恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



サイトマップ






人気ブログランキングへ

茶倉譲二 続編第八話~その5

2015-11-28 06:18:24 | 吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二

吉祥寺恋色デイズ 茶倉譲二の妄想小説。譲二ルート続編のお話を彼氏目線で眺めてみました。
ネタバレありです。
 

☆☆☆☆☆

茶倉譲二 続編第八話~その5

〈譲二〉

次の言葉が出せなくて、俺は黙りこんだ。


百花「譲二さん?」


百花ちゃんに促されて、喉につかえたままの言葉を絞り出す。

譲二「…会社を立て直すために、一度実家に戻ることにした」

百花「え?」


百花ちゃんが驚いたように目を見張る。

お願いだ。そんな顔をしないで…。

前もって決めていた言葉を口に出す。


譲二「じいさんが守ってきた会社を、吸収合併させるわけにはいかないからね」


しかし、それはまるで言い訳のようにしか聞こえなくて、慌てて言う。


譲二「でも、百花ちゃんは今まで通りここに住んでもらって構わない」

百花「譲二さんは…ここには住まないんですか?」


不安そうに聞かれる。

そうなんだ。

クロフネに住みながら、百花ちゃんと暮らしながら、実家の仕事ができたらどんなにいいだろう。


譲二「そうだね…しばらくは仕事中心の生活になるだろうから」


かなり必死でやらないと吸収合併を防ぐことはできない。

そのためには仕事以外のことは全て諦めないといけない。だから…。


譲二「引っ越して、実家に住むことになると思う」

百花「でも…クロフネは?」

譲二「クロフネは…」


鉛のように重たい言葉を口にする。


譲二「…閉めようと思う」

百花「閉める…」

譲二「仕事をしながらここのマスターもやるとなると、きっと、どっちも中途半端になっちゃうからね」


百花ちゃんの大きな瞳に見る見る涙が溢れてくる。

俺は彼女を慰めたくて、握った手に力を入れた。


譲二「…百花ちゃん」


百花ちゃんは、溢れた涙をこぼさないように目を見張った。


百花「私…待っててもいいですか?」

譲二「え?」

百花「譲二さんがいつでも吉祥寺に帰って来られるように」

百花「帰ってきたら一番に『おかえりなさい』って言えるように…ずっとここで待っていたいんです」


そう言って、百花ちゃんは微笑んだ。

その笑顔はとても可愛くて…でも、とても辛そうで痛々しかった。

 

その6へつづく