けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

猟具のフシギ ~ 散弾銃○、弓矢×、手づかみ○

2011-01-28 10:04:10 | 野良あるき
栃木の奥鬼怒温泉に行ってきました。
その途中の路線バスから、何と!狩猟用らしき弓矢を持った男性を見たのです。
思わず「バス、停めて~!」といいたかったけれど、1日に数本しかない路線バス。
これに乗らないと宿にたどりつけないので、
通りすがりに窓からじーっと見るだけであきらめました。

しかし、弓矢とは! 本当に珍しい。初めて見ました。
いかにも手作り風で、木(真弓の木?)の枝をたわめたような弓の姿。
男性の右の腰には、矢らしい篠竹が10本くらい入った布袋がぶら下がっていました。
何を狙うのだろう…。ウサギはちょっと大きすぎるか? 鳥類かな? ヤマドリとか?

しかし、帰ってからインターネットで調べていて、もっと驚いたことが。
日本では、猟具として弓矢は禁止されているのです。
がーん!! 散弾銃はよくて、弓矢はだめなの? なんで~?
生き物同士として獲物と相対するとき、弓矢のほうがよっぽどフェアな気がするんだけれど。

さらに調べると、手づかみでの狩猟は許されているらしい。
もちろん、猟期と狩猟区域を守り、狩猟が許されている生き物に対してなら、ですが。
これなら、生き物同士の命のやりとりとしては、完璧にフェアですね。
「しかし、手づかみなんてねー、まさかねー」と笑っていて、ふっと思い出したことがある。
昔のお話ですが、サシバという鷹の一種を、手づかみでごくふつに捕まえて食べていたひとびとがいるのです。

それは、沖縄の宮古島。
秋に、サシバが北から南へと渡っていく旅の途中、ちょうどいい位置にある休息の島です。
かつて、貴重な蛋白源として(そして、脂がのってものすごーく、美味いんだそうな)、
島人たちは、サシバを捕まえて食べいたのだそうです。秋の味覚、ですな。

その捕まえ方が、「手づかみ」なのです。
夕方、サシバは松の枝に羽を休め眠ります。なので、サシバが好む枝ぶりのいい松に登ってじっと潜み、
サシバがまさに枝を足でつかもうとする瞬間に、両足首を両手でガッシとつかむのだそうな。
その話を聞かせてくれたのが、島の60代のおじさん。子どもの頃、父親と一緒にたくさん獲ったそうで、
とても懐かしそうに話してくれました。(もちろん、今では禁止です)



そのおじさんが、作ってくれたのが、このパチンコ。
おじさんは、パチンコの名手でもあるのです。
なお、現在の日本ではパチンコは猟具として、認められているようです。
ほんの2メートルほど先の空き缶にも当てられないわたしには、スズメを撃つことさえ、
とうてい無理ですが。