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日本経済新聞さま「朝鮮戦争は、何時、終戦となったのでしょうか」

2023-11-16 | 小日向白朗学会 情報
 2023年11月15日、日本経済新聞は『自衛隊と英陸軍、共同で実動訓練 円滑化協定を初適用』とする記事を配信した。
「……
陸上自衛隊と英国陸軍は15日、群馬県の陸自演習場で共同の実動訓練を開いた。部隊の往来をしやすくする「円滑化協定(RAA)」を今回初めて適用した。米国に次いで安全保障の面で深く協力する「準同盟」が実践段階に入った。
……』
 この記事で言わんとしていることは本年10月に発効となった「日英部隊間円滑化協定」(Japan-UK Reciprocal Access Agreement)がいよいよ運用を開始することになったといいたいのである。
これについて外務省在英日本大使館は次のようにコメントしている。
『……
10月15日(日)に発効した日英部隊間協力円滑化協定(RAA:日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定)について、陸上自衛隊と英陸軍との実動訓練(ヴィジラント・アイルズ23)に初めて適用することを日英間で決定しました。
本訓練は、11月15日から11月26日に日本国内において実施され、陸上自衛隊の作戦遂行能力等の向上を図るとともに、陸上自衛隊と英陸軍との相互理解・信頼関係の促進に資することを目的として、日英両国の地理的特性を踏まえた島嶼防衛に関する共同訓練となります。
……』
 外務省と自衛隊は「日英部隊権円滑化協定」の運用が開始したと断言しているのである。
ところで日本政府とイギリスが締結した「日英円滑化協定(Japan-UK Reciprocal Access Agreement)」は軍事協定である。そして、この協定には注目すべき項目がある。それが第四条である。
『……
第四条
3 この協定は、千九百五十四年二月十九日に東京で署名された日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基づいて国際連合の軍隊として行動する間の連合王国の軍隊が実施するいかなる活動についても適用しない
……』
とある。
 「日英円滑化協定」第四条が言うところの協定とは、昭和29(1954)年2月19日に朝鮮国連軍参戦している軍隊が我が国に滞在する間の権利と義務等を定めた「日本国における国連連合の軍隊の地位に関する協定」(国連軍地位協定)のことである。この協定の締結した国は、アメリカ合衆国(米国)、カナダ、ニュー・ジーランド、イギリス、南アフリカ連邦、オーストラリア、フィリピン、フランス、イタリアの9カ国及びイギリス連邦(Commonwealth of Nations)に加盟するカナダ、ニュー・ジーランド、南アフリカ連邦、オーストラリアであった。そして「国連軍地位協定」と「日英円滑化協定」の関係は、「国連軍地位協定」が有効であるならば「日英円滑化協定」は適用しないとなっている。
 その「国連軍地位協定」の有効期限はと云うと、「国連軍地位協定」第二十四条、および同二十五条、さらにこのベースとなっているサンフランシスコ平和条約第六条に見ることができる。
サンフランシスコ平和条約第六条は次のように明記している。
『……
連合国のすべての占領軍は,この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国閻の協定に基く、叉はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。
……』
 また、国連軍地位協定では次のように規定している。
『 第二十四条
 すべての国際連合の軍隊は,すべての国際連合の軍隊が朝鮮から撤退していなければならない日の後九十日以内に日本国から撤退しなければならない。この協定の当事者は,すべての国際連合の軍隊の日本国からの撤退期限として前記の期日前のいずれかの日を合意することができる。
  第二十五条
 この協定及びその合意された改正は,すべての国際連合の軍隊が第二十四条の規定に従つて日本国から撤退しなければならない期日に終了する。すべての国際連合の軍隊がその期日前に日本国から撤退した場合には,この規定及びその合意された改正は,撤退が完了した日に終了する。』

 したがって「日英円滑化協定」が実際に有効となるのは、朝鮮戦争が終戦となった時なのである。つまり、日本の安全保障政策は、朝鮮戦争を継続することが前提で組み立てられて、朝鮮戦争が終戦となると駐留アメリカ軍の根拠が失われ「行政協定(日米地位協定)」が有名無実のものとなってしまうのだ。それに伴い「有志国」は解体することになる。 
 
 ただし、である。
 サンフランシスコ平和条約第六条にある但し書き「、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国閻の協定に基く、叉はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。」を利用して締結したのが「日英円滑化協定」なのである。つまりイギリスが朝鮮戦争に参戦した連合国であったかこそら締結できた協定なのである。したがって協定締結の連合国と日本とは、協定の有効範囲は、朝鮮戦争が継続している間だけなのである。
 朝鮮戦争が終戦になることこそが、アメリカ、イギリス、韓国及び日本政府が最も恐れる事態なのである。アメリカとイギリスは、冷戦の理想であった共産主義国封じ込めという大うそが、本当に嘘であることが確定してしまい、世界戦力が破綻するからである。また、イギリスとアメリカの世界戦略に組み込まれていた日本政府と韓国政府は、終戦とともに自国安全保障が崩壊してしまうのだ。そのためバイデン大統領は、本年8月に日本と韓国首脳を招集して、朝鮮戦争の継続を命ずるとともに、アメリカは中国とのの関係改善に動き出したのだ。

  以上のことより日本経済新聞記事が「日英部隊間円滑化協定」が実際に発効となることを説明するならば「朝鮮戦争が終戦になった」ことをいうか「朝鮮戦争下で即応性を高めるに結ばれた「円滑化協定」が動き出した」のどちらかで正確な状況を説明する必要があると考える。

 尚、「国連軍地位協定」及び「日英円滑化協定」につては下記スレッドにその詳細を纏めてある。
・トランプ氏とNATO問題

・トランプ氏と朝鮮戦争終戦問題

・バイデン政権となったのちの動き

・再び朝鮮戦争が終戦となることを見込んだ処置
以上(寄稿:近藤雄三)
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