けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

生地、うまいもの

2011-11-28 23:38:46 | 浜あるき
“清水(しょうず)の里”生地(いくじ)は、漁師町でもあります。
かまぼこ屋さんの隣に、北方領土返還ののぼり旗をたてた資料館が…。
何でまた? と思って入ってみると。

     

北方領土に住んでいたのは、北海道に次いで富山出身のひとが多かったのだそうです。
いや~、まったく知りませんでした。
海岸線が短い富山県では、江戸時代加賀藩のころから、蝦夷地への出稼ぎを奨励。
明治になってからも、根室中心に富山から開拓移民は増え、6割が生地の出身。
「越中漁民」は根室から色丹、歯舞群島へ渡り、おもにコンブ漁をしたそうです。
なるほど…。犬も歩けば歴史にあたる、です。

今、生地の漁業の基地は黒部漁港。
海から細い水路を入ったきんちゃく型の漁港です。
なので、面白いことに、港の入口に地下トンネルの歩道がある!

    

さらに水路を海にむかっていくと、橋に遮断機と信号!?
漁船はこの水路を通らないと海に出られないのですが、
町の幹線道路のこの橋、橋げたが低くて船の頭がひっかかる。
→ → というわけで、開閉式の橋になっているんです。日本初ですって。

      

町歩きで、すっかりからだが冷えました。
ということで、黒部漁協直営の」「とれたて館」「できたて館」へGO!
おもに定置網漁の新鮮な魚たちと干物が並ぶ「とてたて館」。すぐに食べられる「できたて館」

     

      

できたて館では、定食や丼物のほか、ショーケースに並ぶ小鉢を選べたり、
焼き肉みたいに鮮魚や干物を自分で焼いて食べることもできるんです。いいなあこれ。

      

わたしが選んだ小鉢は、タナカゲンゲの煮物、糸モズクの酢の物、ツブ貝、サケ中骨の昆布巻き煮。
そして、焼き物は(奥から)カレイ、ゲンゲ、ニギス、ヒメジの480円のセット。

    

漁港が見える窓の外には、霰(あられ)が降りしきっています。
干物焼きつつ、地ビール飲みつつ、ああ、いいなあ~。
でも、これから5時間かけて東京の家に帰るのが、おっくうだな~。

農ギャル

2011-11-28 23:29:36 | 野良あるき
今日、国際シンポのTVニュースで「男女の格差が大きい社会は、国際競争力が弱い」
「日本の男女格差は(格差が小さいほうから数えて)世界で98位」と、報じていました。
国際競争力のことはわかりませんが、男女格差については「その通りだ~!」。

とはいえ、いつの世にも、社会の枠にはおかまいなく、自分の道を進む女のコはいる。
25歳、稲作農家の後継者かつ農業生産法人の社長、にお会いしてきました。
ただし“ギャル系”、愛読雑誌は「小悪魔ageha」。鉛筆が乗るほどのつけまつげがキマってる。
愛車はトラクターの「姫トラ」。ちなみに、DDR(ダンスゲーム)の姫トランスからの命名。
…って、何のことだかわかんなくて、帰ってから調べたんだけど(汗)
車内はめいっぱいデコってます。スピーカーも性能のいいのに替えたそうです。

        

というのも、時期によっては1日に10何時間もこの運転台で過ごすから。
見た目とはかけ離れた、本物の農業者だということも、手を見ると一目瞭然。
「ネイルできない」と嘆くけれど、力仕事で鍛えた、しっかり固い働く手です。
「たまにしか農作業しない、格好だけの“農ギャル”と一緒にされたくない」、
「初対面のひとには農業やってるといわない。見た目から農業なんて誰でもできると誤解されなくないから」、
というお話も、よくわかります。
「女だからできない」といわれないよう、泣きながら努力して男性以上の仕事をこなすくせに、
農薬散布のラジコンヘリは「女だからやらない」賢明さも。

来年の耕作面積はなんと44ヘクタール(1ヘクタールは100m×100m)。
お米の値段が安いから、今や、稲作は大型機械で広く効率的にやる時代。
小規模や、高齢の農家には投資を含め負担が大きいので、
億単位の設備をそろえた農家に、田んぼを作ってもらう流れになっています。
彼女の会社でも、昨年大型乾燥機などを備えた施設を新設。
でも、鉄骨がピンク色 さすがにギャル社長。職場は楽しい雰囲気じゃないとね!

        

ギャルなんだけれど、何だか「質実剛健」という古い言葉もよく似合う。
こういう女のコが出るなら、日本の未来は明るいなあと、思います。
自分の不甲斐なさを棚にあげて、ですが…。