恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



サイトマップ






人気ブログランキングへ

茶倉譲二 続編第八話~その6

2015-11-29 07:48:03 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
 

☆☆☆☆☆

茶倉譲二 続編第八話~その6

〈譲二〉

まっすぐな瞳で俺を見つめる百花ちゃん。


譲二「…本当はね、ずっと迷ってたんだ」

譲二「百花ちゃんの卒業までは…必ずここで見守っていたかったから」

百花「はい…」

譲二「だけど…けじめをつけたかったんだ」

百花「けじめ?」

譲二「前にも言ったけど、俺はそろそろ実家の仕事を継がなくちゃって時に、中途半端に家を飛び出してクロフネのマスターになった」

百花ちゃんはそっと頷く。

譲二「今までどおり実家と距離をとって…茶堂院グループが無くなろうとも、俺には関係ないんだと、ずっとこのまま生きてくこともできたんだろうけど」

百花「けど?」

譲二「俺、百花ちゃんのおかげで、逃げないでちゃんと向きあおうって思えたんだ」

百花「私の…?」


百花ちゃんの頬にそっと触れる。


(こんなに柔らかくて、華奢で、ちょっと力を入れ過ぎたら、すぐ壊れそうに思えるのに…)

(なのにこの子はなんでこんなに強いんだろう)


コツン、とおでこを合わせて、小さくささやいた。


譲二「前に言ってくれたでしょ。『私を頼ってください』って」

譲二「あの瞬間、思ったんだ。ああ、もっとこの子に甘えていいんだって」

百花「譲二さん…」


あの時まで、ずっと、俺は百花ちゃんを一方的に守ってるつもりでいた。

だけど本当は、俺も、百花ちゃんの優しさに守られてたんだ。

明里に言われた言葉。

『百花さんはちゃんと譲二に頼られて、支えてくれてる』

それを実感した瞬間だった。


譲二「あの言葉がなかったら、クロフネを閉める決断はできなかったよ」


百花ちゃんの瞳から涙が、一気にあふれた。

ごめんね。

本当は泣かせたくはなかったけど。


俺はもうたまらずに彼女を抱きしめた。

百花ちゃんが俺の名前を呼びかけたが、後は嗚咽に変わってしまう。


二人でしばらく、抱き合っていた。

このまま、ずっとこうしていられたらいいのに。


譲二「ごめん…約束守れなくて」

譲二「高校を卒業するまで、クロフネは閉めないって言ったのに…」

百花「いいんです…」

百花「今度は…私が待つ番だから」


健気な彼女が愛しくて、腕に自然と力が入った。


譲二「ごめん…」


彼女の髪に頬ずりする。

柔らかくて、とてもいい匂いがする。

このまま…いつまでもこのままで。



時折、百花ちゃんの啜り泣く声が響いた。


俺は抱きしめたまま、彼女から身体を離すことが出来なかった。


そして……、いつしか眠り込んでしまった百花ちゃんを抱き上げ、彼女のベッドに寝かせる。

涙で汚れた彼女の頬にそっとキスをした。


譲二「おやすみ…」


このまま彼女の側にいたいという衝動を抑えて、そっと扉を閉めた。

 

その7へつづく