNHKニュース7拡大版では、「党首のスケジュールの都合」で自民党の安倍晋三総裁からインタビューがスタート。そこまでして、街頭演説をしようとする、まさに「駅頭演説はNODA」。
野田代表は、社会保障、経済、原発、外交、政治改革の順で演説しました。
野田代表は「自民党政権の負の遺産もいっぱい溜まっています。そして、まだ改革も道半ばです。その改革を前に進めるか、後ろに進めるかが今度の選挙の争点です」としました。
【二大政党党首対決は、「消えた年金」の実績争いが最大の焦点になりそうな気配】
そして、「安倍政権のときに消えた年金記録問題が起きました。みなさんがこつこつ収めた年金がもらえない。そういう問題が起きました。消えた年金記録5000万件を国家プロジェクトとして探してきました」としました。「2850万件、1300万人、1・7兆円見つかりました」として、「私たちが気付き、探さなければ見つかりませんでした」としました。
これについては、次の動画をご覧ください。第21回参院選(2007年7月29日投開票)にあたっての安倍晋三自民党総裁(総理)の政見放送です。当時の録画の関係で、お尻が切れている関係で、ダイジェスト版にしました。これからの12日間、私も、次の安倍総理(当時)の「いったい社会保険庁何をやってきたんだ」「私の内閣で解決し、最後のお一人までお支払いします」という発言。責任転嫁のうえ、その日亡くなる方もいるのに「最後のお一人までお支払いします」という地頭(じあたま)が弱い発言について、問うていきたいと考えています。
【ふたたび、野田さんの上野演説に戻ります】
それはさておき、野田演説に戻ります。「政治家の世襲も問題だが、貧困の世襲はもっと問題だ」として、高校授業料無償化法の実績をPRしました。
社会保障と税の一体改革では、「一番の弱者は将来世代だ」として、バブル期に増税を決断できなかった自民党を批判しました。
そして、「我々はどの政党よりも、将来世代を考えている政党だ」として改革の継続を訴えました。
2030年代に原発ゼロをするために、あらゆる政策資源を投入するとしながら、「すぐに原発ゼロにしろという政党もいます」としながら、震災前に電力の3割を原発に依存していたことから、経済的にすぐに原発ゼロにするのは不可能だとしました。
【消えた年金記録を回復できなかった安倍ちゃんに日本を渡していいのか、と問いたい私の第45回衆院選】
年金記録問題を「社会保険庁いったい何をやっていたんだ」と憤り「最後のお一人までお支払いします」と理論的におかしなことを言ったうえ結果として嘘ついた安倍さんが首相に返り咲いて良いのでしょうか。安倍ちゃんに日本を渡すな。その思いの中で、私も、この12日間、しっかりと議論よりも説得へ、説明へ。自分自身の能力を高めることができるように、しっかりとたたかっていきます。
[写真]二大政党党首。
【震災後初の第46回衆院選が公示】
さあいよいよ、第46回衆議院議員総選挙(第46回衆院選、第46回総選挙)のスタートです。天皇陛下は2012年(平成24年)12月4日(火)、日本国憲法第7条による総選挙を公示されました。内閣の助言と承認によるもので、詔書には野田佳彦総理大臣が副署。民主党員が総選挙公示の詔書に副署したのはこれが初めて。
[画像]第46回衆院選を公示する天皇陛下の詔書、2012年12月4日(火)付官報第5940号2ページから、一部キャプチャ。
あの壮絶な国難、きょねん3月11日の東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所事故から1年9ヶ月、初めての国政選挙。前日午後5時の日経平均株価は9485円18銭(時価総額275兆132億円)、1ドル=82円30銭~82円32銭、1人民元=13・085~13・095円、長期金利は0・705%と異例の低水準。日銀当座預金はナント39兆3700億円もあります。ことしの新語・流行語大賞はお笑い芸人「スギちゃん」の「ワイルドだろぉ」や、今年開業の東京スカイツリーにあやかり「東京ソラマチ」、夏のロンドン五輪の「手ぶらで帰らせるわけにはいかない」、震災後初の日本人ノーベル賞(生理学・医学賞)を受賞した山中伸弥さんの「iPS細胞」などが選ばれました。
【衆院選のルールの確認を】
