恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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茶倉譲二 続編第九話~その6

2015-12-14 07:57:04 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
 

☆☆☆☆☆

茶倉譲二 続編第九話~その6

〈譲二〉

ふと、カウンターの方を見るとみんなが集まって、肘をつつき合っている。

(そうか…あいつらには紹介していなかったな。兄貴のこと)


譲二「みんな、そんなところにいないでこっちおいで」

春樹「いいの?」

譲二「紹介するのが遅れてごめんね。これ、うちの兄貴」

紅一「茶倉紅一です。いつも弟がお世話になってます」

竜蔵「マジで兄貴だったのか…」

一護「似てねーな」

理人「でもマスターも、その内こんな感じになるんじゃない?」

剛史「いや、ならない」

一護「つーか、似てるとこあんのかよ」

兄貴と似てるところか…。

そんなこと今まで考えたこともなかった。

小さい時は兄貴みたいになりたくて、一生懸命真似してたっけ…。

そのうち、兄貴とは家業を継ぐ継がないに始まって、意見が対立することが増えて、中学生くらいの頃からは反発ばっかりしてたな…。

今思うと俺を思っての苦言だったのかも知れないけど。


譲二「うーん…言われてみればそんなにないかもねぇ」

紅一「考え方も違うしな」

理人「じゃあ、好みのタイプとかは?」


好みのタイプか…。

そういや兄貴が女の子と付き合ったりしたことなんてあったっけ?

俺の知る限りでは無いから、よくわからないな…。


譲二「そりゃ、俺は百花ちゃんみたいなかわいい子だけど」

明里「なんかもう、開き直ったわね」

理人「マスターが言うとやらしいよ」


ああ、もうなんとでも言ってくれ。


春樹「お兄さんは?」

ハルに水を向けられて、兄貴は自分も百花ちゃんののような明るく可愛い子がいい、と言い出した。

(え !?まじかよ!)

それを聞いて、みんながまた好き勝手にからかい始める。


一護「どっちが勝つと思う?」

春樹「そりゃジョージさんじゃない? 佐々木、ジョージさんひとすじだし」

理人「え~? じゃあ僕はお兄さんに賭けようかな」

剛史「関係ない奴に横取りされるに100ポイント」


(うわ~。そうなったらどうすればいいんだ!)


慌てる俺に、兄貴は平然と言い放った。


紅一「冗談だ。何を本気になっているんだ」


(冗談か…。よかった。またライバルが現れたかと思った)


明里がしみじみと言う。


明里「紅一さんも冗談なんて言うのね」


俺も初めてみたよ、兄貴が冗談を言うところ…。

はっきり言って冗談に聞こえなかったけど。

胸を撫で下ろす俺に兄貴は言った。


紅一「お前でもそんなに慌てた顔をするんだな…。家にいた頃は、いつもつまらなそうにムスッとしていたが」

それを聞いて、百花ちゃんが不思議そうに尋ねる。

百花「マスターがですか?」

譲二「ああもういいから!」


(明里も兄貴も、これ以上昔の俺を暴露しないでくれる? お願いだから)

その後も、みんなにからかわれながら、クロフネ最後の日は穏やかに過ぎて行った。

その7につづく