「250人の職員のうち、東京に160人、現地に90人。頭でっかちだ」
9日の衆院予算委員会で赤沢亮正氏(自民)が、復興庁の態勢を批判した。初代復興相に就く平野達男復興担当相は「本庁の職員も(本部の)東京にいるというより、地元を回る」とかわしたが、質問の背景には現行の復興対策本部(本部長=首相)の被災地での存在感の薄さがある。
復興庁発足とともに、出先機関の「宮城復興局」に衣替えする同本部の宮城現地対策本部(仙台市、本部長=郡和子内閣府政務官)。昨年6月、7人で発足し、その後、約20人に増えたが、郡氏ら政務三役の被災地視察以外、表立った活動はなく、地元から「存在感がない」(宮城県議)と批判されていた。
この反省を踏まえ、30人態勢で発足する復興局には、本部時代よりも多くの権限を持たせることにした。復興特別区域(特区)の認定や復興交付金の申請、配分に伴う業務を新たに担うほか、被災自治体からの陳情も一元的に受理。さらに、津波被害の大きかった石巻、気仙沼両市には支所を設置し「被災地で常に働いている組織」(内閣官房幹部)にするという。
■ワンストップに懸念
「いろいろな(被災自治体、住民からの)問いにその場で答えられ、判断できるよう徹底させていく」。平野氏は3日の記者会見でワンストップ化への意欲を改めて強調した。ただ、復興局の職員数は各約30人(支所2カ所を含む)に過ぎない。自治体からの相談や要望に迅速に対応するには、復興政策について、文字通り格上の立場から、各省庁をリードする必要がある。
そのため、復興相に他省庁への勧告権を付与。復興関連予算の財務省への一括要求▽個別事業への予算配分を決定、復興計画通りに進むよう監督--する権限も復興庁に与えた。だが、事業実施は国土交通省や農水省など既存省庁が担う。予算要求や配分についても、国交省などの職員が復興庁を兼務しながら行う見通しで「復興庁を通すだけ。現行省庁が事実上、予算要求、配分を担う」(経済官庁OB)可能性が高い。
村井嘉浩・宮城県知事からは7日の仙台市内の講演で「復興局に行っても、ワンストップでなく、(1段階目の)ワンステップになることを心配している」との懸念が飛び出した。さらに石巻市幹部は「閣僚に直接話を聞いてもらいたい。復興局ができても上京する」と断言する。予算獲得のための中央省庁、政党詣での慣習は続きそうで、縦割り打破、ワンストップ実現には、首相や復興相の一層の指導力が求められる。(終了)