衆議院議院総選挙は、小選挙区は全国を300分割した小選挙区(おおむね人口40万人ずつの区割り)と、全国を11ブロックにわけた比例代表の投票用紙2枚。それぞれ単記式(立候補数に限らず、1つのみ記入)となり、小選挙区は立候補者の名前、比例代表は名簿届け出政党の名前のみ記入します。下の総務省ホームページをご参照下さい。
[画像]「なるほど!選挙」総務省自治行政局選挙部ホームページから。
【比例名簿で二大政党の対応分かれる。民主党は小選挙区全員が全ブロックで比例重複1位、自民党はまちまち】
比例の対応では主要政党で対応が異なりました。
公明党は小選挙区に9人を立候補させ、比例11ブロックに45人を公認します。小選挙区9人は比例重複していませんので、小選挙区で落選すれば第46期衆議院の議席はありません。
民主党は野田佳彦候補(千葉4区)、岡田克也候補(三重3区)ら小選挙区全員が比例名簿に重複立候補し、かつ小選挙区全員を全ブロックで1位にしました。ですから、日本中どこに住んでいようと、比例代表への「民主党」は、ブロック内で小選挙区で落選した民主党候補のうち、1位(当選)者との得票数の割合である惜敗率が高い人が、第46期衆議院の本会議場の椅子に座ることになりました。民主党の比例単独立候補者は前職3人で、東京ブロック(定数17)の25位に吉田公一さん、北陸信越ブロック(11)の20位に若泉征三さん、中国ブロック(11)の19位に三浦昇さん。いずれにしろ、比例での「民主党」は、ブロック内小選挙区で勝ち抜けできなかったけど、惜敗率が高い人に「次のチャンスの芽」を与えることになります。全国どこでも同じです。
自民党は比例代表73歳定年制をとっているので、山形3区の加藤紘一さん、京都1区の伊吹文明さん、大阪17区の岡下信子元議員、佐賀3区の保利耕輔さんは小選挙区のみの立候補。このほか、安倍晋三総裁(山口4区)、石破茂幹事長(鳥取1区)、小泉進次郎青年局長(神奈川11区)、三ツ矢憲生シャドウ国交大臣(三重5区)、二階俊博さん(和歌山3区)、福岡10区の山本幸三さん、保岡興治元衆議院議員(鹿児島1区)の7人が比例名簿を辞退。ただし、比例単独1位もいて、北海道ブロック(定数8)は新人の渡辺孝一さんが1位単独で、2位は小選挙区立候補者。東北ブロック(14)は加藤紘一さんを除く小選挙区立候補者、北関東ブロック(20)は1位が小選挙区立候補者全員、南関東ブロック(22)は小泉進次郎さんを除く小選挙区立候補者が1位となります。東京ブロック(17)・北陸信越ブロック(11)は小選挙区全員、東海ブロック(21)は三ツ矢憲生さんをのぞく小選挙区全員、近畿ブロック(29)は伊吹文明さん、岡下信子さん、二階俊博さんを除く小選挙区全員、中国ブロック(11)は安倍晋三さん、石破茂さんを除く小選挙区全員、四国ブロック(6)は小選挙区全員、九州ブロック(21)は山本幸三さん、保利耕輔さん、保岡興治さんを除く小選挙区全員が1位。たいへん分かりにくい対応ですが、ぜひ、ご家族などでよくご確認いただきたいと思います。
【羽田雄一郎国交相が院替え断念で参院の現有勢力がかわる】
さて、総理大臣をつくる選挙である衆院選では、参院の勢力図を理解した上で、安定政権をつくるよう考えて投票すべきだと11月17日付エントリーで書きましたが、この「公示前日予想」の勢力図にやや違いが出てきました。まず、衆院長野3区で引退した羽田孜さんを世襲して立候補すると思っていた、羽田雄一郎・国土交通大臣が参議院にとどまる決断をしました。
[写真]院替えによる長野3区世襲立候補断念を発表する民主党の羽田雄一郎・国土交通大臣(参・長野選挙区来夏改選)、2012年11月20日(火)、NHKニュース7映像から。
このため、民主党の議席数は「公示前日予想」より1つ多いことになります(会派離脱中の参議院議長含む)。
一方、自民党からは安倍総裁の実弟、岸信夫さんが院替えし、義家弘介さんも院替えします。岸さんは2016年夏まで任期があったので、2013年4月28日(日)に補欠選挙が山口県であります。義家さんは比例なので、第21回参院選の次点を近く、中央選挙管理会が繰り上げます。統一会派「たちあがれ日本」の藤井孝男さんも3度目の院替えで日本維新の会東海ブロック1位に名簿登載される見通しとなりましたし、他の2人は政党「日本維新の会」となっています。現有は83議席(副議長含む)とします。
