きときと日記

「きときと」とは富山の方言で「ぴちぴち(新鮮な)」という意味。きときとな日々の記録を更新中。

1Q84

2013-03-10 | 


今日は、午前中は雨と風がひどくて、雷も鳴っていましたが、午後には晴れ間が覗きました。買い物に行ったり、成績を付けたりしながら、のんびり過ごしました。

村上春樹の「1Q84」全3巻、ようやく読み終わりました。ずいぶん前のベストセラーですが、なかなか読む機会がなく、今回、貸してくれる人がいたので、ようやく読破しました。いやー、面白かった。ネットでは酷評も多いし、周りにも、よく分からなかったという人が何人かいますが、私にはとても面白い本でした。好き嫌いの分かれる本なのだとすれば、大ヒットしたのが不思議ですね。かなり長いので、時間はかかりましたが、私は、最初から面白かったし、途中、止まることなく、どんどんひきつけられて読み進みました。村上春樹の本は、相性のいい話と悪い話がありますが、これは好きでした。

スポーツインストラクターをしている青豆という名前の女性と、塾の講師をしながら小説を書いている天吾という男性。1984年という現実から少しだけズレた、月が二つある世界、1Q84年に迷い込んだ二人。幼い頃に、ほんのわずかな接点を持った二人が、時を経て、惹かれあい、運命として再会を切望する。1、2巻は、青豆の章、天吾の章、と二人の視点の物語が交互に描かれます。互いに無関係に見えた話が、ふかえりという少女や宗教団体を介して、つながっていきます。3巻は、二人を追う牛河の章も加わり、孤独な3人の話が交互に描かれます。青豆は、両親が宗教団体の熱心な信者であることで、天吾は、父親がNHKの集金取立人であることで、お互い、幼い頃につらい思いをしており、その生い立ちがずっとつきまといます。また、ふかえりと二人で書いた小説「空気さなぎ」と、ふかえりの不思議なキャラクターが天吾のストーリーを広げていきます。

ファンタジーというほど架空の世界でもないし、現実味があるかといえば、そうでもないし、でも、心の中にある様々な思いを形を変えて表現しているような、うまく言えませんが、不思議に心に寄り添う話でした。天吾も、青豆も、(そして牛河も)、孤独で、自分に正直で、忍耐強い。誰のストーリーも面白く、強くひきつけられました。そして、思いがけず訪れたハッピーエンド。ああ、これは、壮大な純愛物語だったんだな、と思いました。パラレルワールドや、宗教団体や、殺人や、空想などを織り交ぜることで、大きく回り道しながらも、出会うべくして出会った二人の、ラブロマンスでした。だから、面白かったのかもしれません。読んで良かったです。
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