今日は曇り一時雨、蒸し暑い一日でした。千住博の「星のふる夜に」を読みました、ではなく、見ました。先日、軽井沢の「千住博美術館」で買ってきた絵本です。美術館で見た、この絵本の原画が大好きで、「子ジカの冒険」と呼んで、昨年に続いて今年も見てきました。昨年は迷って買わなかった絵本を、今年は思い切って買ってきました。
「深い森のなかに、親子のシカが住んでいました。ある晩、子ジカが流れ星を追いかけて、見知らぬ世界に迷いこみます。それは、一夜の出来事とは思えないくらいふしぎな冒険でした...」最初にそれだけ書かれていて、あとは、一切、文章は付いていません。右側のページに絵、そして左側ページの下には小さな地図が載っていて、子どもの鹿がたどりゆく道順が書かれているだけで、あとは白紙です。絵を見て、自分なりに解釈して、物語を作って読めばいいという絵本です。
全体に、星がふる夜空の青がベースですが、暮れゆく青、真夜中の青、星を映す川の青、そして徐々に明けていく空の色。その色合いがとても素敵で、圧倒的な風景の中に、ぽつんといる子ジカの姿に、つぶやきが聞こえる気がします。絵本の印刷では、残念ながら原画の美しい色は再現できないのですが、絵本は家で何度も見ることができるので、手元に置けるのが嬉しいです。子ジカがたどった地図も、原画にはないので、絵本ならではの楽しみです。
川に沿って歩く子ジカを囲む景色は、空であり、川です。絵本に挟まれた冊子には、作者のコメントが書かれていました。「子ジカは常に川に沿って歩いていき、物語は展開するのですが、その川は、夜空に光っている銀河や星々を鏡のように映し出しています。それは私たちのいるまさにここも宇宙だという、私の大切なメッセージです」と書かれていました。そうか、宇宙かあ。