みんなの党は3人が衆院小選挙区に離党・院替えしますので、3議席減りました。ただし、中央選挙管理会が近く3人名簿から繰り上げ当選させる見通し。現有は8議席となりましたが、総選挙後の第182回国会では11議席に回復する見通し。
解散時にあった会派「国民の生活が第一」は、政党を解党し、「日本未来の党」として、中村哲治さんら3人が院替え出馬。8議席となります。これはすべて来夏改選の選挙区選出議員なので、来夏まで議席は8議席のままになります。
このため、現時点では民主党・国民新党の議席占有率は38%、自民党は36%と差が開きました。これも衆院選での投票行動を家族、友人と決定する上での参考になります。
【再来年4月からの消費税増税を前に仕分け力が問われる議員仕分け選挙だ】
再来年4月から消費税が8%になるので、国庫は5兆円~7兆円の増収となります。第46期衆議院では前の期に続き、税金の使い道を「仕分ける」ことが大事になります。そのためには、仕分けにふさわしい身辺が高潔で、難しい予算書・決算書を読み解く力がある議員かどうか。その「議員仕分け」が今回の第46回衆院選になるでしょう。まずは前職が立候補していれば、過去の国会での発言を国会会議録データベース(国会図書館運営)でチェック。そのうえで前職を「廃止」か「継続」か判定しましょう。
【画像】内閣府行政刷新会議事務局の事業仕分けの判定表のイメージ図をお借りして、一部加筆させていただきました。
そのうえで、前職が「廃止」ならば、その代替策をマニフェストなどを活用して判定。さらに小選挙区と比例代表の2枚をつかって、以下に安定政権を作るか。そのためには、上のように、比例ブロックの人数など衆院選のルールをよく検討し、来夏まで変わらない参議院の勢力図を念頭に置くべきでしょう。そうやって、まずは家族。そこで、投票先を1人1枚ずつ紙に書いて、投票所で書き写し、その紙を保存しておくと、政治に対してほどよい責任感を持てると同時に、ふだんから政治へひと言言える権利を持てるでしょう。あるいは、仲がよい人と、話し合い、もしも投票行動が一致する数人がいれば、「みかんの会」でも「押しくらまんじゅうの会」でも勝手に名前を付けて、推薦状を選挙事務所に届ければ、今回は12党乱立でみんな不安ですから、喜ばれるでしょう。そして、4年の任期中に「ここぞ」というときには、ひと言口出す権利ができるでしょう。他人から自分の背中を見られていると思う人は、単に投票するだけでなく、友人に働きかけたり、特定の1党だけの証紙張りポスターを自宅に張ったりするといいでしょう。メールを書くときは、投票依頼と受け止められる文章は書かないように気を付けてください。特定の1陣営だけの遊説をメール、電話、口頭、インターネットで案内したり、投票所に行くように促したり、自分自身が期日前投票でどういう投票行動をとったか明示することはまったく問題ありません。また、戸別訪問はできませんが、会社のなかで、部下や同僚に投票依頼をすることは戸別訪問にはならないので、問題ありません。公示後ですので、投票依頼をすることは問題ないどころか、当然であり、積極的にすべきです。ただし、インターネット媒体(メール含む)、手紙、手製のコピーなどで投票依頼をすると、これは文書図画の頒布(ぶんしょとがのはんぷ)になりますので、止めてください。また、インターネットで「お礼」を書くことは事後買収の防止のために止めてください。さらに、人気投票を発表することは、選挙賭博を誘引し、投票行為をゆがめますので、謹んで下さい。
さあ、12日間の選挙戦ですが、長いようで短い。自治体によりますが、期日前投票はあす午前8時半ごろから始まります。
議員仕分けのために、まずはしっかり家族で選挙の話をするところから始めていただきたいと存じます。3年前の衆院選で「家族から働きかけられた」人はわずか9・1%と選挙における日本人の孤独ぶりが明らかになっており、これでは政治が不安定になったり、新党が雨後の竹の子にようにできるのも当然です。まずは家族で2枚に投票行動について情報を共有し、確認しあうことからデモクラシーは始まります。12党はすべての有権者に出番と居場所がある選挙をつくるべきだし、有権者もしっかりと参加する選挙にしていきたいと考えています。